胎嚢確認ができない原因は?腹痛などの症状に要注意?【産婦人科医監修】

 専門家監修
公開日:2018/12/27
更新日:2019/01/07
胎嚢確認ができない原因は?腹痛などの症状に要注意?【産婦人科医監修】
監修
竹内正人先生

妊娠検査薬で陽性反応が出て、産婦人科を受診すると、超音波検査で「胎嚢(たいのう)」の確認が行われます。でも、胎嚢って、聞き慣れない言葉ですよね。今回は胎嚢が確認される時期や、胎嚢が確認できない原因などについて解説します。

胎嚢とは?

胎嚢(たいのう)とは、赤ちゃんを包む袋のこと。胎嚢は羊膜、尿膜、漿膜(しょうまく)の3層の膜で構成されていて、中は羊水で満たされています。

尿検査で妊娠反応が陽性になるのは妊娠4週からですが、このころの赤ちゃんはとても小さく、超音波検査でも確認できないほどの小さな存在です。正常な妊娠かどうかの最初のステップは、超音波検査で胎嚢(GS)が見えることです。

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胎嚢が確認できるのは妊娠何週ごろ?

妊娠週数が明確な場合、胎嚢や赤ちゃんの心拍は次のような順序で確認されます。

妊娠4週

早ければ妊娠4週の中ごろ、子宮内に胎嚢を確認できるようになります。

妊娠5週

妊娠5週以降になると、ほぼ確実に胎嚢を確認できるようになります。

妊娠6週

妊娠6週になると、胎嚢の中に赤ちゃんの心拍が見えてくるようになります。

妊娠7週

妊娠7週以降になると、確実に赤ちゃんの心拍を確認できるようになります。

胎嚢が確認できない場合の原因は?

超音波検査で調べても、胎嚢が確認できないケースがあります。その理由には、次のようなことが考えられます。

受診するのが早すぎた

近年、市販の妊娠判定薬の感度がとても高くなり、早い段階で妊娠に気づけるようになりました。胎嚢が確認できるのは妊娠4週の中ごろからですが、検査薬では妊娠4週0日でも陽性反応が出ます。妊娠判定薬が陽性ですぐに受診した場合、タイミングが早すぎて胎嚢が確認できないことがあります。

妊娠週数に誤差がある

妊娠週数は、最終月経の開始日を基準(0週0日)にしています。そのため、月経が不順だったり、排卵の遅れがあったりすると、実際の妊娠週数と誤差が出てしまいます。妊娠5週と思っていても、もともとの妊娠週数の数え方が間違っている場合、まだ胎嚢が見えないことがあります。

化学的流産(生化学的妊娠)

「化学的流産」という言葉がよく聞かれるようになりましたが、現在は「生化学的妊娠」といいます。尿中妊娠反応(尿中hCG測定)は陽性になりますが、超音波検査で胎嚢が確認される前のごく初期に、赤ちゃんの発育が止まってしまった状態をいいます。生化学的妊娠は、妊娠や流産にカウントされることはありません。

進行流産

流産とは、赤ちゃんがママのおなかの外では生きていけない妊娠21週以前に妊娠が終わってしまうことをいいます。流産は、出血などの自覚症状がなく、赤ちゃんが子宮の中にとどまっている「稽留(けいりゅう)流産」と、自覚症状があり、赤ちゃんや胎嚢などの組織が子宮の外に出てきている「進行流産」に分類されます。進行流産の場合、胎嚢が確認されても赤ちゃんの心拍は確認できないか、胎嚢も赤ちゃんの心拍も確認できなくなります。

子宮外妊娠(異所性妊娠)

正常な妊娠では、受精卵は子宮内膜に着床しますが、卵管や卵巣など子宮内膜以外の場所に着床してしまうことを「異所性(いしょせい)妊娠」といいます。
以前は子宮外妊娠といわれていましたが、子宮頸管など「子宮外」とはいいがたい部分への妊娠も含まれるため、「異所性」という言葉に変更にされました。妊娠6週を過ぎても胎嚢を確認することができない場合は、異所性妊娠の可能性があります。

異所性妊娠は、全妊娠の1~2%の頻度で起こる病気です。
異所性妊娠といっても妊娠には変わりはないので、尿中妊娠反応は陽性になります。つわりがあったり、乳房が張る感じがあったりするなど、自覚症状は通常の妊娠とほとんど変わりません。

胎嚢が確認できる時期には個人差も

胎嚢が確認できる時期には多少の個人差があります。したがって胎嚢が確認できない場合、たった1回の超音波検査で判断することはできません。適切な間隔(1週間ごとが多い)をあけて再度超音波検査を行う必要があります。

胎嚢が確認できない場合の治療はどうなる?

化学的流産(生化学的妊娠)の場合

生化学的妊娠の原因の多くは受精卵の染色体異常です。

受精卵の染色体異常の確率はとても高く、約45%に染色体異常があるとされています。その約半分にあたる約20%が着床できず、そのまま生理になります。残りの25%の染色体異常のある受精卵が、着床して妊娠となります。

着床したものの、超音波検査で胎嚢が確認される前に発育が止まってしまう生化学的妊娠の場合、受精卵は出血とともに排出されます。出血の量は生理くらいで、自然に止まるので治療の必要はありません。

かつては妊娠と診断される前に妊娠が終わっても、女性は気づくことなく次の生理を迎えていました。近年、妊娠検査薬の感度が高くなり、より早く妊娠に気づけるようになったため、生化学的妊娠も認識されるようになりました。

進行流産の場合

進行流産の診断がつき、赤ちゃんや胎嚢などの組織がすべて子宮の外に排出されてしまった場合(完全流産)は、自然に子宮収縮が起こり、子宮は元の状態に戻るため、治療の必要はなく経過観察になります。

赤ちゃんや胎嚢などの組織の一部が子宮の中に残っている場合は、それらが自然に出て来るのを待つ(待機療法)か、手術(子宮内容除去術)によって取り出します。待機療法か手術のどちらを行うかは、医師と相談して決めます。

子宮外妊娠(異所性妊娠)の場合

妊娠週数がはっきりしていて、超音波検査で胎嚢が確認できない場合は、尿中のhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンの量を測定します。ホルモン量が多い場合は、超音波検査で子宮以外の場所に胎嚢がないかどうかを調べます。

異所性妊娠のほとんどは卵管に着床してしまうケース(卵管妊娠)で、異所性妊娠の98%以上を占めています。卵管妊娠は、受精卵が移動するときの異常によりますが、以前受けた卵巣・卵管の手術やクラミジア感染症などによる癒着が影響する場合もあります。卵管に着床した場合、妊娠5週ごろに少量の出血があり、下腹部の痛みを感じることがあります。

異所性妊娠と診断された場合、全身の状態が安定し、hCGの量が減少している場合は、待機療法(経過観察)になります。
しかし、胎嚢が大きくなり、卵管の中に収まりきらなくなると卵管が破裂して激痛が走り、大量の出血をしてとても危険な状態になります。その場合、卵管を切除する緊急手術などが行われます。
卵管が破裂していなければ、卵管を残す手術(腹腔鏡手術もしくは開腹)や胎嚢の成長を止める薬物療法などが選択されます。

手術の際に1つの卵管を切除した場合でも、もう一方の卵管に異常がなければ、再び自然妊娠をすることは可能です。

胎嚢が確認できない場合の経過観察

一定の期間は産婦人科で経過を見ていくことが重要

妊娠の可能性があって産婦人科を受診したとき、「胎嚢が見えません」と言われることが多くあります。でも、胎嚢が見えない原因にはさまざまなものがあり、次の診察で確認できることも少なくありません。

尿中妊娠反応で陽性が確認されてから胎嚢が確認できるまでは、正常な妊娠でも1週間程度かかります。ですから医師に指示されたサイクルにしたがって、再度検査をしていくことが必要です。

その間に出血や下腹痛などの症状があったときは、すぐに受診しましょう。とくに生理のときより出血量が多い場合や、激しい下腹部痛の場合は進行流産や異所性妊娠の可能性があります。夜間や時間外の場合は病院に連絡し、指示をあおいでください。

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文/小沢明子

監修
竹内正人先生
⽇本医科⼤学⼤学院修了。⽶国ロマリンダ⼤学留学を経て、葛飾⾚⼗字産院などに勤務。
よりやさしい「⽣まれる・⽣きる」をサポートするため、国や地域、医療の枠をこえて活動する⾏動派産科医。

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