予防接種のあとのお風呂はOK?入浴時間や注意点は?【小児科医監修】


鳥海佳代子先生
とりうみこどもクリニック副院長
この記事では、予防接種のあとのお風呂について解説しています。予防接種は、重い後遺症が残るような感染症から赤ちゃんを守ってくれる大切なもの。でも、「ワクチンを接種したあと、お風呂に入って大丈夫かな?」と気になりますね。素朴な疑問をここで解決しましょう。
目次
予防接種とは?
予防接種は、かかると深刻な後遺症や重症化の可能性があったり、亡くなる恐れがあったりする感染症から、赤ちゃんを守るために行われます。また、社会全体のために大きな流行を予防する目的もあります。
体内に予防接種ワクチンが入ると、「この病原体に負けない体にしよう」というシステムが働き、病原体への抵抗力が強まります(この状態を、「抗体ができる」と言います)。これが予防接種のメカニズムです。
予防接種の制度が不十分だった1950年前後には、感染症で亡くなる人がたくさんいました。たとえば、百日ぜきの年平均死亡者数は1万~1万7,000人、破傷風は2,000人、ポリオは数百~1,000人(「国民衛生の動向」より)にものぼっていたのです。ワクチンの接種率が上がるにつれ、病気にかかる人はどんどん減少し、近年の年間の死亡者数は0~十数人にまで減っています。
しっかり予防接種を受けて、こわい病気を予防してあげたいですね。
予防接種の種類その1 定期予防接種と任意予防接種
予防接種には、定期接種と任意接種があります。定期接種は国が接種をすすめ、決められた期間内であれば無料で受けられます。また万が一の事故の際には、予防接種法による救済措置がとられます。
任意接種は、定期接種以外のワクチンです。任意接種は自費で受けますが、自治体によっては補助制度を設けています。
定期接種も任意接種も、病気の深刻さに大きな差はありません。国の医療財政によりすべての予防接種を定期接種にするのがまだむずかしいこと、予防効果の高さなど、さまざまな要因から定期接種と任意接種に分かれていますが、「任意接種は受けなくてもいい」と考えるのではなく、検討してみてくださいね。
予防接種の種類その2 ワクチンの種類
予防接種には、定期接種・任意接種という区分の他に、ワクチンの作られ方による違いもあります。
病原体の毒性を弱めたものは「生ワクチン」、病原体の毒性をなくして必要な成分だけを取り出したものは「不活化ワクチン」、病原体の毒素を取り出して毒性をなくしたものは「トキソイド」と区別されています。
生ワクチンを接種したら次回の予防接種まで4週間以上、不活化ワクチンとトキソイドは次回の予防接種まで1週間以上あける必要があります。ただし同時接種の場合は、どのワクチンを受けても互いに影響し合わないことがわかっています。
予防接種の種類まとめ
現在、日本で乳幼児に行われている予防接種の種類をまとめました。
*不=不活化ワクチン 生=生ワクチン ト=トキソイド
◆定期接種のワクチン
B型肝炎(不)
ヒブ(不)
肺炎球菌(不)
四種混合(不・ト)
BCG(生)
MR/麻疹風疹(生)
水ぼうそう(生)
日本脳炎(不)
◆任意接種のワクチン
ロタウイルス(生)
おたふくかぜ(生)
インフルエンザ(不)
予防接種の副作用とは?
薬にはどんなものでも、少なからず副作用(副次的に起こる有害な反応)があります。予防接種の場合は、同じ意味合いでも副作用とはいわず、「副反応」といいます。
「予防接種は副反応がこわい」と思っているママもいるようですね。ワクチンは、予防する病気の病原体を使って作られているため、副反応として、接種した部分のはれやしこり、発熱や、それぞれの病気の症状が軽く出ることがあります。しかし、重い副反応が出ることは、近年ではまずありません。
各ワクチンの副反応については、事前に配布される説明書や注意書きをよく読み、どんな症状が出るのか、頻度はどのくらいかなどを接種前に確認しておきましょう。
予防接種の主な副反応には、次のようなものがあります。
◆はれやしこり
接種部位が赤くはれたり、しこりになったりすることがありますが、たいていは3~4日で治まります。四種混合など何度も接種するものは、初回より2回目、3回目と回を重ねるほうが、はれやすい傾向があります。
はれの範囲が広く、直径が7cm近くなったり、二の腕に接種したときにひじを超えて前腕にまで及ぶようなら、接種した医療機関を受診しましょう。
●BCG接種後のはれは副反応ではありません●
BCGワクチンを接種するとしばらくは跡が消えていますが、10日を過ぎるころから接種部位が赤くポツポツとはれてきて、液が出ることがあります。これは副反応ではなく、正しくワクチンが効いているしるしです。接種後1カ月ごろが最も強くはれますが、その後は次第にかさぶたになり、自然に薄くなっていきます。
◆発熱
予防接種後に発熱することがあります。不活化ワクチンは、接種後48時間以内に出ることがあり、生ワクチンは種類によって熱の出方に違いがあります。
接種後に発熱しても、おっぱいやミルクがしっかり飲めて、元気なら様子を見ていてかまいません。しかし、ぐったりしていたり、乳児期早期であったり、38度以上の熱が1日以上続いたりしたときは受診しましょう。
◆発疹
MR(麻疹風疹混合)ワクチンでは、接種後5~14日後に発疹が見られたり、発疹とともに発熱を伴ったりすることがあります。通常、発疹や熱は2~3日で治まります。
予防接種後の過ごし方や注意点は?
◆接種後30分はしっかり様子を観察する
予防接種を受けたあと、30分程度は医療機関にとどまるか、連絡のつきやすいところにいるようにします。これは、アレルギー反応によって、じんましんや腹痛、嘔吐、せき、呼吸困難などの症状が急激に出る状態(アナフィラキシー)になる可能性があるからです。
アナフィラキシーは30分以内に起こるので、体の急変がないかどうか待機して様子を見ましょう。これらの症状が出て、ショック状態(血圧の低下、意識障害などが起きた状態)に陥ると大変危険です。
◆当日はゆっくり過ごす
予防接種を受けた当日は、激しい運動や激しい遊びを避けましょう。外遊びはなるべく控え、散歩程度にしたほうがいいですね。できればおもちゃや絵本など、室内で座って遊べるものにしたほうが無難です。
◆接種後1カ月は注意して
接種後1カ月ぐらいまでは、接種部位の反応はどうか、体調はいつもと変わらないかどうかなど、副反応の出現に注意しましょう。はれて赤くなったときは、冷やすと気持ちがいいかもしれません。ただ、冷やさなくても問題ありません。
予防接種後のお風呂はOK?
予防接種をした当日は、接種後1時間以上たったら、いつも通りお風呂に入って問題ありません。お湯の温度も特にぬるま湯にする必要はありません。赤ちゃんの入浴時間は、通常10~15分ぐらいです。長湯はしないようにしましょう。
予防接種後のお風呂で注意することは?
注意するのは、接種部位をゴシゴシこすらないようにすることです。そっとやさしく洗ってあげましょう。
文/小沢明子

鳥海佳代子先生
とりうみこどもクリニック副院長
とりうみこどもクリニック
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