突発性発疹に伴う下痢。いつまで続くの? 対処法は?【小児科医監修】

 専門家監修
公開日:2018/12/20
更新日:2019/03/22
突発性発疹に伴う下痢。いつまで続くの? 対処法は?【小児科医監修】
監修
渋谷紀子先生
総合母子保健センター愛育クリニック

この記事では、突発性発疹のときに起こる下痢の経過と注意点、対処法について取り上げました。突発性発疹の定型的な症状といえば、高熱と熱が下がると出る発疹。しかしときには、それだけでなく下痢の症状も伴う場合があります。

突発性発疹とはどんな病気?

突発性発疹は乳幼児がかかりやすい病気です。「いきなり38~40度の高熱が出てきた」という発症の仕方が多く、3~4日熱が続きます。咳や鼻水などの症状は目立ちません。

熱が下がると、おなかや背中を中心に赤い発疹が出て、手足などに広がっていきます。この発疹にかゆみはなく、何もしなくても自然に消えていきます。あとも残りません。

突発性発疹の原因となるのは、ヒトヘルペスウイルス6型と7型という2種類のウイルス。一度かかればそのウイルスには抗体ができますが、もう1種類のウイルスに感染する可能性があるので、2度かかる場合もあります。

薬は特に用いず、安静に過ごして自然に治るのを見守ります。ただし、高熱でつらそうな場合は解熱剤などが処方されることもあります。

突発性発疹はいつからいつまで続くの? 
突発性発疹の一般的な経過

ウイルスの潜伏期間は10~15日程度です。突然の高熱から発症し、3~4日は熱が出続けます。

熱が急激に上がるため、熱性けいれんを起こす子もいます。この期間は様子をよく見るようにしましょう。

なお、この段階で小児科を受診しても、医師は突発性発疹と判断しかねることがほとんど。熱が下がるとその日か翌日に発疹が出るので、そこで診断が下されます。

発疹は出始めて2~3日後から薄くなり、3~4日後には自然に消えます。発症から完治までの期間はだいたい6~8日程度です。

突発性発疹で下痢が起こるときに危険サインは出る? 

赤ちゃんによっては突発性発疹のときに、便がゆるくなるなど下痢の症状が出ることがあります。下痢は発熱しているときに始まり、発疹が消えるころには自然におさまっていきます。

下痢が起こる前にこれといった危険サインはありません。ただ下痢とともに食欲が落ちる場合があります。母乳を飲む量が減り、便がゆるくなる赤ちゃんもいるでしょう。

熱と下痢が同時に起こるとママは不安になるでしょうが、突発性発疹に伴って起こる下痢が重症化することはほぼない、といわれています。ですから、発疹が出た後に下痢が続いていても、過度に心配せず、必要なホームケアを行いながら様子を見守りましょう。

突発性発疹がどうかまだわからない…
熱と下痢の症状があるときの注意点は?

発疹がまだ出ておらず、症状が突然の高熱と下痢だけという場合、他の病気である可能性もあります。以下の点に注意し、おかしいと感じることがあれば、病院を受診しましょう。

下痢の色

黄色~緑色~茶色 

通常の便の色なので、機嫌がよく水分もとれているなら、様子を見守ります。下痢のなかに未消化の食べ物が混ざっていても心配はいりません。ただし、下痢の量が多くおむつからはみだすほどだったり、水のような下痢を1日に何度も繰り返したりする場合は病院を受診します。腹痛や嘔吐をともなう場合や、便に粘液が混入する場合も受診しましょう。

胃や十二指腸などの消化管で出血があると、便が黒くなることがありますが、赤ちゃんではきわめてまれです。なお、貧血で鉄剤を飲んでいる子供の場合、薬剤の影響で便が黒っぽくなることがあります。思い当たる場合、赤ちゃんの機嫌がよく、水分もとれているなら様子を見守っていいでしょう。

一部がドロッと赤くなったり、下痢にたくさんの血が混じったりしている場合は、細菌性の胃腸炎など他の病気の可能性があります。急いで病院を受診しましょう。

ロタウイルスによる急性胃腸炎では、薄いクリーム色の便や米のとぎ汁のような水様便が出ます。すっぱいにおいがするのも特徴です。病院を受診しましょう。

嘔吐の有無

突発性発疹の症状として、嘔吐が出ることは基本的にはほとんどありません。嘔吐と下痢が繰り返しあり、高熱も出ているなら、他の病気である可能性が高いので、病院を受診しましょう。

ただし、赤ちゃんはちょっとしたことで吐きやすいため、病気とは関係のないことが原因で嘔吐することもあります。嘔吐したのが一度だけであとはケロッとしているなら、全身の状態を観察しながらしばらく様子を見てもいいでしょう。

全身の状態

下痢便の色や嘔吐の有無だけでなく、水分は取れているか、顔色は悪くないか、機嫌は悪くないか、おしっこが出ているかなど赤ちゃんの全身の状態を観察しましょう。様子がおかしいと思ったら、ためらわず病院を受診してください。

突発性発疹で下痢があったときの対処法

高熱と下痢が続くのは、赤ちゃんにとってつらいもの。少しでも楽に過ごさせてあげるために、次の3点に気を配りながらホームケアを行いましょう。

水分を与える

高熱と下痢によって、体から水分が奪われやすくなります。母乳やミルクだけでなく、麦茶、湯冷ましなど赤ちゃんが飲めるものをこまめに与えて、脱水症を防ぎましょう。

下痢によって電解質が奪われるので、ベビー用のイオン飲料、経口補水液もお勧めです。ゼリータイプの経口補水液もあるので、赤ちゃんに飲ませやすいものを選びましょう。

経口補水液は湯冷ましと砂糖、塩を用いて家庭で作ることもできます。分量は湯冷まし500ml、砂糖20g、塩1.5gです。

脱水症の兆候をチェック

脱水症の兆候には次のようなものがあります。突発性発疹のときに脱水になるほど下痢がひどいことはほとんどありません。ただ、高熱でぐったりして水分が摂れなくなる可能性はありますので参考にしてください。

脱水症の初期症状

・唇が渇く

・よだれがでない

症状が進むと……

・おしっこの量や回数が減る

・おしっこのにおいが強くなる

・おしっこの色が濃くなる

・元気がなくウトウトする

重症のサイン

・皮膚がシワシワになりつまめる

・8時間以上おしっこをしない

・ぐったりして昏睡状態

唇が渇き、よだれの量が減ってきたら、脱水症の初期症状である可能性が。経口補水液などの水分を少量ずつ繰り返し与えつつ、赤ちゃんの様子をしっかりと観察します。

症状が進むと、おしっこの量が減る、赤ちゃんがウトウトして元気がない、などの兆候が表れます。その場合は、早めに病院を受診しましょう。

お尻のかぶれ対策を

下痢便が出たらできるだけ早くおむつ交換をしましょう。下痢便は刺激が強いので、肌に触れる時間が長くなればなるほど、お尻がかぶれやすくなります。

お尻の皮膚はふやけて傷つきやすい状態になっているので、おしりふきやタオルで汚れをふき取るときは注意が必要です。座浴などぬるま湯を用いて便を洗い落とすといいでしょう。その後はやわらかいタオルでやさしく押さえるようにして水分を取ります。

座浴が難しければ、ぬるま湯にひたしたガーゼやタオルでお尻を洗うように拭いたり、ペットボトルにぬるま湯を入れ、おむつ替えのときにお尻を洗ったりするのもいい方法です。

かぶれがひどくなってきたら、病院で薬を処方してもらいましょう。なお、下痢でお尻がかぶれたときにカンジダ性皮膚炎を発症することがあります。その場合、別の治療薬が必要になるので、おむつかぶれが治りにくいときは病院を受診しましょう。

消化の良い食べ物で栄養補給

下痢があっても、食欲がある場合は、おかゆやうどんなど消化のよいものを与えます。離乳食は一段階もどしたほうがいいでしょう。水分補給も兼ねて、水分を多くしたおかゆやりんごのすりおろしなどを食べさせるのもお勧めです。

一方、油分が多い食品、繊維質の多い野菜、かんきつ類、乳製品は避けます。消化しにくかったり弱った胃腸にとって刺激となったりすることがあるからです。

突発性発疹による下痢から乳糖不耐症になることはあるの?

突発性発疹に伴う下痢は、通常は重症化しないことがほとんど。胃腸炎による下痢と比較すると、長引くことは少なく、乳糖不耐症になる頻度も低いと考えられます。

ただし、可能性はゼロではありません。発疹はひいたのにまだ下痢だけが続いている、という場合は、病院を受診しましょう。

乳糖不耐症とは

母乳やミルクに含まれる乳糖を分解できず、下痢をする病気です。胃腸炎などによる炎症で腸の粘膜がただれたり破れたりした結果、乳糖を消化吸収する酵素の活性が一時的に低下することで発症します。

乳糖不耐症による下痢の特徴 

下痢のきっかけとなった突発性発疹や胃腸炎は治ったはずなのに、水っぽい便や酸っぱいにおいのするゆるい便がずっと続きます。離乳食を再開したのに、固形のウンチが出ない、ということもあります。

出た便をおむつごと持参して、受診時に医師に見せると診断がつきやすくなる場合があります。また、今までの下痢の経過や、便の回数、状態、色、においなどについてもメモしておくといいでしょう。

乳糖不耐症の対処法

ミルクの赤ちゃんの場合は、乳糖を含まない特殊ミルクに切り替えると下痢が改善します。母乳栄養の場合は、授乳のたびに乳糖分解酵素の薬を赤ちゃんに飲ませます。薬や特殊ミルクをいつまで使うかは、赤ちゃんの症状によるので、医師の指示に従いましょう。

突発性発疹のときの下痢から、
ロタウイルス下痢症になる可能性は?

突発性発疹に伴って起こった下痢から、ロタウイルス下痢症になることはありません。2つはまったく別のウイルスによって起こる病気です。1つのウイルスに感染している場合、別のウイルスには感染しにくくなることがわかっているため、両方同時にかかることは基本的にはありません。

ただし極めてまれに、突発性発疹が治った後の回復期に、ロタウイルスに感染することはあるかもしれません。突発性発疹にかかったあとは、しばらく免疫機能が低下するともいわれています。感染後しばらくは、家で安静に過ごすと安心です。

ロタウイルス下痢症とは

ロタウイルスに感染することによって起こる胃腸炎です。真冬に流行することが多く、感染力が強いので、保育園や幼稚園などですぐに広がります。家庭内でも子どもが感染し、一家全員にうつることがよくあります。

ロタウイルス下痢症の症状の特徴

突然の嘔吐や下痢から症状が始まり、発熱することもあります。下痢の症状は特に激しく、水のような便が繰り返し出る状態が1週間近く続きます。便の色は白、またはクリーム色ですが、色には変化がないこともあります。

この下痢は病原体を排出するための体の防御反応ですから、薬などで無理やり止めることはしません。ウイルスが体外に出れば、下痢の症状は治まっていきます。

ロタウイルス下痢症の対処法

嘔吐がひどいときは、無理に飲んだり食べたりさせないこと。嘔吐の症状は発症から半日ほどがピークです。

吐き気が落ち着いてきたら、様子を見ながら少量ずつ水分を与えます。その後も脱水症の予防のために、こまめな水分補給を心がけましょう。

家庭内感染を防ぐことも忘れてはいけません。嘔吐物や便にはウイルスがいっぱいなので、使い捨てのマスクや手袋をつけて処理します。

便や嘔吐物がついたおむつやおしりふき、ペーパータオル、使い捨てマスク、使い捨て手袋などは、その都度しっかり密封して捨てます。その後、殺菌力の強い石けんで、ていねいに手を洗います。指輪や時計は外して、指の間や手首など細かい部分もしっかりと洗いましょう。

汚れた衣類は他のものと別に洗い、塩素系漂白剤や熱湯などで消毒します。赤ちゃんの食器も他の食器とは別に洗剤で洗った後、食器用の塩素系漂白剤にひたしたほうがいいでしょう。

発熱や下痢は、ウイルスを撃退するために起こっている反応です。水分補給などのケアを行い、赤ちゃんの体がウイルスと闘うのを手助けしましょう。

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監修
渋谷紀子先生
総合母子保健センター愛育クリニック
東京大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院、山王病院、NTT東日本関東病院などの勤務を経て、現職。専門は小児アレルギー。私生活では四女の母でもある、やさしくパワフルなドクターです。

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