赤ちゃんの便秘に「砂糖水が効く」というのは本当?【小児科医監修】

 専門家監修
公開日:2018/12/15
更新日:2019/03/22
赤ちゃんの便秘に「砂糖水が効く」というのは本当?【小児科医監修】
監修
十河 剛先生
済生会横浜市東部病院 小児肝臓消化器科副部長

この記事は、赤ちゃんの便秘と砂糖水についてまとめたものです。「赤ちゃんが便秘になったら、砂糖水を飲ませると良い」と聞いたことのあるママも多いでしょう。でも、実は「便秘に砂糖水」は医学的に根拠がないことで、赤ちゃんの便秘解消には効果がありません。小児科の先生に解説してもらいました。

赤ちゃんが飲める程度の砂糖水で便秘改善効果は期待できない

「赤ちゃんの便秘解消のために、砂糖水を飲ませるとよい」と言われることがあるようです。実際に飲ませたことがあるママもいるかもしれません。でも、医学的に考えると、この説に根拠はありません。

糖には、浸透圧を上げることで腸内に水分を引き込み、便をやわらかくする作用があります。そのことから、「砂糖水が良い」と言われるようになったのかもしれません。
しかし、砂糖は通常、ブドウ糖に分解されて小腸で吸収されてしまうため、大腸にまで届いて浸透圧によって便をやわらかくする効果は期待できません。赤ちゃんが飲める程度の甘さや量の砂糖水では、便秘解消には効果がないのです。

便秘を解消するためには、小腸で分解・吸収されないほど高濃度の糖、あるいは大量の糖でなければ意味がありません。それほど濃度の高い砂糖水は、赤ちゃんはもちろん、大人でもとても飲むことができませんし、体にもよくありません。

マルツエキスやラクツロースとの違いについて

マルツエキスは、60%以上の濃度の麦芽糖です。麦芽糖が大腸の腸内細菌により発酵し、腸の運動を活発にしたり、便をやわらかくしたりすることで排便をうながすといわれています。
マルツエキスは薬局やドラッグストアなどで購入することができ、小児科で処方されることもあります。軽い便秘には効果が得られることがあり、赤ちゃんに飲ませてみて便秘が解消されるなら、用法・用量を守って使用するといいでしょう。
ただし、便秘の症状が重くなると効かなくなってきます。マルツエキスを飲んでも改善しない場合には、小児科で相談するなど別の対処法を考えましょう。

市販されているマルツエキス(和光堂)

ラクツロースは、小児の便秘改善のために小児科などの医療機関で処方される薬です。ラクツロースも糖類ですが、人間の体内にはラクツロースを分解する酵素がありません。そのため、砂糖のように小腸で消化・吸収されずに大腸まで届き、浸透圧によって便をやわらかくします。

同じ「糖分」でも、マルツエキスやラクツロースと砂糖水とでは、糖の種類や含まれる量、濃度などが異なるのです。

便秘の改善には生活や食事の見直しも大切です

赤ちゃんに、「うんちがなかなか出ない」「うんちをするとき苦しそう」などの様子がみられたら、クリームやオイルを塗った綿棒で肛門を刺激する「綿棒浣腸」や、市販の浣腸薬を試してみるのもいいでしょう。市販の浣腸薬は、対象月齢や使用方法をきちんと守ること。浣腸がクセになることはありませんから、苦しそうなら早めに出してあげましょう。

薬や浣腸による解消法とあわせて、年齢に合った栄養バランスのよい食事をとること、水分を十分にとること、体をよく動かすこと、早寝早起きの規則正しい生活を送ること、ストレスをためないことなども、便秘の解消・予防には大切です。

つらい便秘を少しでも早く改善し、「うんちを出すって気持ちいいこと」と赤ちゃんに感じてもらうためにも、正しい知識をもって便秘と向き合えるといいですね。

文/出村真理子

監修
十河 剛先生
済生会横浜市東部病院 小児肝臓消化器科副部長
1995年、防衛医科大学校医学部卒業。複数の病院勤務を経て2007年に済生会横浜市東部病院小児科医長、13年より現職。専門は肝・胆道疾患。武道の有段者で、二児のパパでもあります。

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