低出生体重児の体重や特徴は?原因・対策は?【小児科医監修&ママの体験談】

 専門家監修
公開日:2019/01/14
低出生体重児の体重や特徴は?原因・対策は?【小児科医監修&ママの体験談】
監修
佐野博之先生
淀川キリスト教病院 小児科 主任部長

この30年で赤ちゃんの出生数は減っていますが、低出生体重児の割合は増加しているといいます。実際に、平成25年に生まれた赤ちゃんのうち、約1割が低出生体重児でした。そこで今回は、低出生体重児の特徴や病気に対するリスク、生まれる原因や予防法とともに、低出生体重児を出産したママの体験談をお届けします。

低出生体重児の特徴は?

「低出生体重児」という言葉は聞いたことがあっても、実際の体重はどれくらいの赤ちゃんのことをいうのか詳しく知らない人も多いようです。小さく生まれた赤ちゃんは、低出生体重児のほか体重によっていくつか呼び方があります。

低出生体重児は、出生体重が2500g未満の赤ちゃんです

以前は、早く生まれたり体の機能が未熟な状態で生まれた赤ちゃんを総称して「未熟児」と呼んでいました。ただ小さく生まれた赤ちゃんでも、妊娠週数や出生時の体重によって体の機能の成熟具合は違います。

そこで今は、赤ちゃんの出生体重によって低出生体重児(出生体重2500g未満)、極低出生体重児(1500g未満)、超低出生体重児(1000g未満)と、区別して呼んでいます。

赤ちゃんが小さく生まれるのは、大きく分けて2つのケースがあります。ひとつは、予定日より早く妊娠37週未満の早産で生まれた場合。もう一つは、妊娠37週以降の正期産で産まれたにもかかわらず、何らかの原因によりママのおなかの中で十分に発育ができなかった場合です。

低出生体重児には、どんなリスクがあるの?

低出生体重児は体重が少なく体の機能も未熟なことが多いので、元気に育つのかとても気になりますね。どんな心配があり、どのような成長をしていくのかを知っておきましょう。

妊娠週数が少なく早く生まれるほど、低血糖になりやすかったりします。
さらに、正期産で3000g前後の体重で生まれた赤ちゃんと体の成長や運動発達を比べると、早く生まれた赤ちゃんほどゆっくり追いついていく、ということもあります。

ただ、小さく生まれた赤ちゃんの中でも、予定日より少しだけ早めの34~36週くらいに生まれた1500g~2499gの低出生体重児は、正期産に近いため体の機能はほぼ整って生まれてくることが多いでしょう。命にかかわるような危険も少ないので、たいていは元気に育っていきます。

低出生体重児(超低出生体重児:1000g未満)がかかりやすい病気

低出生体重児は、保温は当然のこと、在胎期間(出生した週数)にもよりますが呼吸・循環・栄養面等でサポートが必要となります。
なかでも、1000g以下で生まれた超低出生体重児と呼ばれる赤ちゃんは、より高度のサポートが必要となります。さまざまな問題が生じる場合もあり、出血や感染症が生じるリスクが高くなります。急性期をすぎてからも、慢性肺疾患や未熟児網膜症等への注意が必要になります。
上記についてはNICUでしっかり対応されるはずですので、ご家族は順調に経過するのを見守ってあげてください。

成長や発達は実際の月齢ではなく、「修正月齢」で見ていきます

早く生まれた場合の成長発達は、「修正月齢」で見ていきます。これは、生まれた日からではなく、もともとの予定日を「修正月齢0ケ月0日」として、そこから何ケ月たったかで身長・体重や運動発達を見ていくものです。

たとえば、予定日より2ケ月早く生まれた赤ちゃんの場合は、生まれて2ケ月たった本来の予定日が修正月齢0ケ月0日です。この赤ちゃんの場合は生後6ケ月で修正月齢4ケ月となるので、一般的な生後4ケ月の成長・発達と比べてどうかを見ます。

一般には、首すわりの完成は生後4ケ月ごろですから、2ケ月早く生まれた子は生後6ケ月(修正月齢4ケ月)のころに首がすわってきていれば、発達は順調だと考えていいのです。

成長や発達が正期産の赤ちゃんに追いつくのは、在胎期間にもよりますが、3歳ごろまでには追いつく場合が多いです。そうでないケースもあるかもしれませんが、少しずつでも身長が伸び体重が増えていて、赤ちゃんが元気に過ごせていることが何より大切です。同じ月齢の正期産の赤ちゃんと比べる必要はなく、小さく生まれた赤ちゃんのママは、わが子が自分のペースで成長・発達していくのを温かい目で見守ってあげてほしいですね。

低出生体重児になる原因は?

赤ちゃんが低出生体重児で生まれるのは、感染症による早産をはじめ、いくつかの原因があります。

おもな原因は、子宮内の感染により早産になることです

赤ちゃんが低出生になる一番の原因は、早産です。早く生まれてママのおなかの中にいる期間が短ければ、赤ちゃんの体はまだ成長過程にあるわけですから、当然、体重も少なく生まれてしまいます。

早産になるのは、たいていは膣内や子宮内に感染症が起こることで、中でも「絨毛膜羊膜炎(じゅうもうまくようまくえん)」が原因のケースがほとんどです。女性の膣は多くの常在菌がいる肛門や尿道から近い場所にあるため、菌が膣から子宮内に入り込んで、赤ちゃんを包んでいる絨毛膜と羊膜に感染が起こってしまうことがあります。

早産の原因は感染症のほか、「子宮頸管無力症」が原因になることもあります。これは、子宮収縮が起きていないのに、子宮頸管が開いてしまうことです。

また、常位胎盤早期剥離などで母体や胎児の状態が悪くなってしまい、安全のために妊娠を中断する必要があるときには、人工的な早産になるケースもあります。

一方、妊娠週数はある程度たっているわりに、体重が少なかったり体の機能が未熟な状態で生まれる赤ちゃんもいます。これは、胎児の成長に重要な役割をになっている胎盤の機能不全がおもな原因です。胎盤が十分に働いていないために、赤ちゃんに十分な栄養が届かず体が育たないのですね。

胎盤の機能不全は、ママが妊娠高血圧症候群である場合によく起こりますが、おなかの中の赤ちゃん自体に何らかの問題があって起こる場合もあります。

低出生体重児が生まれたら、どんな医療処置を受けるの?

赤ちゃんが低出生体重児で生まれた場合、体の状態によってさまざまなサポートが必要になります。そのための医療処置や治療は、在胎期間や児の状態にもよりますが、高度な対応を要する場合はNICU(新生児集中治療室)への入院が必要となります。

医療的なサポートが必要な場合は、NICUでケアします

淀川キリスト教病院のNICUで、小さく生まれた赤ちゃんのケアをする監修の佐野博之先生。

小さく生まれて体の機能も未熟な赤ちゃんの多くは、呼吸や循環管理に高度なサポートが必要なので、生まれるとすぐにNICUに入ります。

ただし、早産で生まれても体の機能がそれほど未熟でなければ、NICUでの治療が不要な場合もあります。特に、妊娠35週前後以降に生まれた場合は、NICUに入らずにすむ割合も高くなります。逆に、正期産で生まれた赤ちゃんでも、NICUでの管理が必要な場合もあるので、ケースバイケースです。

NICUでは、生まれたばかりの赤ちゃんにまず、呼吸や循環に対する蘇生を行います。呼吸のサポートとしては、程度によって酸素投与から人工呼吸管理まで行う場合があります。

長期の点滴や特別な薬剤が必要になる場合には、中心静脈カテーテルを体に入れます。また、口から飲めないときには、鼻や口から胃に管を入れて母乳やミルクを注入します。

低出生体重児にならないための対策はあるの?

赤ちゃんが低出生体重児で生まれるには、さまざまな原因があることがわかりました。そうした原因と予防のポイントを知っておきましょう。

定期的な健診と感染症の予防がポイント

赤ちゃんが低出生体重児にならないためには、まず早産にならないよう気をつけることです。それには、何より定期健診をきちんと受けることが大切です。健診では、内診により子宮口のかたさやしまり具合をチェックし、超音波検査では子宮頸管の長さ、胎盤や赤ちゃんの位置、羊水の量などを確認します。

また、感染症を防ぐには、かぜの予防などと同じで「手洗いやうがいを励行して清潔を保つ」、「体を冷やさない」、「疲れるほど無理をしない」、「バランスのいい食事を心がける」、「適度な運動をする」、などで、抵抗力を落とさないようにすることも大切です。

ただ、原因によっては残念ながら早産を防げないこともあります。絨毛膜羊膜炎などの感染症は、万一かかっていても自覚症状がないことも多いのです。そこで、「かゆみがある」、「おりものの量が増えた」、「おりものの色や状態が変わった」など、いつもと違うことがあったら見逃さず、かかりつけの産科医師に気になることを伝えて確認するようにましょう。

また、たとえ妊娠経過が順調でも油断せず、おなかの赤ちゃんを守るためにも、ママ自身が日ごろから感染症予防などに注意することも必要です。

低出生体重児を家庭で育てるうえでの注意点は?

低出生体重児が生まれたときには、病院では赤ちゃんに対するケアだけでなく、ママに対してもメンタルなケアを中心に行います。

退院後は、感染症に注意! 予防接種で病気を防ぎましょう

低出生体重で生まれた赤ちゃんは、体重が2200g以上(淀川キリスト教病院の基準)になり、体の機能にも問題がないとわかれば退院できます。退院前には医師や看護師などからママやパパに、子育てを楽しんでもらえるよう説明があります。

たとえば、成長が順調であれば特別な心配をせずに過ごしましょう、などという話があるでしょう。

ただし、低出生体重児をはじめ早く小さく生まれた赤ちゃんは、呼吸の機能や感染の予防に対しては正期産で生まれた赤ちゃんよりも弱い場合もあります。そこで、退院してしばらくは、かぜなどの感染症が疑われるときには早めに受診することが大切です。

また、予防接種については修正月齢ではなく、生まれた日からの月齢で受けることができます。さまざまな感染症を予防するために、受けられる時期がきたものから、積極的に予防接種を受けていくようにしましょう。

低出生体重児のママの体験談

低出生体重児として生まれた赤ちゃんは、どのように育っているのでしょうか? ママたちに聞いてみました。

Case1 1歳2ケ月・男の子

DATA
出生時体重 1820g
妊娠30週で誕生

うちの子の成長ペースを見守っています

うちの子は、生後1ケ月過ぎまでNICUにいて、その後はGCU(継続保育室)に約1ケ月。やっと退院できたのは、生後2ケ月の半ばでした。

生まれてしばらくはおっぱいがうまく飲めなかったのですが、「何とか母乳を飲ませましょう」と先生にアドバイスされ、最初はとにかく頑張って授乳しました。

生後2ケ月ごろまでは、1回の授乳に1時間もかけて1日20回も授乳! それでも体重はなかなか増えず、一時はノイローゼになりそうでしたが、退院が近づいたころやっと授乳ペースができてきました。

ただ、今でも身長・体重は修正月齢で見ても標準どころか、発育曲線の下のラインにも届きません。運動発達もゆっくりめで、1歳過ぎてからやっとつかまり立ちができたところです。

それでも、表情は豊かで最近は私の言うこともかなりわかるようになり、親子で遊ぶのが楽しくなりました。生まれたときは、「こんなに小さくて、育つのかしら?」と不安でしたが、今はこの子のペースで成長していってくれたらと思っています。

Case2 生後9ケ月・女の子

DATA
出生時体重 2246g
妊娠35週で誕生

出生体重2200g台でしたが、NICUに入らず7日目に退院

娘は出生体重が2200g以上あり、呼吸などの機能は発達していたので、NICUには入らなくていいと言われて入院中は私と同じ病室で過ごしました。

生後7日目には体重が2500gを超えたので、退院することができました。ただ、同じころに3000g以上で生まれた赤ちゃんと比べると、かなり小さく頼りなく見えました。

退院してからは、娘の体重が何とか少しでも増えて欲しいと、欲しがらなくても2時間おきに母乳を飲ませる日が続きました。そのせいか、生後2ケ月ごろになると体重は正期産の子にかなり追いついてきました。

ただ、1ケ月半早く生まれたので、首すわりや寝返りなどの発達は修正月齢で見てもやや遅めでずっと気になっていました。でも、生後9ケ月になった最近、おすわりとつかまり立ちもマスターしたので、ひと安心です。

Case3 生後7ケ月・男の子

DATA
出生時体重 2284g
妊娠37週で誕生

小さくても元気が一番! と思えるように

妊娠中、胎盤の機能があまりよくないとのことで、赤ちゃんは小さめと言われていました。実際に、37週で破水して生まれたベビーは、やはり2284gと低出生体重児でした。生まれてしばらくは手足がシワシワで細く、痛々しかったほどです。

また、生まれてすぐに心雑音も聞こえたので、小さく生まれたせいではないかととても心配でした。でも、心雑音は1ケ月健診のときにはなくなっていて、ホッとしたものです。

今でも小柄で、身長・体重ともに成長曲線の下のラインにギリギリくらいです。でも、最近、つかまり立ちをマスターし、運動発達は正期産で生まれた子とあまり変わらないので、小柄でも元気ならOK!と思っています。

Case4 1歳4ケ月・女の子

DATA
出生時体重 2320g
妊娠37週で誕生

小さく生まれましたが、今は標準以上の体格です

娘はNICUにこそ入りませんでしたが、血糖値が低く黄疸も強めでしたし、ミルクの飲み方が下手で体重が減ったりと、生後1ケ月ごろまでは心配の連続でした。

それでも、退院後に母乳の出がよくなって飲むのも上手になってからは体重も順調に増えて、今では身長・体重も標準より少し上です。運動発達は1歳ごろまではゆっくりめで、首がしっかりしたのが生後5ケ月、おすわりは生後8ケ月、はいはいは1歳になる直前でしたが、焦ったりよその子と比べないように心がけてきました。

1才2カ月の終わりには歩き始めて、今ではスタスタと早足で歩けるほど上手に。今は育児が楽しくて、生後1ケ月ごろまでの不安の日々がウソのようです。

※低出生体重で 生まれた場合、自分では呼吸ができず、母乳もうまく飲めない赤ちゃんはNICUの保育器の中 で育てられています。そんな赤ちゃんのそばには、成長に寄り添っている家族や、医療の向上や用品開発に取り組む関係者がいます。

こうしたNICUをとりまく現在の環境について、多くの方に伝えたいと、紙おむつmoonyでおなじみのユニ・チャームが「ちいさな いのち応援プロジェクト」を実施していました。

このプロジェクトの一環として、小さく生まれた赤ちゃんの現状をより多くの人に伝えるために、1000g台で生まれNICUに入院していた双子の赤ちゃんの成長と家族を追った動画を公開しています。

NICUでケアを受けながら体重が少しずつ増えて、無事に退院し家族と一緒に過ごしながら、1歳の誕生日を迎えるまでの成長の軌跡をぜひご覧ください。

「ちいさないのち、その成長にありがとう」

取材協力/淀川キリスト教病院ユニ・チャーム
文/村田弥生

※記事中の淀川キリスト病院 NICU画像以外の母子画像はイメージです。

監修
佐野博之先生
淀川キリスト教病院 小児科 主任部長
平成9年 大阪大学医学部 卒業
平成9年~大阪大学医学部 小児科
平成10年~りんくう総合医療センター市立泉佐野病院 小児科
平成12年~大阪大学医学部 小児科
平成13年~大阪府立母子保健総合医療センター 新生児科
平成24年~愛染橋病院 小児科 副部長
平成25年~淀川キリスト教病院 小児科 部長
平成29年~同 主任部長
資格
小児科専門医・指導医
新生児専門医:指導医
診療情報管理士
NICUを備えた病院で、家族の気持ちに寄り添った医療を実践しているドクターです。

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