【産婦人科医監修】不全流産の原因と症状は? 手術などの処置は必要?

 専門家監修
公開日:2018/11/28
【産婦人科医監修】不全流産の原因と症状は? 手術などの処置は必要?
監修
竹内正人先生

「元気な赤ちゃんを出産したい」と、妊婦さんならだれでもそう願いますよね。でも悲しいことに妊婦さん全体の約15%は流産を経験するといわれています。自然流産のなかで最も多い不全流産について解説します。

不全流産とは?

そもそも流産とは?

流産とは、胎児がおなかの外で生きていけない時期に、妊娠が終了してしまうことをいいます。ここでいう「おなかの外で生きていけない時期」とは、妊娠22週未満を指します。この時期に胎児が子宮の中で亡くなってしまったり、子宮から娩出されてしまったりすると、流産と診断されます。

また、流産は発症した時期により妊娠12週未満の初期(早期)流産と、妊娠12週以降の後期流産に分けられます。

不全流産は進行流産に含まれる

流産は、いくつかの種類に分けられます。まず、症状で分けると、出血や下腹部痛などの自覚症状がないものを「稽留流産(けいりゅうりゅうざん)」といいます。これに対し、出血や下腹部痛などの症状があり、流産が進んでいる状態を「進行流産」といいます。

進行流産は、流産が進んでいくうちに「完全流産」と「不全流産」に分かれます。完全流産は、胎児や胎嚢(たいのう・赤ちゃんが入っている袋)などの子宮の内容物がすべて自然に出てしまった状態で、出血や下腹部痛が治まっている場合が多く、経過観察で対処できることがほとんどです。

一方、不全流産は、子宮の内容物が出てきていますが、まだ一部が子宮の中に残っている状態で、出血や下腹部痛が続いていることが多く、内容物を取り除く治療が必要です。

不全流産の診断

流産は、症状だけで判断されることはありません。不全流産の途中で症状が軽くなったり、完全流産後でもまだ出血が続いたりする場合もあります。流産かどうか、また完全流産か不全流産かを確実に判別するために、病院では内診や超音波検査が行われます。

内診

内診では出血量や子宮口が開いているかどうかなどを確認します。

超音波検査

超音波検査では、完全流産の場合、胎嚢(たいのう:胎児が入っている袋)も胎児も確認できませんが、不全流産では胎嚢は認められるものの、胎児は確認できないか、胎嚢、胎児は認められるものの、胎児心拍は確認できません。多くの場合、胎児心拍の確認は1回だけではなく、間隔をあけて複数回行ったうえで判断されます。

不全流産の原因は?

不全流産に限らず、初期流産の多くは胎児側の因子によって起こり、その中で最も多いのが染色体異常です。染色体異常のほとんどは受精の瞬間に決まり、防ぐことはできません。妊娠した時期にママが激しい運動をしたり、重いものを持ったりしたからとって、それが原因で流産することはまずありません。
また、染色体異常は、妊婦さんが高齢になるほど増えるというデータがあります。

不全流産の症状は?

不全流産の主な症状は、性器からの出血と下腹部痛です。

出血

……出血がダラダラと続き、子宮内膜などの組織がかたまりとなって出てくることがあります。可能であれば、かたまりをテッシュペーパーなどで包み、病院に持参しましょう。

下腹部痛

……生理痛を強くしたような痛みや、鈍い痛みが続きます。

流産の進み方は個人差が大きく、出血の量やかたまりの大きさ、下腹部痛の強さなどはさまざまです。出血や下腹部痛があったときは受診しましょう。

不全流産のあとの処置方法は?

不全流産は、子宮の中に胎児や胎嚢などの内容物の一部が残っている状態です。そのまま放置しておくと、出血が続いたり、感染症を引き起こしたり、まれにポリープができたりすることがあります。そのため「子宮内容除去術」といって、子宮の中に残った胎児や胎嚢などの組織を取り出す手術を行うか、自然に出てくるのを待つ「待機療法」を行います。

不全流産の手術(子宮内容除去術)とは?

子宮内容除去術では、あらかじめ半日ほどかけて、ラミナリアやラミセル(水分を吸収して徐々にふくらむ細い円柱状の器具)などで子宮頸管を広げます。ただし、不全流産ではすでに子宮頸管が開いているので、この処置を行わない場合もあります。

手術には鉗子(かんし)やキュレットなどの専用の器具を使って内容物を取り出す掻爬(そうは)法と、吸引器を挿入して内容物を吸引する吸引法があります。どちらも多くの場合、全身麻酔を併用して行われます。手術そのものは5~10分ほどで終わり、感染症などの異常がなければ、日帰りもしくは1泊入院ですみます。手術後は、子宮収縮剤や抗菌薬などが処方されるので、最後まで飲みきりましょう。

待機療法では、まれに子宮内に内容物が残ってしまうことがあり、その場合は予定外の入院や、結局は子宮内容除去術が必要になる可能性があります。手術か待機療法かのどちらを行うかは、医師と相談して決めましょう。

不全流産の手術の費用は?

流産による子宮内容除去術は健康保険が適用されます。医療機関によって異なりますが、自己負担額はだいたい1~3万円ぐらいです。ただし、日帰りか1泊入院かなどによっても異なるので、受ける前に確認しておきましょう。待機療法のほうが経済的な負担は少なくなります。

不全流産後の生理はいつから?

流産後の生理は、1カ月前後で来る人が多いようです。ただし、生理の再開には個人差があるので、それより早く来る人もいれば遅く来る人もいます。生理が1~2回来たら、次の妊娠を考えてもよい時期です。

不全流産後、よりよい夫婦関係のための心のケア

夫婦にとって流産はとても悲しいことです。でも、流産の受け止め方は、夫と妻で必ずしも一致するものではありません。夫は妻に比べて実感がわかず、妻の気持ちに寄り添えない部分もあるでしょう。大切なのは、お互いに気持ちを抑え込まないこと。それぞれが素直に感情を吐き出して、わかり合えるようになりたいものです。

妊娠が判明したあと、流産するケースは約15%といわれています。何人かお母さんが集まれば、そのなかには必ずだれか1人、流産を経験したという人がいるくらい、流産は珍しいことではありません。そして、たくさんの人が流産後に無事に出産しています。

「赤ちゃんが来てくれた」という事実は、夫婦にとって貴重なことです。お互いの気持ちを受け止め合って、次のステップへ進んでいきましょう。

取材・文/小沢明子

監修
竹内正人先生
⽇本医科⼤学⼤学院修了。⽶国ロマリンダ⼤学留学を経て、葛飾⾚⼗字産院などに勤務。
よりやさしい「⽣まれる・⽣きる」をサポートするため、国や地域、医療の枠をこえて活動する⾏動派産科医。

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