子供の便秘、どうやって解消したらいい?【小児科医監修】


十河 剛先生
済生会横浜市東部病院 小児肝臓消化器科副部長
この記事は、子供の便秘解消法についてまとめたものです。「子供でも便秘になるの?」と疑問に思うママもいるでしょう。でも、便秘は大人だけの悩みではありません。中でもとくに赤ちゃんはまだ「うんちを出すこと」があまり上手にできず、そのために大人よりも便秘になりやすいといえます。気持ちよく、スムーズにうんちが出せるように、便秘の解消・予防のポイントを覚えておきましょう。
子供の便秘とは、どういう状態をいうの?
「うんちを出すしくみ」がうまく働かないと便秘になります
腸でうんちが作られて、肛門の上にある直腸にまで下りてくると、直腸が広がり、脳に「うんちが来た」という信号を送ります。すると、脳が「肛門をゆるめてうんちを出して」という指令を出し、そのタイミングでいきむとうんちが出る、というのが排便のしくみです。
でも、脳が指令を出したときに、何らかの理由でうんちを出すことができないと、出られなかったうんちは腸のなかで水分が吸収されてどんどんかたくなっていきます。そして、かたくなったうんちを出そうとすると痛いのでがまんしてしまう→新たなうんちが送られてきても出口がふさがっていて出られない→そのうんちも水分が吸収されてかたくなる→ますます出られない、という悪循環になります。この状態が、「便秘」です。
うんちが下りてくると直腸から脳に信号が送られ、脳から肛門をゆるめるようにという指令が出ます。そのタイミングでいきむとうんちが出ます。
うんちがたまったままだと直腸から脳に送られる信号が弱くなり、最終的には信号が出なくなってしまうことも。
うんちが渋滞し、大きなかたまりに。こうなってしまうと肛門をゆるめる指令が出てもうんちが出せなくなってしまいます。
うんちの頻度や回数だけでは判断できません
ママたちはよく、「3日に1回しか出ないから便秘?」「毎日出ているから便秘ではないよね」などと考えるようですが、便秘かどうかは、うんちの頻度や回数だけでは判断できません。「うんちが出ない状態」「うんちが出しにくい状態」が便秘です。そのため、毎日うんちが出ていても、「うんちがかたくてなかなか出ず、痛がって泣く」「出るまでにすごく時間がかかる」などという場合は便秘の可能性があります。
排便のリズムは人それぞれのため、一概に「○日出なかったら便秘」と決めることはできません。ただ、ひとつの目安として、「排便が1週間に2回以下」という場合、便秘である可能性を考えます。うんちの回数を参考にしつつ、うんちのかたさや量、うんちをするときのお子さんの様子などをみて判断することといえるでしょう。
子供の便秘の症状は?
一般的に、ママが子供をみて「便秘かな?」と考える目安となりそうな症状を、以下に挙げます。
□1週間に1~2回しかうんちが出ない
□うんちがかたい
□うんちをするときに苦しそうにしたり、顔を真っ赤にしていきんだりする
□うんちをするときに痛がって泣く
□うんちが出ると肛門が切れて血が出る
これらはあくまで目安ですが、このような状態がみられたら、たまったうんちをなるべく早く出してあげることが大切です。
「かくれ便秘」を知っていますか?
うんちが出ていても、「少しずつしか出ない」「おむつやパンツ」がいつもうんちで汚れている」という場合は、「かくれ便秘」の可能性があります。かたくて大きなうんちが肛門をふさいでいるために、そのすき間から水のようなうんちがもれたり、かたいうんちが少しずつくずれ落ちたりして出てくるのです。この状態を「便塞栓」といい、早期に治療が必要です。
子供の便秘の原因は?
子供は成長や食事の変化などによりうんちの状態が変わりやすいもの
0歳代で、母乳やミルクだけを飲んでいる時期は、うんちがやわらかく、比較的出しやすいといえます。しかし、離乳食が始まったり、幼児食に進んだりと食べる量が増えていくと、うんちの量が増え、かたくなっていきます。このような食事の変化、生活の変化などによって子供はうんちの状態が変化しやすく、ちょっとしたきっかけで便秘になることがあります。
赤ちゃんは、まだうんちを上手に出せないことも
赤ちゃんの時期は、まだ大人のようにスムーズにうんちが出せないことがあります。赤ちゃんは、脳から「肛門をゆるめてうんちを出して」という指令を受けても、大人ほど上手にゆるめることができません。おなかの筋肉もまだ弱いため、いきむことも苦手です。そのため、大人よりも便秘になりやすいといえるのです。
脳からの指令を受けて赤ちゃんが自分でいきみ、それに合わせて肛門がゆるんで便が出る、という一連の流れがスムーズにできるようになるのは、1歳半ぐらいから。いきむことも、おすわりやはいはいをするようになり、立ったり歩いたりと動くようになると腹筋が鍛えられ、力を込めていきめるようになってきます。
食事や精神的なストレスなどが原因で便秘になることもある?
母乳とミルクについては、一般的に、母乳の子のほうが、ミルクの子よりもうんちの回数が多くなる傾向があるようです。ただし、どちらが便秘になりやすいということはありません。
「離乳食が始まったら便秘になった」ということは多いようです。これは、水分だけでなく固形物から栄養をとるようになることで、うんちの量が増え、かたくなってくるためと考えられます。
ストレスなど精神的な要因や、不規則な生活が便秘の原因になることもあります。また、排便のリズムは生活リズムに影響を受けやすいといえます。親子ともに、なるべくストレスをためないこと、規則正しい生活を心がけること、体をよく動かすことなども、便秘の解消や予防のために大切なこととえるでしょう。
子供の便秘に市販の薬を使ってもいい?
用法用量を守って使うならOK
便秘になったら、「たまったうんちを出す」ことがいちばん肝心です。うんちが出にくくなっても、クリームやオイルを塗った綿棒で肛門を刺激する「綿棒浣腸」などで排便できるなら、あまり心配することはないでしょう。
母乳やミルクだけを飲んでいる時期は、比較的うんちがやわらかいため、綿棒浣腸で肛門を刺激することで出やすくなりますが、離乳食が始まり、うんちが固くなってくると、綿棒浣腸で刺激してもなかなか出なくなります。また、1歳ぐらいになると、赤ちゃん自身が綿棒浣腸をいやがるようにもなります。
綿棒浣腸してもうんちがなかなか出ない場合や、綿棒浣腸をすることが難しい時期になった場合には、市販の子ども用浣腸を使ってもいいでしょう。用法用量を守って使えば、心配ありません。
「浣腸をするとクセになる」と考えるママもいるようですが、浣腸をしたからといって、自然に排便できなくなることはないので、安心してください。
綿棒浣腸や市販の浣腸をしてもなかなかうんちが出ないときは、ホームケアだけで便秘を解消することは難しいかもしれません。便秘が長引くと、それだけうんちを出しにくくなってしまいますし、切れ痔や肛門のまわりの皮膚のただれなど、トラブルの原因になることもあります。また、ミルクアレルギーや、病気が原因で便秘の症状が出ることもあるため、ホームケアで改善しないときは、早めに小児科を受診しましょう。
綿棒浣腸のやりかた
綿棒の先端に、すべりやすくなるようにワセリンやクリーム、ベビーオイルなどをつけます。
赤ちゃんの足を軽く持ち上げ、綿棒の先を肛門に差し込みます。
綿棒の先の、綿球が隠れるくらいまで入れましょう。
綿棒の先を少し下向きにして、肛門の内側の壁をこするようにゆっくり刺激します。
病院で処方される便秘の薬は2つのタイプがあります
小児科で処方される便秘の薬には、主に「うんちをやわらかくするもの(酸化マグネシウムなど)」と「腸を刺激して動きをよくするもの(ラキソベロンなど)」の2種類があります。薬を使うことに不安を抱くママもいるようですが、便秘の薬は、スムーズな排便を助けるために、必要なものといえます。
便秘を少しでも早く解消し、「うんちをするって気持ちいいこと」とお子さんにわかってもらうためにも、小児科で処方されたら、指示を守って薬を使いましょう。
子供の便秘解消に役立つ食事とは?
バランスよく食べることがいちばん大切です
よく「便秘には食物繊維をとるといい」といわれますが、子供の便秘解消の手段としては医学的な根拠はありません。一般的に、便秘解消に良いといわれるさつまいもなどの「不溶性食物繊維」は、うんちのもとになるものですが、とりすぎるとうんちが固くなり、かえって便秘を悪化させてしまうこともあります。
便秘の解消・予防のためには、年齢に合ったバランスの良い食事をとることが大切です。食事とあわせて、水分を十分にとること、日中は体をよく動かし夜はたっぷり眠るなど規則正しい生活を心がけることも忘れないようにしましょう。
うちの子も!ママたちの便秘体験談
離乳食が始まって便秘になり、歩き始めたら解消(11ヶ月)
生後6ヶ月ごろ、離乳食を開始したら便秘になり、1週間出ないことも。おなかマッサージや綿棒浣腸もあまり効果がなく、いつも顔を真っ赤にしながらうんちを出していました。毎日りんごやバナナを食べさせていましたが、11ヶ月でひとり歩きするようになったら自然に改善。今は1日2回、スルッと出ています。
とにかく出ないので薬を使っています(1歳)
離乳食が2回になった7ヶ月ごろから便秘になり、出る日があったり、出ない日があったり。10ヶ月のころには、うんちを出すときにかなりいきみ、泣くこともありました。がんばってもチョコボール程度のうんちしか出ず、小児科へ。「詰まらせず、スムーズに出すことが大事」と言われ、今は、うんちをやわらかくする薬を使いながら様子をみています。
すぐ便秘になるので、いろいろな工夫をしています(2歳8ヶ月)
赤ちゃんのころから、ちょっとした環境や食事の変化ですぐに便秘になり、綿棒浣腸や離乳食の見直しなどで改善してきました。2歳で下の子が生まれる前にはストレスのせいかつらそうな便秘になり、小児科で薬をもらいました。今は、市販の浣腸薬や麦芽糖も使いながら、「ためない生活」を心がけています。
文/出村真理子
イラスト/もり谷ゆみ(出典:育児誌Baby-mo)

十河 剛先生
済生会横浜市東部病院 小児肝臓消化器科副部長
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