赤ちゃんが受けたい予防接種の種類と注意点は?【小児科医監修】

 専門家監修
公開日:2018/10/30
更新日:2019/06/28
赤ちゃんが受けたい予防接種の種類と注意点は?【小児科医監修】
監修
渋谷紀子先生
総合母子保健センター愛育クリニック

この記事では、赤ちゃんが受ける予防接種について解説しています。予防接種は種類が多く、接種時期や回数もさまざまです。赤ちゃんの健康に直接かかわることなので、予防する病気やワクチンの内容、接種後の副反応などについて知っておきましょう。

予防接種の目的は?

赤ちゃん時代には、かかりやすい病気がたくさんあり、その中にはかかると症状が重くなって深刻な後遺症を残したり、命にかかわるようなものがあります。予防接種は、こうした病気に赤ちゃんが感染しないように、たとえかかったとしても軽くすむようにという目的でつくられました。病原体の毒性を弱めたりなくした状態にしたワクチンを体内に入れ、病気に軽くかかった状態をつくって、病気に対する抗体を体の中につくるのが、予防接種のしくみです。

予防接種には定期接種と任意接種の2種類がある

予防接種は大きく分けて、定期接種と任意接種の2種類があります。

定期接種とは

国が接種をすすめ、万一の事故の際には予防接種法による救済措置がとられるもの。現行ではB型肝炎、Hib(ヒブ)、肺炎球菌、四種混合、BCG、MR(麻疹風疹混合)、水ぼうそう、日本脳炎がこれに当たります。決められた期間内なら無料で受けられます。

任意接種とは

定期接種以外のワクチン。ロタウイルス、おたふくかぜ、インフルエンザがこれに当たります。日本では任意接種ですが、海外では定期接種の扱いになっているものが少なくありません。任意接種は自費で受けますが、自治体によっては補助制度を設けています。

また、ワクチンには、次の3種類があります。

●生ワクチン……病原体の毒性を弱めたもので、十分な抗体ができるのに約1ヶ月かかります。次の予防接種は、4週間あけないと受けられません。

●不活化ワクチン……病原体の毒性をなくし、免疫をつけるのに必要な成分だけを取り出したワクチン。十分な免疫を得るには、何回か受ける必要があります。

●トキソイド……病原体の毒素を取り出し、毒性をなくしたもの。十分な免疫を得るには、何回か受ける必要があります。

乳児期に受けたい予防接種の種類とは?

乳児期に受けたい予防接種は次のとおりです。

0歳代に受けたい予防接種

B型肝炎           計3回

ロタウイルス(任意)  計2回または3回

Hib(ヒブ)           計3回

肺炎球菌            計3回

四種混合            計3回

BCG              計1回

        計15回(または16回)

インフルエンザを受ける場合は計17回(または18回)

1歳代に受けたい予防接種   

Hib(ヒブ)        追加接種1回

肺炎球菌        追加接種1回

四種混合        追加接種1回

MR(麻疹風疹混合)        計1回

水ぼうそう          計2回

おたふくかぜ(任意)     計1回

               計7回

 インフルエンザを受ける場合は計9回

乳児期に受けたい予防接種のワクチンの内容

定期接種のワクチン

Hib(ヒブ・インフルエンザ菌b型)

予防する病気……細菌性髄膜炎などのヒブ感染症
ワクチンの種類……不活化ワクチン
回数……3回+追加1回
接種時期の目安……生後2ヶ月を過ぎたら3~8週の間隔をあけて3回接種。その後7~13ヶ月あけて、1歳を超えたら追加を1回接種
副反応……接種した2日後までに、10%の割合で発熱したり、接種部位にはれやしこりが出たりすることがある。

2カ月から接種でき、1歳までに3回接種
ヒブ感染症は0~1歳の赤ちゃんがかかりやすく重症化しやすい。とくに髄膜炎は約5%が死亡し、25%に後遺症が残るといわれている。接種時期の2ヶ月になったらできるだけ早めに接種を開始し、1歳までに3回受けておくことが大切。ほかの予防接種と同時接種で、効率よく3回受け終えるのが理想。接種開始が「生後7ヶ月以上1歳未満」「1歳以降」の場合は、それぞれ接種回数が違うので注意して。

肺炎球菌 

予防する病気……細菌性髄膜炎などの肺炎球菌感染症
ワクチンの種類……不活化ワクチン
回数……3回+追加1回
接種時期の目安……生後2ヶ月を過ぎたら27日以上の間隔をあけて3回接種。その後60日以上あけて、1歳~1歳3ヶ月で追加を1回接種
副反応……20~30%に38度以上の熱が出ることがある。ただし、ほかのワクチンとの同時接種が原因で副反応が起きやすくなるわけではない。38度以上の熱が続いたり、高熱でぐったりするようなときは、病院へ。

ヒブと同時接種で2ヶ月から受けるのが理想
2ヶ月から1歳までに3回接種するため、ヒブや四種混合などと同時接種で受けると効率的。ヒブと同様、接種開始が「生後7ヶ月以上1歳未満」「1歳以上2歳未満」のときは、それぞれ接種回数が違うので、確認を。
肺炎球菌が入り込んだ場所により、細菌性髄膜炎、肺炎、中耳炎、菌血症などを引き起こし、2歳ごろまでの乳幼児がかかりやすい病気。とくに、赤ちゃんがかかると重症になるのが細菌性髄膜炎。かかる頻度はヒブより低いものの、肺炎球菌が原因の細菌性髄膜炎は、死亡率も後遺症が残る確率もヒブより高め。

BCG

予防する病気……結核
ワクチンの種類……生ワクチン
回数……1回
接種時期の目安……生後5~8ヶ月
副反応……接種部位が赤くなったり、ウミを持つことがある。100人に1人は、接種後1~3ヶ月して接種した腕のつけ根のリンパ節がはれることがあるが、数ヶ月で治る。接種後10日以内に接種部位が赤くはれたときは、すぐに予防接種を受けた医療機関か市区町村に報告を。

5~8ヶ月を目標に接種しましょう
BCGは針のついたスタンプを腕に押しつけ、ワクチンを皮下に押し込む。1歳まで公費接種ができるので、かかると重症化しやすいヒブと肺炎球菌を2ヶ月から接種し、BCGは5~8ヶ月で受けることがすすめられている。
結核菌に感染すると、原因不明の発熱が数週間続き、進行すると重症の粟粒結核になり、結核性髄膜炎を併発することも。毎年約2万人もの人が結核にかかっているので、赤ちゃんは大人から感染しないよう、BCGを受けておきたい。

四種混合

予防する病気……ジフテリア、百日ぜき、破傷風、ポリオ
ワクチンの種類……不活化ワクチン/トキソイド
回数……3回+追加1回
接種時期の目安……生後3ヶ月を過ぎたら3~8週の間隔をあけて3回接種。3回目終了後12~18ヶ月の間に追加を1回接種
副反応……接種部位が赤くはれたり、しこりのようになることがある。回数を重ねるごとに副反応が出やすくなる傾向も。接種部位の痛みや発熱が1日以上続くようなら、念のため受診して。

低月齢でもかかる4つの病気をまとめて予防
ジフテリアは、ジフテリア菌がのどや鼻、目などの粘膜に感染して起こり、呼吸困難、神経まひや心筋炎などが起き、亡くなることも。百日ぜきは百日ぜき菌によって起こり、月齢が低いほど重くなって合併症も起こしやすい病気。
破傷風は、破傷風菌が出す毒素のため、けいれんや筋肉の硬直などが起こり、死に至ることもある。小児まひ(急性灰白髄炎)は、ポリオウイルスが口から入って感染し、かかった人の0.1~2%に手足のまひが起こり、亡くなる人もいる。これらのかかると重い病気をまとめて予防することができる。

B型肝炎

予防する病気…… B型肝炎
ワクチンの種類……不活化ワクチン
回数……3回
接種時期の目安……母子感染予防の場合は健康保険が適用され、生後0、1、6ヶ月の計3回接種。それ以外は、2~3ヶ月ごろ4週間隔で2回、初回から20週以上あけて1回の計3回接種する
副反応……まれに接種部位がはれることがあるが、受診が必要なほどの副反応はほとんど見られない。

ママがキャリアの場合には、生後すぐに接種
キャリア(血液中にウイルスを無症状で持っている人)のママから生まれた赤ちゃんは、予防のため生後すぐに免疫グロブリンの投与やB型肝炎ワクチンの接種が必要。この場合は、健康保険が適用される。ママがキャリアでない場合も、希望すれば生まれてすぐから接種が可能。WHO(世界保健機関)では、ママがキャリアであってもなくても、乳児全員が予防接種を受けるようすすめている。

MR(麻疹風疹混合)

予防する病気……はしか(麻疹)、風疹
ワクチンの種類……生ワクチン
回数……2回
接種時期の目安……1歳過ぎたら2歳になるまでに早めに受ける。追加接種として、5歳過ぎたら7歳になるまでの入学前の1年間に1回
副反応……接種後7~10日ぐらいで、5~20%の子が軽く熱を出すことがある。発疹が出たりリンパ節がはれることも。熱が続いたときや全身に発疹が出たとき、熱性けいれんを起こしたときは受診を。

1歳になったら最優先で受けましょう
はしかと風疹はともに感染力が強く、今でも流行することがある。はしかは麻疹ウイルスが原因で、高熱が続き全身に発疹が出る。また、中耳炎、気管支炎、肺炎、脳炎などを併発して、後遺症を残したり、命を落とすこともある重い病気。
一方、風疹は風疹ウイルスが原因で、首のリンパ節がはれ、発熱、発疹が見られる。症状ははしかほど重くないものの、脳炎を併発したり、妊娠初期にかかると、先天性風疹症候群の赤ちゃんが生まれるおそれがある。公費で受けられる1歳になったら、すぐに接種を。また、免疫を確実につけるため、小学校の入学前に、2回目も忘れずに受けることが必要。

水ぼうそう

予防する病気……水ぼうそう
ワクチンの種類……生ワクチン
回数……2回
接種時期の目安……1歳過ぎたら1歳3ヶ月までに1回目を接種。その後3ヶ月以上あけて、2回目を接種。
副反応……ごくまれに、発疹の出ることがある程度。

感染力が強く合併症を起こすことも
水ぼうそうは感染力が強いので、1歳になったらすぐ1回目を受けて、2回目も早めに受けたい。このワクチンは、水ぼうそうに自然感染したあとで起こる帯状疱疹も予防する可能性がある。水ぼうそうの原因は、水痘帯状疱疹ウイルスで、新生児でもかかる。症状は発熱や発疹などで比較的軽いが、合併症で脳炎や肺炎などを併発し、亡くなることもある。

任意接種のワクチン

ロタウイルス

予防する病気……ロタウイルス感染症(主に嘔吐と下痢)
ワクチンの種類……生ワクチン
回数……ロタリックスは2回、ロタテックは3回(どちらか1種類)
接種時期の目安……ロタリックスは生後6ヶ月までに2回。ロタテックは生後8ヶ月までに3回
副反応……下痢症状が見られることがある。きわめてまれに、接種後1週間以内に腸重積症を起こすことが。繰り返す嘔吐や血便があったらすぐに受診を。

低月齢ほど重症化するので、2ヶ月から受けたい
ロタウイルスの予防接種は生ワクチンを飲む。接種可能な期間が短いため、同時接種でスケジュールを組み、2ヶ月からの接種がすすめられる。ロタウイルス感染症は、冬から春先に流行する。はじめてかかったときの症状が一番重く、低月齢でかかると重症化しやすいという特徴がある。発熱と嘔吐から始まり、その後激しい下痢が起こる。重症になると、脳症によるけいれんなどの合併症を引き起こすことも。

おたふくかぜ

予防する病気……おたふくかぜ
ウイルスの種類……生ワクチン
回数……1回(2回)
接種時期の目安……1歳過ぎたら早めに受ける
副反応……接種後2~3週間して耳の下がはれたり発熱したりすることがある。2000人に1人の割合で無菌性髄膜炎が起こるが、後遺症の心配はない。発熱、嘔吐、頭痛など、様子がおかしいと思ったら急いで受診を。

予防接種を受けて合併症も予防したい
おたふくかぜはムンプスウイルスが原因で、熱が出たり、耳下腺がはれたりする。心配なのは合併症を引き起こすこと。無菌性髄膜炎や脳炎(3~10%に合併)のほか、1000人に1人は後遺症で難聴になる。思春期以降にかかると、精巣炎や卵巣炎を起こすことも。任意接種でも、1歳過ぎたら接種したい。確実な予防のためには、5~7歳での追加接種が勧められる。

インフルエンザ

予防する病気……インフルエンザ
ワクチンの種類……不活化ワクチン
回数……毎シーズン2回
接種時期の目安……毎年、流行する前の10~11月に接種しておく
副反応……まれに接種部位が赤くはれたり熱が出たりするが、2~3日で治る。ごくまれに、接種後に強いアレルギー反応が起きることが。接種後30分は病院で様子を見て。

赤ちゃんは重症化しやすいので、流行前に接種を
冬から春先まで流行し、高熱や頭痛、関節炎などの全身症状が特徴。インフルエンザのワクチンは、翌年の流行を予測してつくられる。予防接種をしても、ワクチンに含まれないウイルスに感染することがあるが、症状は自然感染よりも軽くすむことが多い。

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予防接種を受けるときの注意点や持ち物は?

予防接種のスケジュールの組み方や日程の変更方法、スケジュールが狂ったときの立て直し方などは、小児科で相談しましょう。1歳までは受ける予防接種が多いので、効率的に受けるには、同時接種(同じ日に複数のワクチンを接種する)をうまく取り入れる必要があります。また、自治体によっては集団接種が行われているので、逃さないようにすることも大切。とくにBCGは定期健診の際に、集団接種が行われることがあるようです。

ワクチンについては、前もって配布された接種時の注意書きなどを読み、質問や不明点があれば保健センターなどに連絡して確認しておきましょう。予診票はあらかじめ記入し、母子手帳と一緒に必ず持参します。また、病院によってはカルテに記入するため、健康保険証や診察券を求められることもあるので、念のために持って行くとよいでしょう。混雑していると時間がかかるので、おむつやおしりふき、着替えも忘れずに。また、赤ちゃんがお気に入りの小さなおもちゃや絵本などを持っていくと、待ち時間が長くなったときに役立ちます。

出典 :はじめてママ&パパの 0~6才 病気とホームケア※情報は掲載時のものです

監修
渋谷紀子先生
総合母子保健センター愛育クリニック
東京大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院、山王病院、NTT東日本関東病院などの勤務を経て、現職。専門は小児アレルギー。私生活では四女の母でもある、やさしくパワフルなドクターです。

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