点頭てんかん(ウエスト症候群)の症状と原因、診断や治療方法は?

 専門家監修
公開日:2018/09/26
更新日:2018/09/27
点頭てんかん(ウエスト症候群)の症状と原因、診断や治療方法は?
監修
澤田雅子先生
澤田こどもクリニック院長

「てんかん」という病名は知っていると思いますが、「点頭てんかん」という病名はあまり聞いたことがないかもしれません。これもてんかんの一種ですが、赤ちゃんに起こりやすく、発達の遅れを引き起こすこともあるため、早期発見・早期治療がとても大切な病気です。今回は「点頭てんかん」について症状や原因、診断や治療の方法をお伝えします。

点頭てんかん(ウエスト症候群)とはどんな病気?

「点頭」とはどのような意味があるてんかんなのでしょうか?まずは、点頭てんかんについて知っておきましょう。

2歳以下の赤ちゃんに見られ、精神発達遅滞などを伴います

「てんかん」とは、脳の神経細胞に異常があって、体の一部や全身にけいれんや意識障害を起こす病気です。原因不明のてんかんも多いのですが、何らかの異常により脳に障害が加わって起こることもあります。

てんかんの原因や種類によって、いろいろなタイプのけいれんを起こしますが、その中で生後3ケ月ヶ月~1歳ごろまでに多い珍しいてんかんが、「点頭てんかん」です。点頭てんかんの症状や経過を初めて発表した医師の名前にちなんで、「ウエスト症候群」と呼ばれることもあります。

日本てんかん学会によると、点頭てんかんは赤ちゃん1,000人に0.16~0.42人の割合で発症します。女の子より男の子に多い傾向があり、2歳以降で起こすことはごくまれです。程度の差はありますが、多くの場合は知能や運動の発達遅滞を伴います。

点頭てんかん(ウエスト症候群)の症状は?

てんかん発作の主な症状はけいれんです。ただし、熱性けいれんなどよくあるけいれんとは違い、特有のけいれんを起こします。

けいれんの特徴は、バンザイポーズと頭をカクンカクンとさせる動き

点頭てんかんは発熱をともなうことはなく、特有のけいれんがたびたび見られます。けいれんの様子は、突然、手足をビクッと曲げて、バンザイのように両手をあげるポーズを瞬間的にくり返します。また、「点頭」とは「うなずく」という意味ですが、その名の通りおじぎをするように頭をカクンカクンとさせ、足も一緒に持ち上がります。

こうした特有のけいれん発作が見られることと、数秒から数十秒の間隔で、数回から数十回も発作をくり返すのが特徴です。発作は寝た姿勢でも座った姿勢でも、抱っこされているときでも起こりますが、たいてい数分でおさまります。けいれん発作は発熱とは関係なく起こり、けいれんしている間は意識がありません。

けいれん発作以外の症状では、赤ちゃんが笑わなくなったり不機嫌であやしても反応が乏しくなるなどの様子が見られます。また、首がすわっていたのに、またグラグラしてしまう、おすわりをしていたのにできなくなるといった、発達の退行が見られることも。

あやすとよく笑っていた赤ちゃんから豊かな表情が消え、運動発達面でできていたことができなくなったようなときは、点頭てんかんが疑われるため早めに小児科を受診しましょう。

点頭てんかん(ウエスト症候群)とモロー反射との違いは?

特有のけいれん発作を起こす点頭てんかんですが、似た動きにモロー反射があります。赤ちゃんの動きに驚かなくてすむよう、2つの違いをまとめました。

起こる時期や回数が大きな違いです

点頭てんかんのけいれん発作は、いきなりバッと手をあげてバンザイのようなポーズになることから、モロー反射と似ているように思うかもしれません。モロー反射とは、新生児期特有の原始反射の1つで、大きな音がしたとき上体が急に傾いたときなどに、ビクッとするように両手を大きく開きます。

モロー反射か点頭てんかんの症状か、赤ちゃんの動きを見ただけでママが判断するのは難しいかもしれません。ただ、モロー反射はたいてい生後3~4ヶ月ごろになると消えていきます。一方、点頭てんかんの発作が起こりやすくなるのは、生後3ヶ月ごろから。

また、モロー反射のビクッとした動きは大きな音がしたときなど1回ですが、点頭てんかんの発作は前述したように、少しの間隔をあけて同じ動きを何回もくり返します。

このように、起こる時期や回数、様子などに違いがありますが、素人が判断するのは難しいでしょう。赤ちゃんの動きが点頭てんかんでは?と心配なときは、スマホなど動画をとって、早めに小児科を受診して相談するといいですね。

また、健康な赤ちゃんでも、よく頭を左右に振ったり、首をカクンカクンと前後にふったりすることがあります。そうした動作を機嫌よくしていて、動作の最中に声をかけたりおもちゃを見せたりすると、「アッ」というように注目するようなら、点頭てんかんを疑う必要はありません。単に首を振るなどの動作が楽しくてしているだけ、と考えていいでしょう。

点頭てんかん(ウエスト症候群)の原因は?

てんかんの原因はわからない場合も多いのですが、点頭てんかんはいくつかの原因が考えられます。

原因はさまざまですが、多くは脳の障害により起こります

点頭てんかんは、発症までの発達は順調で、脳波の検査をしても異常がなく原因不明の場合もあります。ただ、たいていはママのおなかの中にいるときや、生まれた直後に何らかの異常があって脳に障害が残った場合に起こることが多いようです。

脳障害の原因としては、新生児重度仮死、染色体異常症、脳血管障害、先天奇形症候群などが考えられます。

点頭てんかん(ウエスト症候群)の診断基準は?

点頭てんかんは、特有なけいれん発作のほか、いくつかのチェック項目がそろったときに診断がつきます。

けいれんの様子や脳波の検査などから診断します

点頭てんかんの診断には、けいれんの様子を見たり、脳波の検査を行ったりします。点頭てんかんの場合は、脳波検査で「ヒプスアリスミア」という特徴的な波形が現れます。診断のためには、①特有のけいれん、②ヒプスアリスミア、③発達の遅れや退行、の3点が見られるとはっきり診断がつきます。

だだし、点頭てんかんの治療の効果や回復の状態は、原因によって変わってきます。そのため、できるだけ詳しい検査を行い、どのような原因で点頭てんかんが起こっているのかを突き止めることが大切です。

そこで脳波の検査に加えて、CT検査やMRI検査が行われたり、必要な場合はSPECT(脳の血流状態を画像にして見る検査)やPET(脳の代謝を画像化して見る検査)が行われることもあります。

点頭てんかん(ウエスト症候群)の治療方法は?

点頭てんかんの治療法はほぼ決まっていて、高い確率でけいれんを抑えることができますが、完治はなかなか難しいようです。

入院して薬を投与する治療が有効です

点頭てんかんは、治りにくいてんかんの1つです。診断がつけば、専門医のものとで抗てんかん薬を服用して治療します。抗てんかん薬が効かない場合には、より有効な副腎皮質刺激ホルモンを投与する治療を行います。この治療には入院が必要ですが、治療直後には50~80%の割合で症状がよくなっているとの報告があります。

その後は経過を観察していきますが、長期で見ていくと点頭てんかんを起こした子の約半分がその後もけいれんの発作が続いていくことがわかっています。点頭てんかんは、治療で一時的に症状はおさまっても、治りにくく、くり返しやすい病気と言えるでしょう。

治療については、原因によって医師の判断は変わってきます。説明をしっかり聞いたうえで、医師とよく相談しながら赤ちゃんの症状に一番有効な治療法が選べるといいですね。

子供が点頭てんかん(ウエスト症候群)と診断された時の注意点は?

点頭てんかんになった場合に大事なのは、診断がついた後よりもむしろ、いかに早く気づくかということ。早期に発見して診断してもらい、早く治療を始める必要があるからです。

早期に発見できるよう、赤ちゃんの様子をよく観察して

点頭てんかんは、最初のけいれん発作を起こして1ヶ月以内に治療を開始しないと、その後の発達がよくないという研究があります。治療開始が遅くなると、脳に大きなダメージとなり回復ができなくなる恐れがあるため、できるだけ早く治療を開始することが重要です。

点頭てんかんの疑いがある場合は、できるだけ早く専門医を受診することがカギとなります。赤ちゃんの場合、治療は単にてんかん発作を抑えるためだけではなく、順調な発達を促すためにも必要なのですね。

そこで、普段から赤ちゃんの運動発達の様子や体の動きをよく見ておき、少しでもおかしいと思ったときは、早めに小児科で相談しましょう。

一部画像出典:『はじめてママ&パパの病気とホームケア』(主婦の友社 刊)

取材・文/村田弥生

監修
澤田雅子先生
澤田こどもクリニック院長
1991年東京大学医学部小児科入局。国立小児病院新生児科、愛育病院小児科、東大病院小児科アレルギー外来などを経て、2003年に澤田こどもクリニックを開業。明るく親しみやすい人柄と、わかりやすい説明が評判のママ先生です。

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