【医師監修】妊娠悪阻って何? 症状や原因は? 対策についても知りたい!

 専門家監修 公開日:2018/10/12
【医師監修】妊娠悪阻って何? 症状や原因は? 対策についても知りたい!
監修
天神尚子先生
三鷹レディースクリニック 院長

妊娠初期には、吐き気や食欲不振、消化不良などといったいわゆる「つわり」が始まりますが、これが悪化すると「妊娠悪阻(おそ)」になることがあります。妊娠悪阻は重症化すると、まれに母子ともに危険な状態になってしまうこともあるため、早めに対処する必要があります。今回は、そもそも妊娠悪阻がどういうものなのか、その症状や原因、また対策についてご紹介します。

そもそも妊娠悪阻とはどんなもの?

一般的に妊娠5~6週目くらいから始まる吐き気や食欲不振、消化不良などの不快症状を「つわり」と呼びますが、つわりの中でも消化器系の症状が異常に重症化して体が脱水・飢餓状態となり、治療が必要になるものを「妊娠悪阻」と言います。

つわりは大体妊娠5~6週目に始まることが多く、8~12週目くらいにピークを迎えたのち、12~16週目ごろまでには症状が落ち着いてくることがほとんどです。妊婦の多くがこのつわりを経験しますが、軽い・重いなどの症状の程度については個人差が大きく、また中には出産まで症状が治まらないという人もわずかながらいます。

つわりは全妊婦の50~80%に発症すると言われていますが、妊娠悪阻の頻度は全妊婦の1~2%程度で、それほど多くはありません。また、妊娠悪阻は経産婦よりも初産婦のほうが発生頻度は多いと言われていますが、妊娠悪阻が重症化するケースは初産婦よりも経産婦のほうが多くみられます。

妊娠悪阻になる原因は?

つわりや妊娠悪阻の原因については、実はいまだにはっきりと分かっていません。妊娠によって急激に体内のホルモンバランスや代謝が変化するからとするものや、赤ちゃんという体内の異物に対するアレルギー反応だとするものもありますが、今のところ原因は不明です。また、つわりや妊娠悪阻には、妊婦さん自身の体質が関係しているという意見もあります。

妊娠悪阻はどんな症状があらわれるの? つわりとの違いは?

妊娠悪阻とつわりを区別するための明確な基準はありませんが、一般的にはつわりがひどく重症化したものを妊娠悪阻と考えます。まずは、つわりそのものの症状にはどういったものがあるののか、主なものを見ていくことにしましょう。

・気持ちが悪い
・食欲がない
・吐き気がする
・嘔吐する(吐きづわり)
・においに敏感になる
・食べないとムカムカする(食べづわり)
・食べ物の好みが変わる
・すっぱいものが食べたくなる
・体がだるい
・眠い

つわりももちろんとてもつらい症状ですが、症状は一時的なものが多く、基本的にはなんとか我慢できるレベルです。妊娠悪阻はつわりの中でも特に消化器系の症状が重症化した状態をいいますが、症状はつわりと違って一時的ではなく、吐き気や嘔吐などが継続的に続くという特徴があります。

妊娠悪阻の代表的な症状としては、以下のものがあります。

・吐き気と嘔吐がひどく、食事がとれない
・食べても繰り返し吐いてしまう
・食べ物だけでなく水分も受けつけない
・食べられないため急激に体重が減少する

妊娠悪阻を発症すると、吐き気や嘔吐の繰り返しによって、食事や水分の摂取が困難になるため、体が脱水症状と飢餓状態といった栄養・代謝障害をきたし、体重も急激に減少していきます。重症化すると母子ともに命の危険にさらされることもあるため、妊娠悪阻は早めの治療が必要となります。

妊娠悪阻かどうかのチェックポイントは?

妊娠悪阻はつわりが重症化した状態なので、自分の症状がただのつわりなのか、それともさらに重症な妊娠悪阻なのか、自分で判断するのは難しいでしょう。つわりの程度がひどい場合は、まずは以下のチェックポイントを確認してみましょう。

妊娠悪阻のチェックポイント

□ 吐き気と嘔吐がひどくて食事がとれない
□ 食べても繰り返し吐いてしまう
□ 食べ物だけでなく水分も受けつけない
□ トイレの回数が極端に減った
□ 急激に体重が減少した(目安は1週間に2~3㎏)

これらのチェックポイントに1つでも当てはまる項目がある場合は、念のためかかりつけの産婦人科を受診するようにしてください。検査の結果、妊娠悪阻でなかったとしても、つわりがひどい状態であることには変わりないので、医師から症状改善のためのアドバイスなどを聞くことができるはずです。

妊娠悪阻と診断された場合の治療方法は?

妊娠悪阻になると、吐き気や嘔吐で十分に食べ物が食べられず、水分もとれなくなるため脱水症状を起こします。また、体が飢餓状態になるため、エネルギー源であるブドウ糖が不足し、代謝異常を起こしてケトン体の産生が促進され、血中・尿中アセトン体が増加します。

また、このほかにも嘔吐などによって電解質異常が生じたり、ビタミンB1やビタミンKが不足したりします。

妊娠悪阻は、血液検査によって血液の濃度や電解質の状態をチェックするとともに、尿検査により尿中のケトン体をチェックします。これらの結果から妊娠悪阻と診断された場合は、水分や栄養素を補うための点滴治療が行われることになります。

一般的には、生理食塩水やブドウ糖液、アミノ酸液などの輸液を点滴することになりますが、妊娠悪阻の治療にはビタミンB1をはじめとするビタミンB群が効果を発揮することが分かっているため、場合によってこちらも併せて投与することもあります。

点滴治療をしても激しい嘔吐が続くような場合は、鎮吐剤や鎮静剤を投与するケースもあります。ただし、妊娠悪阻が発生する妊娠初期は、胎児の器官形成という大切な時期でもあるため、薬の影響が気になるところ。そのため、この場合は副作用が少ない薬を必要最低限だけ使うことになるでしょう。

また、これら病院での治療のほかに、少量の食べ物を頻回に分けて摂取する、食間に少しずつ水を飲むといった嘔吐を減らすための食事指導や、吐き気や嘔吐による精神的なストレスを軽減するためのカウンセリングなども行われたりします。

妊娠悪阻で病院を受診するタイミングは? 入院になることもあるの?

妊娠悪阻かどうかを自分で判断するのは難しいですが、つわりがひどくつらい状態で、先ほどご紹介した「妊娠悪阻のチェックポイント」に1つでも当てはまる項目がある場合は、我慢せずにすぐにかかりつけの産婦人科を受診するのがいいでしょう。

ひどいつわりがあっても、それをつらいと感じるかどうかは人それぞれです。嘔吐を繰り返す、食事や水分が満足にとれないという場合は、自分でも気がつかないうちに体が脱水・飢餓状態に陥ってしまっていることもあります。このような症状がある場合は、念のため一度産婦人科で診てもらったほうがよいでしょう。

軽度であっても入院するケースが多い

病院ではつわりの症状を確認したうえで、血液検査や尿検査によって妊娠悪阻かどうかを判断します。妊娠悪阻の治療は通院しながらでも受けることができますが、妊娠悪阻は消化器系の不快症状が続くことによる先の見えない不安やおなかの赤ちゃんに対する心配など、精神的な要因もかなり関わってくるため、ストレスを軽減するために入院治療を勧められるケースもよくあります。

入院することによって、点滴治療などと併せてカウンセリングを行うなど、妊婦さんが心穏やかに過ごせるようなメンタルサポートが受けられることにより、症状が改善される場合もあります。

つわりは多くの妊婦さんが経験するものの、妊娠悪阻のように重症化するケースはそれほど多くはありません。ただ、妊娠悪阻で母体の状態が悪くなると、まれに母子ともに命の危険にかかわることもあります。つわりがひどくて食事や水分がほとんどとれない、また体重が急激に減少しているという場合は、妊娠悪阻の可能性があるので、1日も早くかかりつけの産婦人科を受診するようにしてください。

文/土田奈々子

監修
天神尚子先生
三鷹レディースクリニック 院長
日本医科大学付属病院、同大学産婦人科を経て、2004年に現クリニックを開院。年齢によって異なる女性のライフステージを考慮した治療を行っています。2人の子育てをした経験からくるアドバイスは頼りになると評判です。

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