新生児の下痢ってどんなもの?原因と症状、対処法は?【小児科医監修】

 専門家監修
公開日:2018/09/03
更新日:2019/10/08
新生児の下痢ってどんなもの?原因と症状、対処法は?【小児科医監修】
監修
澤田雅子先生
澤田こどもクリニック院長

この記事では、新生児の下痢の見極め方や症状、対処法などについてまとめました。新生児期の赤ちゃんは、もともとうんちがゆるゆるで回数も多めです。いつも下痢のようなうんちですが、新生児にとってはそれがふつうの状態。では、本当の下痢になったらどう判断したらいいのでしょうか? そんな疑問にお答えします。

新生児の排便と下痢ってどんなもの?

新生児期は、回数や色など特有のうんちをすることが多い時期です。どんなうんちが普通なのかをまず知っておきましょう。

回数が多くて水っぽく、黄色や茶色、緑色なのが普通です

赤ちゃんのうんちの回数には個人差が大きいのですが、たいてい生まれてしばらくはおしっことともにうんちの回数も多く、授乳のたびにうんちをすることもよくあります。多い場合は、1日に10回程度うんちをする、という子も珍しくありません。

うんちの色や状態は、赤ちゃんによってまちまちです。色は、生後すぐのころに胎便と呼ばれる黒っぽいうんちが出ますが、その後は黄色や茶色がかったうんちになります。ときどき緑色っぽいうんちが出ることもありますが、これはうんちが酸性になって黄色い胆汁が酸化されたために緑色に変化したもので、心配いりません。

うんちの状態は、母乳やミルクだけを飲んでいる時期の赤ちゃんのうんちは、水分が多くベチャベチャとしていたりゆるめです。大量にするとおむつからはみ出して、洋服を汚してしまうこともあるでしょう。

ときには、白いツブツブが混じったうんちをすることもありますが、これは腸で吸収されなかった脂肪分やカルシウムが、そのまま出てきてしまったもの。生後2ケ月くらいまでの赤ちゃんによくあることです。

また、おむつのうんちが泡立ったような状態になっていることもありますが、うんちが空気と混じっただけなので、これも心配いりません。

一般に下痢とは、赤ちゃんが飲んだ母乳やミルクが、腸で十分に吸収されずに出てしまう状態をいいます。新生児はいつも水っぽいうんちをしていることが多いので、下痢かどうか見分けるのは難しいと思うかもしれません。でも、普段から赤ちゃんのうんちをよく見ていると、下痢をしたときもわかってくるものです。

新生児の下痢、見分け方はどうすれば?

下痢は、うんちが水っぽいとか回数が多い、などから判断しますが、新生児の場合は普段からうんちが水っぽく回数も多めです。そこで、下痢かどうか判断するときのポイントを知っておくことが大切です。

いつもと比べて、水分や回数が極端に多くなるのが下痢です

新生児が下痢かどうかを見極めるキーワードは、「いつもと比べて」です。いつものうんちと比べて、「より水分が多い」「回数が極端に増えた」「においが違う」などの点から、下痢かどうかを判断します。

新生児のうんちは、ゆるゆるで水分が多めなことが多いのですが、下痢をするとさらに水分が多く水のようになります。そのため、量がそれほど多くなくても、うんちをするたびにおむつから流れ出てしまうこともあります。

また、母乳やミルクだけ飲んでいるころのうんちは、普段から甘酸っぱいにおいがしますが、これは嫌なにおいではありません。下痢になると、うんちがツンと鼻につく酸っぱい刺激臭になり、明らかに普段とは変わります。

一番わかりやすいのは回数です。下痢になるとかなり多くなり、普段の倍近くになることもあります。もともとうんちの回数が多めな赤ちゃんの場合は、下痢になると1日20回以上もうんちをする場合もあります。

うんちの色は、赤ちゃんの体調や腸内環境によって変わるため、いつも同じというわけではありません。それでも、下痢が疑われてうんちの色も白っぽくなった場合は、ウイルス性腸炎が疑われるので早めに小児科を受診しましょう。

うんちの回数や状態、においや色などから下痢やほかの病気などを見極めるには、日ごろからおむつ替えのときに赤ちゃんのうんちをよく観察し、色や状態、においなどを覚えておくことが大切です。

また、便の回数が増えて拭く回数も増えるからという理由もありますが、病的な下痢便がついたおしりはいつもよりただれやすくなります。丁寧にきれいにしているつもりなのにおしりが急に真っ赤にただれてくるようなら下痢を疑いましょう。

新生児の下痢の原因は?

新生児の場合はママからもらった免疫の働きがあるため、ウイルスや細菌に感染して下痢になることは少ないでしょう。また、かかったとしても軽く済むことが多いものです。とはいえ、感染の可能性はゼロではないので、注意が必要です。

一般に、下痢のおもな原因としては、ウイルス感染や細菌感染による腸の炎症、一時的な飲みすぎ、お腹の冷え、などさまざま考えられます。下痢のほかにどんな症状が見られるのかも判断の目安になります。

新生児が下痢をしたときに考えられる病気

風邪、インフルエンザ

発熱、鼻水、咳がおもな症状ですが、下痢をすることもあります。ただ、消化機能が低下することによる下痢なので、症状はわりあい軽くすみます。

ウイルス性胃腸炎

うんちの回数がだんだん増えて、水分も多くなり水のようなうんちが出ます。ロタウイルスやノロウイルスが原因の胃腸炎にかかると吐いたり、水のようなうんちが1日10回以上も出ることもありますが、2-3日すると症状は治まってきます。

【新生児が気をつけたいロタウイルス性胃腸炎】

ロタウイルス性胃腸炎は、5才までにほぼ100%感染すると言われているので、新生児でもかかることが十分に考えられます。

ロタウイルス性胃腸炎になると、よくうんちが白っぽくなると言われますね。ロタウイルスに感染すると、うんちの色のもとになる胆汁が出にくくなり、白っぽいうんちが出ることがあります。でも、胆汁の分泌量によってうんちの色は変わるので、必ず白くなる、というわけではありません。

ロタウイルス性胃腸炎は初めてかかったときの症状が一番重く、低月齢でかかると重症化しやすいのですが、予防接種で防ぐことができます。接種できる月齢が早くて期間が短いうえ、任意接種のため費用がかかります。さまざまな条件を調べたうえで、受けるなら接種スタート前にスケジュールに組み込んでおくのが理想です。

細菌性胃腸炎

新生児にはめったにありませんが、いわゆる食中毒です。原因は、黄色ブドウ球菌、カンピロバクター、サルモネラ菌、病原性大腸菌(O-157など)、ボツリヌス菌などの細菌で、下痢だけでなく高熱が出たり嘔吐することもあります。

細菌性胃腸炎にかかると、うんちに血や粘液が混じることがあります。ウイルス性胃腸炎よりも症状が重くなりやすいので、血便が出た場合は急いで受診しましょう。

新生児が下痢をしたら、どんな時に病院に行くべき?

新生児は抵抗力がないため、病気になると悪化しやすいものです。下痢を起こしたときにはほかにも症状がないかをよく確認し、以下のようなときは受診しましょう。

こんな様子があったら病院へ

・1日のうんちの回数が、いつもの倍以上になった

・白っぽいうんちが出た

・血便が出た

・下痢に加えて嘔吐もしている

・気持ちが悪そうな様子が続く

・おしりのただれがひどく、ケアしても治る様子がない

下痢の回数が増えて嘔吐も伴うときは、脱水症の危険があるので早めに受診してください。うんちの検査をする場合もあるので、おむつを持参したほうがいいかどうか、受診前に病院に症状を告げて問い合わせましょう。

うんちのついたおむつを持っていく場合は、ビニール袋に入れるなどしっかり密閉を。病院によっては、ほかの子への感染を防ぐために、おむつは持参せずにスマホなどで写真を撮ってくるよう指示する場合もあります。

新生児の下痢は、母乳やミルクと関連性はあるの?

母乳やミルクが下痢の原因になることはまずありませんが、ミルクは衛生面に注意を

母乳は、ミルクと比べると乳糖が多く含まれています。乳糖は、腸内のビフィズス菌を活性化させる働きがあるため、一般には母乳の赤ちゃんはうんちの状態がミルクの赤ちゃんよりゆるめになります。また、腸内のビフィズス菌が活性化すると排便が促されるので、うんちの回数も多くなります。

母乳100%だった赤ちゃんに、だんだんミルクを足すようになると、うんちが少しかためになったり回数が減るということはよくあります。ただ、赤ちゃんのおなかの状態などにより個人差があるので、母乳だからといって必ずしもうんちの回数が多いというわけではありません。また、母乳やミルク自体が下痢の原因になることもないでしょう。

ただし、ミルクの場合は調乳器具が不衛生だったり、作り置きしたミルクを飲ませたりした場合には、細菌が繁殖していて下痢を起こすこともあります。新生児期は、調乳器具は使ったらよく洗って消毒したものを使い、ミルクは授乳のたびに作り直したものを飲ませましょう。

新生児が下痢をしたときの対処法は?

赤ちゃんが下痢をしたときは、水分補給を第一に。おしりがかぶれやすくなるので、ケアも必要です。

水分補給を脱水予防を

赤ちゃんが下痢をしたとき、何よりも大切なのは水分補給です。赤ちゃんは体から出入りする水分の量が多いので、下痢のために水分が失われると、短時間で脱水状態になってしまう危険があります。

新生児期はまだ母乳やミルクしか飲んでいませんが、下痢の時は水分補給のためにいつもの授乳に加えて湯ざましを飲ませましょう。また、母乳の場合は分泌量が減らないように、ママ自身も水分補給を心がけることが大切です。

【脱水を見分けるポイント】

・顔色が青白く、普段と比べておしっこの回数が極端に少ない、または長時間おしっこが出ていない

・唇や口がカラカラに乾いている

・目のまわりがシワシワして、おちくぼんだ感じがする

・泣いても涙が出ない

・意識がはっきりせず、ぐったりしている

※水分がとれているように思っても、十分に飲めていない場合もあります。上記のような症状が見られたときは急いで病院へ。特に、ぐったりしているときは救急車を呼びましょう。

こまめにおむつを替えて、おしりを洗いましょう

下痢のうんちは刺激が強いので、デリケートな新生児のおしりはすぐにかぶれてしまいます。うんちをしたら、すぐにおむつ替えをしますが、ゴシゴシ拭くと刺激になります。できれば、シャワーや座浴などでおしりを洗ってあげるといいですね。

首すわり前の新生児をシャワーや座浴させるのは大変!という場合は、ペットボトルなどにぬるま湯を入れておむつ替えのときにおしりを流したり、ぬるま湯にひたしたガーゼでおしりを洗うように拭くなどするといいでしょう。

洗ったおしりはやさしく拭いて、保湿剤を塗っておきます

下痢のうんちで汚れたおしりの皮膚は、刺激に敏感です。洗い流したあとは、ゴシゴシと拭くのではなく、やわらかいガーゼやタオルをそっと押し当てて水気を取るだけにしましょう。洗う時も流す時もこすったり拭いたりという行為で赤ちゃんの皮膚を刺激しないよう、注意しましょう。

きれいになったおしりには、保湿剤を塗っておしりを保護します。かぶれて赤くなってしまっても、うんちのたびに洗い流して保湿剤でケアしていればすぐによくなるでしょう。もし、手持ちの保湿剤をつけていてもかぶれがなかなかよくならないときは、小児科を受診しておしりかぶれ用の軟膏について相談するといいでしょう。

まだ抵抗力が弱い新生児が下痢になると、心配ですよね。普段から赤ちゃんの様子やうんちの状態や様子をよく見ておき、いつもと違うときには早めに受診して、大事に至らないようにしたいものです。

一部画像出典:『はじめてママ&パパの病気』(主婦の友社 刊)
取材・文/村田弥生

監修
澤田雅子先生
澤田こどもクリニック院長
1991年東京大学医学部小児科入局。国立小児病院新生児科、愛育病院小児科、東大病院小児科アレルギー外来などを経て、2003年に澤田こどもクリニックを開業。明るく親しみやすい人柄と、わかりやすい説明が評判のママ先生です。

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