新生児が母乳やミルクを吐く原因は?対処法はあるの?【専門家監修】

 専門家監修
公開日:2018/06/07
更新日:2018/06/21
新生児が母乳やミルクを吐く原因は?対処法はあるの?【専門家監修】
監修
澤田雅子先生
澤田こどもクリニック院長

新生児など月齢が低い時期の赤ちゃんは、もともと母乳やミルクを吐きやすいものです。とはいえ、授乳後に毎回のように吐く、急に吐く、勢いよく大量に吐く、などの場合には心配になりますね。今回は、赤ちゃんが吐く原因や吐いたときの対処法など、吐くことに関するあれこれをまとめましたので、参考にしてくださいね。

赤ちゃんがミルクの吐き戻しをする原因は何?

赤ちゃんは、月齢が低いほどよく吐くことがありますが、その原因はいくつか考えられます。たいていは生理的な原因の場合が多く、心配のいらない吐き戻しがほとんどです。

赤ちゃんの胃の形や、胃の入り口のしまりがゆるいことが原因です

赤ちゃんがよく吐くのは、胃の構造が大人に比べてはきやすい形をしていることが大きな原因です。大人の胃は、アルファベットの「J」のようにカーブしていますが、赤ちゃんの胃はストンとしたまっすぐなとっくり形です。

しかも、胃の入り口の筋肉がしっかりと締まっていないので、内容物が逆流しやすくなっています。そのため、ゲップや軽い咳をしたはずみなどで、タラッと吐くことがよくあります。これは「吐き戻し」「いつ乳」と呼ばれ、特に心配する必要はありません。

胃の入り口の筋肉の締まりがとても弱く、授乳後に飲んだものをダラダラと出すような吐き方をする赤ちゃんもいますが、この場合も1歳ごろまでに自然に治るので、様子を見ていて大丈夫です。

いずれにしても、月齢が上がるにつれて、母乳やミルクの飲み方が上手になっていくと、空気を飲み込まないようになるので、ゲップなどの拍子に吐くことは少なくなります。

赤ちゃんが吐き戻すのは病気ではないの? 病気との見分け方は?

胃の形の問題など、生理的な原因で授乳後にタラッと吐く程度なら、赤ちゃんは機嫌がよく食欲もあって、体重も少しずつ増えているはずです。この場合は、心配しなくて大丈夫。そのほか、赤ちゃんが吐いても心配のないのはどんなときか、病気で吐くときはどうやって見分けるのか、などをお知らせします。

病気ではなく吐くケース1

母乳の出が良すぎる、ミルクを飲みすぎた

生後3ヶ月くらいまでの赤ちゃんは、まだ脳の働きも未熟なために満腹感を感じることができません。また、「吸てつ反射」といって、口に近づいたものに吸いつく反射があるため、一度乳首をくわえるといつまでも吸ってしまうこともあります。そのため、ミルクや母乳を飲みすぎてしまうことが多いのです。

特に、哺乳びんの乳首の穴が赤ちゃんの飲み具合に対して大きめだと、ミルクがどんどん出てしまうので、赤ちゃんはおなかがいっぱいになっても飲んでしまいます。

また、赤ちゃんが生後1ヶ月くらいになると、母乳育児の場合はママの母乳の出が軌道に乗ってきて、出が良くなってきます。そのため、授乳時間になるころにはおっぱいがパンパンに張っていて、乳首から母乳があふれ出ていることもあります。

赤ちゃんのねんねなどで授乳間隔があいてしまったときには、いつも以上に母乳の出が良くなり、赤ちゃんがむせるほど出ることも。赤ちゃんの月齢が低いうちは、たっぷり出る母乳をどんどん飲んで、飲みすぎになることがよくあります。

病気ではなく吐くケース2

授乳後にうまくゲップが出なかった

月齢の低い赤ちゃん、特に新生児のころは、母乳やミルクを飲むのがまだ上手ではないため、授乳の時に空気も一緒に飲み込んでしまいます。それを出すために授乳後にさせるのが、「ゲップ」です。

ところが、ママが慣れていなかったり、赤ちゃんの姿勢が悪いなどで、ゲップがうまく出ないことも多いものです。すると、飲み込んだ空気のせいでお腹が張って苦しくなり、次のミルクは飲めなくなったり、飲んでもゲップと一緒に飲んだものを吐いてしまうということがよくあります。

授乳後にうまくゲップをさせることができれば、吐くことも少なくなるでしょう。ただし、たくさん飲みすぎたときには、授乳後のゲップと同時にゲボッと吐いてしまうこともあるので、口元の下にハンドタオルを置くなど汚れ防止をするといいですね。吐いた後ぐったりではなくすっきりした表情ならまず心配はいりません。

病気ではなく吐くケース3

授乳後に、急に体を動かした

授乳したあと、ゲップをさせようと赤ちゃんをたて抱きにしようと体を動かした拍子に、飲んだものを吐くことがあります。赤ちゃんの胃は形がまっすぐで入り口の締まりも弱いため、授乳後しばらくたっていても、急に態勢を変えたときに胃の中にあった母乳やミルクが出てしまうことも。

新生児が、噴水のように勢いよく大量に吐くときは要注意!

赤ちゃんが吐く病気はさまざまですが、新生児期の赤ちゃんはママからもらった免疫があるため、感染症などにはかかりにくいものです。このころに病気で吐くのは、消化器系の病気による場合がほとんどです。

この時期の赤ちゃんが吐く病気といえば、代表的なのが「肥厚性幽門狭窄症(ひこうせいゆうもんきょうさくしょう)」です。胃から十二指腸へと続く部分を幽門といいますが、この幽門の筋肉が厚くなっているために、内側が狭くなる病気です。なぜ幽門が厚くなるのかははっきりわかっていませんが、先天的な場合もあれば、ホルモンが関係している場合のあるのではないかと言われています。

【肥厚性幽門狭窄症の症状】

生後2~3週ごろから生後3ケ月くらいまでの赤ちゃんの病気です。多く見られるのは男の子で、理由はわかっていませんが特に第一子の場合が多いようです。とはいえ、女の子でもなることはあります。発症頻度は1000人に1人といわれ、決して珍しい病気ではありません。

この病気になると、授乳のたびにまるで噴水のように勢いよく大量に吐くのが特徴です。吐いた母乳やミルクは、数メートル飛ぶこともあるほど。これは、飲んだものが十二指腸に流れにくくなっているからで、吐くのは飲んだものに限られます。

この病気になるとくり返し吐くために体重の増え方が悪くなり、赤ちゃんは元気がなくなってきます。ときには脱水を起こすこともあります。

胃の出口部分(幽門)の筋肉が厚くなっているため、飲んだものが胃から下に行かずに上の食道のほうへ逆流してしまいます。

【肥厚性幽門狭窄症の治療】

点滴で水分や栄養を補給しながら、厚くなった幽門の筋肉を切開して広げる手術をします。手術は30分ほどで終わる簡単なもので、入院は約5日ほどですみます。手術をすれば再発することはなく、合併症を起こす心配もありません。また、手術後は早い時期から授乳することもできます。

手術以外には、筋肉をやわらげる薬を静脈から、またはチューブで胃から入れる方法もあります。ただし、この方法は長期に入院するうえに、退院後も通院が必要になります。さらに、効果にも個人差があるので、一般的には手術がすすめられています。

ふくらんでるのが、筋肉の厚くなっている部分。おなかの上からさわるとしこりを感じることでわかります。この部分を切って広げます。

吐き戻しの解決法と症状を和らげる対策方法は?

新生児期の赤ちゃんの吐き戻しは、たいていは心配がないことがわかりましたね。とはいえ、授乳のたびに吐いているようだとやはり気になりますし、ママや赤ちゃんの洋服が汚れて困ることもあるでしょう。そこで、吐き戻しがしにくくなる対策方法をお知らせします。

授乳は、ときどき休憩を入れながらゆっくりと

月齢の低い赤ちゃんは、口に含んだ乳首は全力で吸ううえ、まだ満腹感を感じにくいので、どんどん飲んでしまいます。授乳のときには一気飲みにならないよう、ときどきママが赤ちゃんの口から乳首を放して、少し休憩を入れながら飲ませるようにしましょう。

乳首から口を放すには、赤ちゃんのくちびるの端に指を入れて、口を横に少し広げるようにするとスムーズに離れます。

出の良い母乳は授乳前にしぼり、哺乳びんの穴は小さめに

母乳の出がいいと、授乳時間にはおっぱいがパンパンに張って、自然に母乳がタラタラと出ることもあります。その場合は、飲ませる前にまず少し母乳をしぼって乳房の圧を抜きましょう。乳首から手を放しても、母乳が出なくなる程度まで前しぼりしてから飲ませることが大切です。

ミルクの場合、赤ちゃんが数分で一気に飲んでしまうときには、乳首の穴が大きいのかもしれません。授乳時間の目安は、1回が10~20分くらいです。それくらいの時間をかけてゆっくり飲み干せるよう、乳首の穴を小さく調節しましょう。

授乳をした後は、しっかりゲップをさせましょう

母乳やミルクを飲みすぎていなくても、月齢が低い赤ちゃんはたて抱きにするなど体を動かした拍子に吐いてしまうことがよくあります。

これを防ぐには、授乳後にしっかりゲップをさせることが大切です。すぐに出ないときは、抱き方を変えるなどして、5分程度はトライしてみましょう。出にくい子は、毎回30分くらいかかることもあります。それでもうまく出ないときには、布団の下にクッションを入れるなどして、上体を少し起こすようにして寝かせ、顔を横向きにさせておきます。

赤ちゃんがミルクを吐いた時に注意すべきことは?

ミルクの吐き戻しなら心配はいりませんが、病気が原因で吐くときは脱水症の心配があります。脱水の見極め方を知っておくといいですね。

しゃっくりをした後で吐くのは、心配いりません

新生児期の赤ちゃんは、しゃっくりをした拍子に吐くこともよくあります。これも、ゲップをしたり、体を動かしたときに吐くのと同じですから、心配しなくて大丈夫です。吐いた後でも、赤ちゃんはケロッとして元気でしょう。

しゃっくりは横隔膜のけいれんですが、月齢が低い赤ちゃんの横隔膜は未発達なため、授乳で胃がふくらむと刺激になり、けいれんを起こしやすいのです。生後6ヶ月くらいになれば、横隔膜も発達してきてけいれんを起こしにくくなります。そのころには、しゃっくりをして吐くことも少なくなるでしょう。

急に吐き始めて、下痢も伴うときは受診を

赤ちゃんが急に何回もたて続けに吐いて、下痢も始まったようなときは、ウイルス性胃腸炎などの病気が考えられます。この場合は、腹痛を伴うこともあるため、赤ちゃんは元気がなくなったり不機嫌になったりするでしょう。

新生児など月齢の低い時期の赤ちゃんは、ママからもらった免疫があるため、感染症にはかかりにくいものです。とはいえ、ママから免疫をもらっていない病気については、かかる可能性があります。嘔吐が続いて下痢もあるときは、早めに小児科を受診しましょう。

脱水症状が見られたら、急いで病院へ

肥厚性幽門狭窄症の場合は、いくら飲んでも大量に吐くため、脱水を起こすことがあります。また、ウイルス性胃腸炎などの感染症で嘔吐と下痢が続いているときも、急速に脱水が進んでしまう恐れがあります。

水分が十分にとれていない、おしっこの回数が極端に減る、皮膚がカサカサする、目が落ちくぼんできた、元気がなく泣き声が弱々しいなどの症状が見られて脱水が疑われるときは、大至急受診してください。

吐いても体重増加が順調なら心配せずに

吐き方や吐く量にもよりますが、心配な吐き方かどうかは体重の増え具合を見ることでもチェックできます。一般に、生後2ケ月くらいまでは1日30~40g、1ケ月で500~1000g体重が増えていれば、まず心配いりません。

ただし、体重の増え具合には個人差があるので、少しずつでも体重が増えているようなら、心配しなくていいでしょう。急に大量に吐き始めたらすぐ受診ですが、時々吐く程度であれば健診の際に小児科医に相談するとよいでしょう。

一部画像出典:『はじめてママ&パパの育児』(主婦の友社 刊)

文/村田弥生

監修
澤田雅子先生
澤田こどもクリニック院長
1991年東京大学医学部小児科入局。国立小児病院新生児科、愛育病院小児科、東大病院小児科アレルギー外来などを経て、2003年に澤田こどもクリニックを開業。明るく親しみやすい人柄と、わかりやすい説明が評判のママ先生です。

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