赤ちゃんのでべその原因は?治し方はどうするの?【症例写真付&専門医解説】

 専門家監修 公開日:2018/06/06
赤ちゃんのでべその原因は?治し方はどうするの?【症例写真付&専門医解説】
監修
澤田雅子先生
澤田こどもクリニック院長

新生児赤ちゃんのへその緒がとれた後もおへそが出ていたり、赤ちゃんが泣いたときに、おへそが出てしまうことに気づいたりすると、「これはでべそ?」と気になるかもしれませんね。でも、赤ちゃんには比較的多い「でべそ」は、成長とともに自然に治ることも多いのです。どんな原因ででべそになり、治すにはどうしたらいいのか、いつごろ治るのかなどについてお知らせしましょう。

赤ちゃんのでべそとは?種類は?

赤ちゃんのでべその多くは「臍ヘルニア」です

一般的には、出っ張っているおへその俗称を「でべそ」と言いますが、医学的にはいくつかの種類があります。その一つが、「臍突出症(へそとっしゅつしょう)」です。これは、へその緒がとれたあとの穴は閉じていますが、おへその皮膚が飛び出した状態です。

もう一つが「臍(さい)ヘルニア」で、へその緒がとれたところの穴が閉じていないために、中の腸が飛び出ている状態のこと。赤ちゃん時代のでべそは、この臍ヘルニアである場合がほとんどです。

赤ちゃんがでべそになる原因は?

「臍ヘルニア」は、おへそにあいた穴から腸が飛び出た状態

へその緒には、ママの体とおなかの赤ちゃんをつなぐ動脈と静脈が通っています。出生後はへその緒を切るので、腹部にはへその緒の端が残りますが、生後2~3週間くらいで自然にとれます。

ふつうはへその緒がとれるまでの間に、へその緒の中に残った動脈や静脈は収縮し、腹壁にあった臍輪(さいりん)と呼ばれるへその緒の通り道もふさがります。ところが、何らかの理由で臍輪が十分にふさがらないことがあります。臍輪の中心部は腹壁の中でも最も薄く弱い部分です。きちんと閉じていない状態で腹圧がかかると、腸が臍輪から外に飛び出てしまいます。これが「臍ヘルニア」です。

母体と胎児をつなぐへその緒の通り道は、出生後にふさがります。それが何かの原因でふさがれないと、イラストにある「ヘルニア門」となり、腹圧がかかったときにそこから腸が飛び出してしまいます。

腹圧がかかるとおへそが出ます

臍ヘルニアは、赤ちゃんが泣いたり、うんちのときにいきんだりして腹圧がかかると、おへそが出っ張ってきます。おへその出具合は個人差があり、ウズラ卵くらいからピンポン玉くらいまでさまざまです。

出っ張り始める時期も赤ちゃんによってまちまちで、へその緒が取れた直後から出始めることもあれば、寝返りやおすわりをするころになって出っ張りが目立ってくることもあります。

赤ちゃんがでべそになる確率は?

赤ちゃんの5~10人に1人が「臍ヘルニア」に

臍ヘルニアは、日本人の約4%、100人に1人の割合で見られ、その発症に男女差はほぼないと言われています。日本小児外科学会によると、赤ちゃんの臍ヘルニアは5~10人に1人の割合で見られるとされています。特に、体の機能がまだ整っていないまま生まれた未熟児の場合は、一般の新生児よりも高い確率で臍ヘルニアになりやすいといわれています。

赤ちゃんがでべそなのは危険なの?

こすれたりさわったりしないよう注意が必要です

赤ちゃんがでべそだと、見た目のインパクトが強いので何か体に影響はないか心配になるかもしれませんね。「飛び出した腸が元に戻らないのでは?」とか「腸が締めつけられない?」などと不安に感じるママも多いようですが、そうしたことはまずないので安心してください。

ただ、おへそが出っ張っているため、おむつや衣服ですれたり、赤ちゃんが気にしてさわっているうちに傷つけるなどで、血がにじんでしまうことがあります。そのような心配があるときには、ガーゼを当てて保護しておきましょう。

また、でべそが赤くなったりこすれて出血が多いときや、赤ちゃんが機嫌が悪い、嘔吐するなどの様子が見られるときは、念のため早めに受診しましょう。

赤ちゃんのでべそは自然治癒するの?

2歳ごろまでには自然に治っていきます

臍ヘルニアによるでべそは、生後3ヶ月ごろまでは大きくなりますが、寝返りやはいはいするなどで腹筋が発達してくるにつれ、自然に治ってくることが多いものです。でべそは生後4ヶ月過ぎくらいからだんだん小さくなっていき、1歳までに80%、2歳までには90%が、ほとんど目立たないくらいになります。

ウズラ卵大の臍ヘルニアの写真ウズラ卵大の臍ヘルニアですが、このくらいの大きさなら自然に治ることが多いでしょう。写真の子も、1歳過ぎくらいにはほとんど目立たない大きさになりました。

生後2ヶ月の赤ちゃんのでべその写真生後1ヶ月ごろから大きくなり始めて、写真は2ヶ月のピーク時のもの。この後だんだん小さくなっていき、4ヶ月健診のときには気にならない程度の大きさになりました。

生後2ヶ月の赤ちゃんのでべその写真生後2ヶ月の赤ちゃんのでべそ。大声で泣くと、写真よりもさらに大きくなってしまいます。ただ、病院では緊急性がないと言われたので、しばらく様子を見ることに。

赤ちゃんのでべその治し方は?

自然に治るため、様子を見るケースがほとんどです

基本的には、臍ヘルニアによるでべそは急いで治療する必要はないので、しばらく様子を見ることが多いでしょう。ただし病院によっては、ガーゼで作った綿球を、テープでおへそに固定することもあります。

こうすることで、出っ張った部分の皮膚がたるまないため早くきれいになることが多いようですし、万一手術をすることになっても、形成しやすいというメリットがあります。ただ、この方法はかぶれなどの肌トラブルが起こることもありますし、綿球には作り方があるので、医師の指示に従って行うことが大切です。

なお、昔はでべそを治すためといって、硬貨をおへそに当ててテープで押さえてへこませるといい、と言われていましたが、これは絶対しないでください。硬貨は清潔ではなく、皮膚にこすれることもあるので、トラブルになりやすいからです。

【経過観察で治ったでべその例】

BEFORE

生後2ヶ月
このころはウズラ卵より大きめの臍ヘルニアでしたが、出たり引っ込んだりを繰り返しながら少しずつ小さくなっていきました。

AFTER

11歳
小学校高学年になると、普通のへこんだおへそになりました。

赤ちゃんのでべそに手術は必要なの?

小さくならなければ手術をすることもあります

様子を見ていてもでべそが小さくならなかったときには、腹壁の腹膜という部分に開いたままの穴を閉じる手術を行います。

また、腹壁に開いた穴は閉じたけれども、でべそが大きくて皮膚が伸びきってしまったときなどは、形成手術が必要になることもあります。手術が必要かどうか、行うならいつごろがいいのかなどは、主治医とよく相談して決めましょう。

臍ヘルニアの手術の所要時間は約1~2時間で、一般には以下のような手順で行います。

1.でべその下側の半周を切開する
2.腹壁の腹膜に開いた穴を縫って閉じる
3.おへその皮膚を縫って、くぼんだ形のおへそを形成する
4.手術後、おへその中に綿球をつめて圧迫固定し、くぼんだ状態が定着するようしばらくそのままにする

臍ヘルニアの手術の様子このように巨大サイズの臍ヘルニアができた場合は、手術になります。ただ、写真のように大きなでべそになっていても、飛び出した腸が元に戻らないということはめったにありません。

【手術をして治ったでべその例】

BEFORE

手術前のでべその症例写真1歳ごろ
写真は平常時ですが、泣いたりするともっと大きく飛び出していました。

AFTER

手術をして治ったでべその症例写真1歳1ヶ月
手術直後のおへそ。この時はまだ傷が残っていますが、やがてきれいになりました。

赤ちゃんのでべその手術にかかる入院日数は?

臍ヘルニアの手術での入院は、1泊か2泊

臍ヘルニアによるでべその手術で入院する日数は、医療機関によって多少違いはありますが、たいてい1泊か2泊くらいで済む場合が多いようです。

手術は全身麻酔で行うため、当日または前日から飲んだり・食べたりができなくなります。子どもの臍ヘルニア手術を経験したママの多くは、子どもに飲食を我慢させることが大変だったと言っています。

手術後は、2~3日痛みが続くこともありますが、だんだん軽くなっていくでしょう。もし、痛がる場合には、痛み止めを処方してもらえます。

入院中、手術までの飲食を我慢している間や、手術後の痛みがあるときなど、気がまぎれるようなものがあるといいですね。お気に入りの絵本やおもちゃ、シールブックなどを持参して入院するといいでしょう。

赤ちゃんのでべそにかかる手術費用は?

乳幼児医療証があるなら、費用はほぼかかりません

臍ヘルニアの手術にかかる費用は、大人の場合は数万円ですが、子どもは自治体の乳幼児医療費助成制度により、乳幼児医療証があれば基本的に医療費はかかりません。支払う必要があるのは、食事代や病院で借りたもの、個室を使った場合のプラスアルファの料金などの実費です。2泊3日で大部屋に入院し、支払った金額は食事代のみ1,000円以下だった、というママもいました。

乳幼児医療費助成制度の内容は、住んでいる地域によって対象年齢や金額が異なってくるので、必ず手術前に自治体に確認しておきましょう。

赤ちゃんのでべそは体が小さいだけに目立つので、とても気になるかもしれません。でも、自然に治っていくことが多く、大きい場合でも手術でほぼきれいになります。心配しすぎず、まずは小児科で相談してみるといいですね。

一部画像出典:『はじめてママ&パパの病気とホームケア』(主婦の友社 刊)

文/村田弥生

監修
澤田雅子先生
澤田こどもクリニック院長
1991年東京大学医学部小児科入局。国立小児病院新生児科、愛育病院小児科、東大病院小児科アレルギー外来などを経て、2003年に澤田こどもクリニックを開業。明るく親しみやすい人柄と、わかりやすい説明が評判のママ先生です。

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