赤ちゃんの下痢の原因と対処法は?食事はどうしたらいい?【小児科医監修】

 専門家監修
公開日:2018/05/31
更新日:2019/03/15
赤ちゃんの下痢の原因と対処法は?食事はどうしたらいい?【小児科医監修】
監修
澤田雅子先生
澤田こどもクリニック院長

この記事では、赤ちゃんの下痢の原因や病院へ行く目安、下痢のときのケアの仕方などについて解説します。多くの赤ちゃんがかかる病気の一つに、下痢があります。赤ちゃん時代は消化器官の働きが未熟なうえ、母乳やミルクだけ飲んでいた時期を過ぎて離乳食始まると、食べるものやその調理形態により、うんちの状態が変わりやすくなるからです。また、ウイルスや細菌などの病原体に感染して下痢になることもよくあります。小児科医に伺いました。

赤ちゃんの下痢はなにが原因なの?

下痢とは、飲んだり食べたりしたものか腸で十分吸収されずに出てしまうことをいいます。ただ、何回便が出たら下痢という目安はありません。ふだんと比べてかなりゆるい便が出て、回数が極端に多いことが目安になります。

赤ちゃんの下痢の主な原因としては、ウイルス感染や細菌感染による腸の炎症があります。また、一時的な飲みすぎや食べすぎ、お腹が冷えたことが引き金となって下痢をする場合もあります。離乳食の内容などにより便がゆるくなることもありますが、機嫌がよく食欲があるなら、心配いりません。

赤ちゃんの下痢の見分け方はなに?

下痢というと、うんちの回数が多いことと思いがちですが、下痢かどうかを判断するのは回数だけではありません。具体的にどんな症状から判断するのかを知っておくことが大切です。

ふだんよりかなり水っぽくて、極端に回数が多いのが下痢

おっぱいやミルクだけしか飲んでいない時期の赤ちゃんは、たいてい水分が多くやわらかいうんちをします。特に新生児のころは、ベチャベチャとしたうんちを授乳後などに何回もすることが多いので、「うちの子はいつも下痢をしているの?」と心配するママもいるようです。

うんちの状態には個人差があり、いつも軟便気味の赤ちゃんもよくいます。軟便とは、大人のような「バナナ状」よりも水分が多いうんちのこと。離乳食が進むにつれて、少しずつ水分が少なくなり形のあるうんちをするようになりますが、回数は大人より多めで、1才前後になっても1日に数回する子もいます。

下痢とは、単に回数の多さだけでなく、「普段と比べて」の回数やうんちの状態がどうかを見て判断します。もともとうんちの回数が多い子でも、下痢となると普段よりずっと回数が多くなりますし、ベチャベチャうんちの新生児期でも、下痢をすると水分の量が増えて、水のようなうんちをいつも以上に何回もするようになります。また月齢に限らず、下痢のうんちはにおいも酸っぱい刺激臭になり、普段とは違ってくるのが特徴です。

赤ちゃんが下痢をしたときに考えられる病気はなに?

赤ちゃんに下痢の症状が出る病気には、いろいろなものがあります。普段より多少回数が多めの下痢で2~3日で治る病気から、激しい下痢が数日間続いて、脱水の危険がある病気などさまざまです。下痢をしたときに考えられる病気はどのようなものがあるのか、知っておきましょう。

赤ちゃんが下痢をしたときに考えられる病気

風邪、インフルエンザ

発熱、鼻水、咳がおもな症状ですが、下痢をすることもあります。ただし、その場合も消化機能が低下するためなので、下痢自体はそれほど重くありません。

ウイルス性胃腸炎

うんちの回数が徐々に増え、水っぽい下痢をします。ロタウイルス、ノロウイルスが原因の場合は、吐き気が続いたり、水様便が1日10回近く出ることもあります。ロタウイルスによる下痢は、うんちがお米のとぎ汁のように白っぽくなることもありますが、必ずしも白くなるとは限りません。症状は2~3日で治まります。

細菌性胃腸炎

いわゆる食中毒のこと。原因となる細菌は、黄色ブドウ球菌、カンピロバクター、サルモネラ菌、病原性大腸菌(O-157など)、ボツリヌス菌などがあります。下痢のほか、高熱や嘔吐も伴います。便に血や粘液が混じることも。ウイルス性胃腸炎よりも、症状が重くなりやすいのが特徴です。

乳糖不耐症

ウイルス性胃腸炎に感染すると、腸の粘膜の表面がウイルスにより破壊され、乳糖を分解・吸収することができない状態になります。腸が元に戻るまでは、ウイルスがいなくなった後もミルクを飲むと含まれる乳糖が分解されず、下痢が続くことがあります。

食物アレルギー

特定の食物を食べたときに、下痢をします。

赤ちゃんが下痢をしたときの注意点はなに?

ひと口に下痢といっても、うんちの状態や回数、原因などによって対応は変わってきます。下痢のときの注意点や病院へ行く目安をお知らせします。

下痢の症状そのものよりも、脱水に注意を

赤ちゃんは月齢が低いほど、うんちがゆるめで回数もひんぱんです。また、果汁を飲ませたり、離乳食で新しい食品を食べた直後などは、うんちがゆるくなることもあります。多少下痢気味でも、機嫌がよくてあやせば笑い、食欲もあるなら心配ありません。

でも、赤ちゃんが不機嫌で、水っぽいうんちがいつもの回数より多く出るときは、早めに受診しましよう。また、下痢だけでなく高熱や嘔吐を伴うときは、脱水の予防を心がけましょう。水分がとれなくなったら、至急病院へ行ってください。赤ちゃんが下痢をしたとき、実際にはどんな状態だったら受診をしたほうがいいのかを確認しておきましょう。

【赤ちゃんが下痢のとき病院へ行く目安】

●夜中・休日でも急いで病院へ

・下痢に加えて嘔吐もあり、水分を受けつけない

・水分がとれずにぐったりして、意識がはっきりしない

・半日以上おしっこが出ていない

●診察時間内に病院へ

・1日に10回以上下痢便が出た

・おむつからはみ出すほど大量の下痢をしている

・普段より水っぽいうんちが1週間以上続いている

・下痢以外にも、熱などほかの症状がある

・うんちが水っぽく、次第に回数が増えてきた

・すっぱいツンとしたにおいのうんちが続いている

・おしりがただれてきた

●家で様子を見てOK

・多少回数が多くてゆるめだが、機嫌がよくて食欲もある

・うんちはゆるめだが、熱などほかの症状はない

赤ちゃんが下痢をしたとき、病院へ行く際に気をつけることはなに?

赤ちゃんが下痢をしているのに気づいたら、すぐにも病院へ連れて行って早く治してあげたくなりますね。ただ、受診の際にはいくつかの注意が必要です。

受診前の電話で症状を伝え、おむつの持参などについて確認を

下痢で病院へ行くときは、受診の前に念のため、病院に電話をして症状やうんちの状態、色を伝えましょう。ロタウイルスやノロウイルスなどのウイルス性胃腸炎は感染力が非常に強いので、近隣ではやっているなど感染していることが疑われるときは、ほかの人への感染を防ぐためにいつもと違う入り口や待合室を指示されることがあります。

また、下痢で受診するときには、「うんちのついたおむつを持参する」と聞いたことがある人もいるでしょう。ただ、下痢の原因によってはうんちにウイルスや細菌が含まれていて、感染の危険からむやみに病院に持ち込まないほうがいい場合もあります。

受診前の電話の際、おむつを持参したほうがいいかどうかも確認を。持参する場合は、どのようにして持って行ったらいいかを教えてくれるはずです。持参しない場合は、スマートフォンなどでうんちの写真を撮ってくるよう指示されることもあるでしょう。

赤ちゃんが下痢をしたときの対処法はなに

ウイルスや細菌が原因の下痢は、病原体を排出しようとする体の防御反応です。この場合、薬で無理に下痢を止める治療はたいてい行いません。かわりに、整腸薬などの投与で対症療法を行い、脱水を防ぐ水分補給やおむつかぶれ予防のシャワーなどがケアの中心になります。

まずは脱水予防のため、水分補給に努めましょう

下痢そのものは程度にもよりますが、それほど心配なことではありません。問題なのは、下痢によって体内の水分が急激に失われ、脱水症を起こすことです。

特に赤ちゃんは、身体の組成の水分の割合が8割と大人より多いのです。そこで、激しい下痢のために水分が失われると、大人よりはるかに早く脱水状態になってしまうため、油断は禁物です。

下痢を起こしたときは、赤ちゃんの飲めるものなら何でもいいのですが、母乳やミルクより湯ざまし、麦茶、野菜スープ、イオン水などを回数多くこまめに飲ませて、水分補給に努めましょう。下痢がひどいときは、夜中でもおむつ替えのときに水分をとらせるといいですね。

下痢に加えて嘔吐も伴うときは、さらに急速に脱水が進んでしまいます。一度にたくさん飲ませると、吐き気を誘ってしまうことがあるので、この場合はひとさじずつ、5分おきくらいにとにかく頻繁に飲ませましょう。

【脱水を見分けるポイント】

・顔色が青白く、普段と比べておしっこの回数が極端に少ない、または長時間おしっこが出ていない

・唇や口がカラカラに乾いている

・目のまわりがシワシワして、おちくぼんだ感じがする

・泣いても涙が出ない

・意識がはっきりせず、ぐったりしている

※水分がとれているように思っても、上記のような症状が見られたときは急いで病院へ。特に、ぐったりしているときは救急車を呼びましょう。

こまめにおむつを替えて、おしりを洗いましょう

下痢のうんちは刺激が強く、おしりにふれているとたちまちかぶれてしまいます。うんちのたびにおむつを早く交換するのはもちろんですが、拭くだけでなくシャワーや座浴などでおしりを洗ってあげましょう。

下痢だけなら、お風呂に入れてもOK

発熱やせき、嘔吐などの症状がなく、下痢だけで赤ちゃんもわりあい元気があるなら、お風呂やシャワーに入れてもかまいません。ただし、赤ちゃんが疲れないよう、短時間でさっと汚れを落とすつもりで入れるのがコツです。お風呂やシャワーに入れると、赤ちゃんもサッパリしますし、おむつかぶれの予防にもなります。

洗ったおしりはやさしく拭いて、保湿剤を塗っておきます

うんちで汚れたおしりの皮膚は、刺激に敏感になっています。強くこすったり、ゴシゴシとタオルで拭いたりするのはNG!やわらかいタオルを当てて、そっと押さえながら水分を吸い取るようにしましょう。

お風呂上りは保湿剤を塗っておしりを保護しますが、おしりがかぶれていて、手持ちの保湿剤を使ってもなかなか状態が改善しないようなときは、小児科へ。医師におしりかぶれ用の軟膏について相談しましょう。

赤ちゃんが下痢をしたときの食事はどうすればいい?

以前は、下痢をすると腸の働きがすっかり戻るまでは、離乳食はしばらく控えて、再開後は一段階戻してゆっくり、と言われていました。それが最近では、早く再開していつも通りのものを食べさせたほうがいい、ということがわかってきました。

母乳やミルクはいつも通りに飲ませましょう

下痢をしていても、食欲が普段と変わらなければ、基本的にはおっぱいやミルクを制限する必要はありません。おっぱいやミルクも水分に含まれるので、脱水予防のためにも赤ちゃんが欲しがるだけ飲ませてあげましょう。

ただ、おっぱいを吸っていると思って安心していても、実はたいして量は飲んでいずに脱水が進むこともあります。おっぱいだけで下痢だけが激しいときや長引くときは、油断せず受診して医師の指示に従って飲ませてください。

症状が落ち着いたら、いつも通りの離乳食を再開して

下痢がひどいときには、消化吸収能力が低下しています。医師の指示がある場合は、離乳食は一時中断して、水分だけ十分飲ませるようにしましょう。

ウイルス性胃腸炎による下痢の場合は、症状が少し落ち着いてきて脱水症状がなく赤ちゃんの食欲があるなら、授乳や離乳食を再開してかまいません。とはいえ、治り方はそれぞれです。離乳食は、うんちや赤ちゃんのご機嫌、食欲などを見ながら徐々ににいつも通りの食事に戻していくとよいでしょう。

一部画像出典:『はじめてママ&パパの病気とホームケア』(主婦の友社 刊)

監修
澤田雅子先生
澤田こどもクリニック院長
1991年東京大学医学部小児科入局。国立小児病院新生児科、愛育病院小児科、東大病院小児科アレルギー外来などを経て、2003年に澤田こどもクリニックを開業。明るく親しみやすい人柄と、わかりやすい説明が評判のママ先生です。

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