乳腺炎とは?その症状と原因、予防&対処法を知りたい!

 専門家監修 公開日:2018/07/03
乳腺炎とは?その症状と原因、予防&対処法を知りたい!
監修
秦 万理
助産師/助産所Cigogne院長

授乳中の多くのママが経験する、胸の張りや痛み。そのほとんどは、こまめに赤ちゃんに母乳を飲ませたり、適切に搾乳を行うことで改善しますが、ときには「乳腺炎」という症状に発展してしまうこともあります。ここでは、乳腺炎を防ぐためのポイントや、発症したときの対処方法を解説。赤ちゃんとのハッピーな母乳ライフに役立ててくださいね。

先輩ママに大調査!乳腺炎になった経験はありますか?

アンケートによると、「乳腺炎かも?と思ったことがある」と答えたママはちょうど半数。乳汁のうっ滞で、胸の張りや痛み、発熱など乳腺炎の症状が出ていても、赤ちゃんに吸わせたり効果的に搾乳することで改善するケースがほとんどのようです。一方、今回の調査では4%のママが「乳腺炎と診断されたことがある」と答えていました。

乳腺炎かも?と思った体験談を教えてください

「母乳が順調に出るようになり、授乳にも慣れてきた産後3ヶ月めくらいのこと。娘が夜通し1度も起きずに朝までぐっすり寝てくれることが増えてきたのですが、私のほうも疲労がマックスで、起きて搾乳する元気がありませんでした。早朝には胸がカチンカチンになってしまい、そんなときは娘もうまく飲めなくてひと苦労。何回か同じことを繰り返し、夜中に胸の痛みで目を覚ましたときに『このまま乳腺炎になってしまうのでは?』と冷やっとしました。幸い、授乳を頻繁にすることで悪化せずに済みましたが、以降は母乳をためすぎないよう気をつけています」(6ヶ月の女の子のママ)

「産後10ヶ月で復職しました。もうそろそろ母乳をストップしてもいいかなと思ってはいたのですが、なかなかすぐには止まってくれず、会社のトイレで搾乳する日々。忙しくて搾乳の時間があいてしまうと、胸が痛くて痛くて。あと一歩で乳腺炎になるところでした」(1歳7ヶ月男の子のママ)

「産後すぐから、しこりができたり痛くなったりを繰り返し、3ヶ月のときついに発熱。感染はしていないとのことでしたが、胸が痛くて授乳できなかったので痛み止めをいただき、母乳外来にしばらく通いました。授乳の姿勢などを見直したり、主人にも協力してもらって体を休めるようにしながら、授乳を続けることができました」(2歳女の子のママ)

乳腺炎とは?

乳腺炎とは、母乳の通り道である「乳腺」が炎症を起こした状態のこと。代表的な症状としては、痛みをともなうしこりや張りが強くなり、ひどくなってくると乳房がカチカチになったり、細菌感染によって強い痛みや発熱が起こることも。授乳中を通じて起こる可能性はあるものの、特に起こりやすいのは産後2・3週目ごろ~3ヶ月ごろまで。授乳中の3~20%の女性が体験すると言われていますが、33%程度とする報告もあります。

乳腺炎の症状とは?

代表的な症状は、乳房の張りと痛み、発熱ですが、その他にもさまざまな症状が見られます。

■乳房の張り、腫れ、しこり、

■乳房が局所的に熱を持つ、赤みを帯びた状態が24時間以上続く

■乳房を押すと痛む(圧痛)、押さなくても痛む(自発痛)

■発熱、頭痛、悪寒

■インフルエンザのような全身症状(関節痛、筋肉痛、腰痛などの全身の痛み)

■乳頭損傷(亀裂、擦り傷)

■赤ちゃんを抱いたり腕を上げると乳房のあたりが痛む

■黄色っぽい母乳が出る、など

乳腺炎の種類と原因が知りたい!

乳腺炎の原因と種類は、乳汁のうっ滞で乳管がつまる「急性乳汁うっ滞性乳腺炎」と、乳首にできた傷口などから細菌感染した「感染性乳腺炎」の、大きく分けて2種類あります。

急性乳汁うっ滞性乳腺炎

母乳の一時的なうっ滞が解消されなかった場合に起こる、非感染性の乳腺炎。産後から間がなくて乳管が十分に開いていなかったり、赤ちゃんが上手に吸えていないだけでも起こりえます。その他、赤ちゃんがうまく吸えていない、授乳回数が少なすぎる、母乳の分泌が赤ちゃんの飲む量より多いのに搾乳をうまく取り入れられていない、仕事復帰などで授乳のリズムがくずれてしまった、授乳間隔が極端にあいてしまったなど、さまざまな理由で母乳がたまりすぎてしまうことが原因に。その結果、乳房が張り、押すと痛みが出たり、赤くなって熱を持ったりします。

感染性乳腺炎(化膿性乳腺炎)

赤ちゃんが噛んだ乳首の傷口などから細菌感染した状態が、感染性(化膿性)乳腺炎。38℃くらいの高熱が出たり、乳房がズキズキと激しく痛んで腫れ上がることもあります。

感染性乳腺炎でも、正しい姿勢&正しいラッチング(飲み方)で頻回授乳することで症状が軽減、改善することがあります。正しい授乳を行っても症状が改善しない場合は母乳ケアを行っている病院を受診しましょう。お胸のケアにあわせて内服薬が処方されることがあります。ほとんどの感染性乳腺炎は、うっ滞性乳腺炎に誘引されて発症することが多いので、飲み残しや浅吸いにならないように授乳の仕方も再度指導してもらえるといいですね。

乳腺炎の予防法は、赤ちゃんに飲ませること

乳腺炎は予防可能な疾患です。一番の対策は、とにかく赤ちゃんに頻繁に飲んでもらうこと。抱き方や飲ませ方を工夫することで、うっ滞や赤ちゃんの浅吸いによる傷も防げます。横抱きからフットボール抱きにしてみたり、含ませる角度を少し変えるように心がけるだけでも、飲み残しを減らすことができます。仕事復帰や赤ちゃんと離れての外出などで授乳間隔があいてしまった、赤ちゃんの状況で飲ませられなかった、といった場合は、一時的に搾乳することで対処できます。搾乳の方法やコツについては、以下の記事も参考にしてみてくださいね。

搾乳の必要性と正しい搾乳法

「なんとなく母乳育児がうまくいっていないな」というときは、乳腺炎の原因になり得るかもしれません。上記にあげたような乳腺炎の自覚症状が出ているときはもちろん、以下の項目に当てはまることがあれば、助産師に母乳相談しておくと良いでしょう。

□授乳しても母乳が残っている感覚がある
□赤ちゃんが浅吸いで、乳首が授乳のたびに切れてしまう
□乳首に白斑ができている
□母乳が足りなくて赤ちゃんがぐずぐず言う

白斑とは母乳が乳腺に詰まっている状態のことで、悪化すると斑点が水ぶくれのように膨らむことも。ひどくなると乳腺炎の原因になります。

乳腺炎になってしまった時の対処法が知りたい!

乳腺炎の症状が出たら、とにかく母乳を出して、うっ滞を軽くすることが重要です。自分でできる対処法を以下にあげておきます。

もしかして乳腺炎?と思ったときのセルフケア

■赤ちゃんに飲ませる回数を増やす
■乳房の張りが強くなる中、授乳のタイミングが合わず、直接飲んでもらえない場合は軽く搾乳する
■授乳時の体勢を工夫:赤ちゃんの上唇と下唇をシコリのある部位と一直線に並ぶ様に体勢を工夫して授乳する
■搾乳の方法を見直す:出しすぎると母乳の生成がさらに活発になるので、もともと出が良すぎる人は注意
■乳房が張りすぎて赤ちゃんがうまく吸えないときは、授乳の前に温シャワーを浴びたり、温めたタオルを乳頭付近にあててから乳頭乳輪にそっと圧を加えてやわらかくする(ただし温め続けるのはNG)
■授乳しながら、しこりのある部分を優しく圧迫(さすったりしごいたりしない)
■授乳や搾乳の後、授乳と授乳の間に、心地良いようであれば濡らしたタオルなどで乳房を冷やしてもOK

病院や助産院ではどんな処置をするの?

乳腺炎は時間を追って悪化しますので、なるべく急いでセルフケアで対処することが大切です。それでも良くならない場合、母乳ケアをおこなっている病院、母乳外来、助産院を早めに受診しましょう。病院では、胸のケアと併せて抗生物質や痛み止め(適量であれば母乳中に検出されないイブプロフェンなど)が処方されたり、ひどくなると切開で膿を出すなどの外科的治療が行われることもあります。処方された薬は決められた量を決められた期間きっちり飲むことで慢性化や再発を防ぎます。

乳腺炎になったら母乳をやめるべき?

乳腺炎になると「母乳が赤ちゃんに有害なのでは?」と考えるママもいますが、そんなことはありません。WHOは「たとえ黄色ブドウ球菌が確認された場合でも、授乳を続けることは一般的に安全である」としており、アメリカ小児科学会感染症委員会も「感染性乳腺炎は、抗生物質による治療をしながら授乳を継続することによって改善され、授乳は健康な正期産児への重大なリスクにはならない」として授乳継続を勧めています。

乳腺炎になったママが授乳を続けることは、乳腺炎の回復と同時に赤ちゃんの健康にとっても大事なこと。自己判断で授乳をストップしないようにしましょう。乳腺炎になると、乳房の状態や乳汁の出方がふだんとは異なるため、赤ちゃんが嫌がることもありますが、根気よく授乳を続けてみてください。

監修
秦 万理
助産師/助産所Cigogne院長
2004年助産師国家資格を取得後、慶応義塾大学病院産婦人科病棟に勤務。JICA助産師枠でモロッコに派遣。09年、銀座に助産所Cigogne(スイゴーニュ)を開業。その後、渡米しBASTYR UNIVERSITYにて2015 Breastfeeding for Doulas、Birth Art Internationalにて2016 Breastfeeding Educator認定。帰国後、墨田区に助産所を移転し、妊娠中から出産後までのママの悩みをサポート。母乳ケアにも力を入れている。著書『とつきとおか(10月十日)の安心ママ手帳』(青春出版社)

助産所Cigogneホームページ

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