妊娠後期の腹痛の原因と対処法から病院を受診する目安まで

 専門家監修
公開日:2018/05/29
妊娠後期の腹痛の原因と対処法から病院を受診する目安まで
監修
天神尚子先生
三鷹レディースクリニック 院長

妊娠後期になると、お腹もかなり大きくなってきます。そしてお腹の「張り」も頻繁に感じるようになる妊婦さんも多いのではないでしょうか。

張り以外にも、妊娠後期に腹痛を感じると、「このまま出産になってしまうの?」「何か赤ちゃんにトラブルがあったらどうしよう」と不安になることもあるでしょう。

今回は妊娠後期の腹痛について、原因は何なのか、どんな症状があるのか、病院に行くタイミングかなどをご説明します。

妊娠後期に起こる腹痛って?

妊娠後期の腹痛にはいろいろありますが、最も多いのが、生理的なお腹の張りです。

妊娠後期になると、お腹が張りやすくなります。お腹の張りとは、子宮の筋肉が収縮して硬くなっている状態です。張っているときにお腹を触ると硬くなっているのがわかることもあります。

ただし、張りの感じ方は人それぞれです。何もしなくても収縮していることがわかる人もいれば、張りがどんなものかわからない人もいます。お腹が張ったときに痛みを感じる人もいれば、全く感じない人もいます。妊娠後期の張りについては、本格的な陣痛につながらない限り、様子を見ていて大丈夫です。

ただし、妊娠後期の腹痛で、激しい痛みがある場合、頻回だったり、出血を伴う場合はすぐに病院に連絡し、受診しましょう。それ以外でもいつもと様子が違うと思ったら、自己判断せずに病院に相談することが大切です。

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妊娠後期の腹痛の原因と対処法は?

妊娠後期の腹痛の原因はいろいろあります。問題のないものもあれば、急いで病院を受診しなければならないものもあります。考えられる原因について説明しましょう。

生理的なお腹の張り

先に説明した通り、妊娠後期になると頻繁になるのがお腹の張りです。安静にしておさまるようなら、まず心配することはありません。

切迫早産

切迫早産とは、正期産に入る前の妊娠22週から36週の間に子宮収縮が起きたり、子宮口が開いたりして早産が始まろうとする状態のことを言います。

お腹の張りが頻繁で、ずっと続く、お腹の張りが強い、張りが安静にしてもおさまらない場合、あるいは張りに出血を伴う場合、おりものに変化が見られる場合は、切迫早産の可能性があります。

切迫早産の原因で最も多いのは絨毛膜羊膜炎です。早めに対処することで防げることも多いので、異常を感じたら、すぐに病院を受診しましょう。

便秘

妊娠中は便秘をしやすいものです。

症状が悪化すると、便秘による腹痛とその他の腹痛の区別ができない場合もあるので、我慢しないで解消しましょう。食生活の改善や運動などで便通が見られない場合は、病院で妊婦さんでも服用できる薬を処方してもらいましょう。

急性胃腸炎

妊娠中は、妊娠前に比べて免疫力が落ちているため、合わないものを食べたりすると食あたりを起こすことがあります。

症状としては胃が痛くなる、ムカムカして気持ち悪くなる、お腹が痛くなる、下痢が起こるなどがあります。急性胃腸炎そのものは、それほど心配するものではありませんが、痛みがあった場合、それが子宮の収縮なのか胃腸炎の痛みなのか区別がつかない人もいます。まずは病院に行き、診察してもらいましょう。

なお、下痢による腹痛は比較的わかりやすいものですが、下痢が見られたら、しっかり水分補給をして、消化のいいものを食べるようにしましょう。

前駆陣痛

お腹の張りの中でも、臨月に入ってから頻繁に続く場合は、前駆陣痛かもしれません。前駆陣痛とは、陣痛の準備運動のようなもの。お腹の張りが頻繁に続いても、その張り方が不規則であったり、張りがおさまったりする場合は、まだお産につながる本格的な陣痛とは言えません。

前駆陣痛があったからといって、すぐに本格的な陣痛につながるわけではありません。前駆陣痛があったけれど、そのあと2、3日何もなかったということもよくあります。

本格的な陣痛との見分け方は、その周期が規則的であるかどうかです。本格的な陣痛が来るまでは、リラックスして過ごしましょう。

常位胎盤早期剥離

赤ちゃんに酸素や栄養を届けている胎盤が、何の前触れもなく突然剥がれてしまう状態です。起こる確率は少ないものの、そのままにしておくとお腹の赤ちゃんどころか妊婦さんの命にも関わります。すぐに産院に行きましょう。

症状が軽ければ、緊急帝王切開をして赤ちゃんを助けます。

その他にも、腹痛の原因はいろいろあります。

虫垂炎 

妊婦さん全体の1%程度と確率は少ないですが、胃が痛くムカムカするなどの症状があり、やがて右下腹部に痛みが起こります。妊婦さん自身が虫垂炎を診断することは難しいので、すぐに病院を受診しましょう。

腸閉塞 

何らかの原因で、腸の一部が塞がったり詰まったりする急性の病気です。腹痛や嘔吐、便秘、発熱などさまざまな症状があります。

腹痛も、比較的軽いものから激痛を伴うものまであります。放っておくと腹膜炎につながり、生死にかかわることもあるので、すぐに受診しましょう。

卵巣のトラブル

卵管や卵巣に炎症が起こる急性の付属器炎、卵巣嚢腫が回転して起こる卵巣嚢腫茎捻転、卵巣内部に発生するチョコレート嚢胞による痛みなどがあります。

痛みの度合いも生理痛程度の痛みのものから、腹部に激痛が起こり吐き気をもよおすもの、対処法も、様子を見ていいものからすぐ手術が必要なものなどさまざまです。

いずれにしても、放っておけるものではないので、すぐに病院を受診しましょう。

膀胱炎

妊娠中に膀胱炎になる妊婦さんも少なくありません。

下腹部の痛みや違和感、張りなどの症状のほか、頻尿、残尿感などがあります。尿の状態がいつもと違う場合は、早めに受診するようにしましょう。

妊娠後期の腹痛で病院を受診する目安は?

お話ししたとおり、妊娠後期の腹痛の原因はさまざまです。

原因によって対処法も違いますが、症状が似ている場合も多いため、何が原因で腹痛が起こっているのか、妊婦さん自身が判断することは難しいものです。

腹痛があった場合、以下のような症状が一つでも見られたら、すぐに病院を受診しましょう。

・痛みが強いとき

・発熱を伴うとき

・出血を伴うとき

・破水したとき

・頻回になったり、規則的に腹痛や張りががあるとき

もちろんここに紹介したもの以外にも妊娠後期の腹痛の原因にはさまざまなものがあります。心配な症状や不安な症状があったら、自己判断せず、産院に連絡をして、早めに受診するようにしましょう。

監修
天神尚子先生
三鷹レディースクリニック 院長
日本医科大学付属病院、同大学産婦人科を経て、2004年に現クリニックを開院。年齢によって異なる女性のライフステージを考慮した治療を行っています。2人の子育てをした経験からくるアドバイスは頼りになると評判です。

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