【医師監修】臨月(妊娠10ヶ月)のお腹の張りの対策と過ごし方

 専門家監修
公開日:2018/05/28
更新日:2019/10/08
【医師監修】臨月(妊娠10ヶ月)のお腹の張りの対策と過ごし方
監修
天神尚子先生
三鷹レディースクリニック 院長

臨月に入り、いよいよ出産が近づくと、「お腹の張り」を感じることが多くなります。生理的な張りであれば問題ありませんが、なかにはトラブルにつながってしまう張りもないわけではありません。問題のない張りとトラブルにつながる張りの見分け方や対処法、また本格的な陣痛につながる張りの、産院に行くタイミングなどを知っておきましょう。

臨月のお腹の張りとは?張りの原因と臨月の妊婦の様子

妊娠後期になると、お腹を触ると硬くなっているのがわかることがあります。これが、お腹の張りです。

お腹の張りとは、子宮の筋肉が収縮して硬くなっている状態で、臨月に入りお産が近づくと、その頻度はさらに高くなります。

お腹の張りは、言ってみれば陣痛のリハーサルのようなもの。本格的な陣痛がおとずれると、規則的に子宮が収縮し、お腹の赤ちゃんを押し出そうとします。この練習をしているのだと思うといいでしょう。

臨月に入ると、不規則ではありますが、お腹の張りを繰り返すことで、子宮が出産の準備をしているのです。

張りの感じ方は人それぞれで、お腹を触って硬くなっていることでわかる人、何もしなくても収縮していることがわかる人、なかには張りがどんなものかわからない人もいます。臨月になればお腹の張りの回数は増えていきますが、本格的な陣痛につながらない限り、様子を見ていて大丈夫です。

臨月にお腹の張りが頻繁に続く時の前駆陣痛と本陣痛の見分け方

繰り返しになりますが、臨月にお腹の張りが頻繁に続くのは、陣痛の準備運動のようなもの。臨月に張りがあるのは、生理的なもので、正常な反応です。お腹の張りが頻繁に続いても、その張り方が不規則であったり、張りがおさまったりする場合は、まだお産につながる本格的な陣痛とは言えません。この不規則な陣痛の前触れのような状態を「前駆陣痛(ぜんくじんつう)」と言います。前駆陣痛によって、子宮の周りをやわらかくしたり、赤ちゃんを少しずつ下降させたりしているのです。

前駆陣痛があったからといって、すぐに本格的な陣痛につながるわけではありません。前駆陣痛があったけれど、そのあと2、3日何もなかったということもよくあります。

本格的な陣痛との見分け方は、その周期が規則的であるかどうかです。

陣痛には波があり、痛みが来たかと思えば、しばらくすると波のように引いていきます。この波の間隔が徐々に短く、規則的になると、本格的な陣痛のおとずれです。

臨月にお腹が張って苦しい時の対処法

お腹が張ったら、まずは横になって安静にすることが大切です。

臨月になるとかなりお腹が大きくなっていますから、自宅の場合はあお向けよりも体を横にして休ませましょう。外出先や職場などでお腹の張りが起こった場合は、その場で座って静かにしているだけでおさまることもあります。

安静にしてもお腹の張りがおさまらない場合は、何らかのトラブルが起こっている場合もあります。張りがずっと続く、張りの度合いが強く痛みも伴う、また出血が見られるなど、いつもと違った症状がある場合は、すぐに産院に連絡をしましょう。

また、特別なことが起こらなくても、お腹の張りで心配なことがあれば、早めに相談をしましょう。

臨月のお腹の張りで注意すべき症状は? 

生理的なお腹の張りの場合は、安静にしていれば必ずおさまります。また、お腹の張りは陣痛と同じように波があるので、基本的には「張りっぱなし」ということはありません。逆に言えば、お腹が「張りっぱなし」のときは注意が必要です。

もっとも心配なのは「常位胎盤早期剥離」のケースです。

赤ちゃんに酸素や栄養を届けている胎盤が、何の前触れもなく突然剥がれてしまう状態です。起こる確率は少ないものの、そのままにしておくとお腹の赤ちゃんどころか妊婦さんの命にも関わるものなので、すぐに産院に行きましょう。症状が軽ければ、緊急帝王切開をして赤ちゃんを助けます。

また出血量が多いときや血の塊が出たときや破水してしまったとき、妊婦さんが発熱したときなども急いで連絡してください。

もちろんこれ以外にもトラブルにつながることがあるので、いつもと違う張りを感じたら、遠慮なく産院に連絡して相談しましょう。何かあった場合にすぐに対処できるように、臨月になったら不必要な遠出はしないほうがいいでしょう。

病院に行くタイミング

本格的な陣痛がおとずれたら、病院に行きましょう。ただ、本格的な陣痛がいつおとずれるかは、誰にもわかりません。

最初は不規則なお腹の張りから始まることがほとんどです。「陣痛かな?」と思ったら、陣痛の波が来る間隔を、横になって時計を見ながら計ります。陣痛の波が来て、また波のように痛みが引き、次の痛みが訪れるまでの時間を計るのです。

最初は1時間に1回くらいかもしれません。それがやがて30分間隔になり、20分間隔になり、やがて10分間隔になります。陣痛はずっと痛いわけではありません。痛みの波が引いているときは、リラックスして待ちましょう。

初産婦さんの場合は、10分間隔になったら産院に連絡し、入院するかどうかの相談をしましょう。経産婦さんの場合は、一般に出産につながる時間が短くなるので、15分間隔になったら連絡しましょう。

もちろん、お産はケースバイケースです。すべての妊婦さんがマニュアル通りに陣痛が進むわけではありません。心配なことがあれば産院に連絡し、今の状態を説明して、どうすればよいかを相談するようにしてください。

妊娠後期から臨月のお腹の張り体験談

ケース1:ただ歩いているだけで突然おなかが張ったことも!

階段を上り下りしているときや、車に乗っているときに張ることが多かったです。ただ歩いているだけなのに突然張ったこともあります。

張りを感じたときは慌てずに、我慢するかその場でちょっと休むようにしました。張っていたのは数分間くらいだったので、しばらくするとおさまりました。Y・A さん/34歳(出産当時)

ケース2:ストレスが原因?の張りに悩まされました

張りは、精神的なことが原因の場合が多かったように思います。「今日、出かけるの嫌だなー」と思ったら張りを感じて、家でリラックスしているときは、ほとんど感じなかったです。たくさん動いたからといって、張ることはありませんでした。

張るときは、左右の横腹がつっぱるような感じで、痛いと感じることはありませんでした。張っている時間は5分くらい。ゆっくり休めば、よくなりました。N・Sさん/28歳(出産当時)

ケース3:出勤前に突然の痛み!そのまま入院に

臨月ではなく妊娠後期に入ってからのことですが、朝出勤しようとしたら、急にお腹全体が痛くなり、立ち上がれないほどに。しばらく休めばおさまるかなと思ったけど、20分ぐらい痛みが続きました。これは普通じゃないと思い、すぐに病院へ。

切迫早産ですと言われてそのまま入院。「一歩も動かないでください」と言われて、車椅子で運ばれました。退院後は心配するほどの張りは起こりませんでした。U・Sさん/28歳(出産当時)

ケース4:散歩中に動けないほどの張りを感じることも

いいお産につながるようにと、臨月に入っても、せっせと毎日1時間くらい散歩をしていました。その日もいつものように歩いていたら、じわじわとお腹が硬くなり、歩けないほどの張りが。立ち止まり、その場でお腹を押さえてじっとしていました。2、3分そうしていたらおさまりました。

でもその日は、少し歩いただけで、張りが頻繁に起こったので、散歩を切り上げて帰宅して安静に。その後も日課の散歩は続けましたが、そこまで強い張りは起こりませんでした。Y・Aさん/33歳(出産当時)

取材&文/樋口由夏

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天神尚子先生
三鷹レディースクリニック 院長
日本医科大学付属病院、同大学産婦人科を経て、2004年に現クリニックを開院。年齢によって異なる女性のライフステージを考慮した治療を行っています。2人の子育てをした経験からくるアドバイスは頼りになると評判です。

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