赤ちゃんが風邪にかかったときの症状や、対処・予防方法は?

 専門家監修
公開日:2018/05/29
更新日:2018/05/30
赤ちゃんが風邪にかかったときの症状や、対処・予防方法は?
監修
澤田雅子先生
澤田こどもクリニック院長

大人でも子どもでも、誰もが何度も経験する病気が「風邪」です。誰でもかかるだけに軽くすむものと思いがちですが、抵抗力の弱い赤ちゃんがかかると重症化したり合併症を起こすこともあり、実は甘く見てはいけない病気です。そんな風邪の症状や、かかってしまったときの対処方法、そして風邪をひかないための予防法などをまとめました。

赤ちゃんの風邪の症状は?

風邪は、主にウイルスが原因で起こる上気道の炎症です

風邪は、鼻からのどにかけての上気道が病原体に感染し、急性の炎症反応を起こす病気の総称のこと。「風邪症候群」と呼ばれることもあります。原因のほとんどがウイルスで、風邪を起こすウイルスはRSウィルスやライノウイルス、パラインフルエンザウイルスなどが代表的ですが、全部で200種類以上もあると言われています。

そのため、一度風邪にかかってあるウイルスに対する抗体ができても、抗体を持っていないウィルスに接すると感染することがあるので、何度でも繰り返しかかるのです。
感染経路はくしゃみやせき、鼻水で、空中に飛び散ったウイルスからうつる飛沫感染です。

主な症状は、くしゃみ、鼻水、咳、発熱、嘔吐、下痢

大人は、「のどが痛い」「鼻の奥がなんだか変」などで風邪のひきはじめに気づくことが多い一方、赤ちゃんの場合は、「いつもより不機嫌」「元気がない」「食欲が落ちた」などがひきはじめのサイン。やがて、以下のような症状が出てきます。

くしゃみ

鼻の粘膜が風邪のウイルスに感染すると、体の免疫反応で異物であるウイルスを体外に出そうとしてくしゃみが出ます。ただし、赤ちゃんはもともと鼻の粘膜が敏感で、少しほこりっぽかったり、気温が変化したりすることでも、よくくしゃみをします。くしゃみが何回も続くときは、ほかにも症状が出ないか、よく様子を見ることが大切です。

鼻水

風邪のひきはじめによく見られるのが、鼻水や鼻づまりです。赤ちゃんは、鼻水がたまっていたり鼻がつまっていたりすると、おっぱいやミルクが飲みにくくなったりぐっすり眠れないなど、日常生活の妨げにもなります。透明ではなく、黄色や緑色っぽい鼻水が出ている場合は、細菌に感染した可能性もあるので、早めに受診しましょう。

咳も、風邪をひいたときによく見られる症状です。風邪のウイルスがのどに感染すると、それをからめとろうとして気道から分泌された粘液(痰)が分泌されます。この痰を体外に排出するために出るのが咳です。

発熱

赤ちゃんの体内に風邪のウイルスが侵入すると、体の防御反応が起きて熱が出ます。これは、体がウイルスをやっつけようとしている証拠なので、解熱剤でむやみに下げる必要はありません。また、「熱の高さ=病気の重さ」ではないので、熱よりも赤ちゃんの全身症状をよく見ることが大切です。

嘔吐

風邪のウイルスに感染すると、胃や腸がダメージを受けるために、1~2回吐くことがあります。ただし、繰り返し激しく吐くときは、単なる風邪ではなく、ウイルス性胃腸炎にかかっている可能性があるので、受診しましょう。また、咳がひどい場合、咳込んだ拍子に吐いてしまうことも赤ちゃんにはよくあります。

下痢

上気道にウイルスが感染してかかる一般的な風邪でも、消化吸収機能が下がるために下痢をすることがあります。いつもより、うんちがゆるめ程度なら心配いりません。ただ、水のようなうんちが何回も出るときは、いわゆるおなかの風邪・ウイルス性胃腸炎にかかっている疑いがあるので、早めに受診を。

ふつうの風邪なら、こうした症状は3~4日もすればおさまってきます。一時的に赤ちゃんの食欲が落ちたり不機嫌になることがあっても、水分さえとれていれば自然に回復していくでしょう。熱が出た場合も3~4日で下がってきますが、のどや鼻の粘膜がウイルスにより荒らされているため、咳や鼻水は5~6日続くこともあります。多少長引いても、赤ちゃんの全身状態がよくなってきているのであれば、心配いりません。

赤ちゃんは生後いつから風邪にかかるの?

赤ちゃんはおなかの中にいるときにママから免疫を受け継いでいるので、生後6ケ月くらいまでは病気にかかりにくい傾向があります。風邪にかかりやすくなるのは、免疫が減ってきて、お散歩などで人と接する機会が増えてくる生後6ケ月以降くらいからでしょう。

ただ、風邪の原因となるウイルスはたくさんあるため、ママがその抗体を全部持っているとは限りません。ママが抗体を持っていないウイルスに接すれば、赤ちゃんは生まれてすぐからでも風邪にかかってしまう可能性があります。また、兄弟がいると、上の子から感染することもよくあるので、月齢が低いころでも油断はできません。

かかりやすい季節は冬ですが、これは気温や湿度が低いとウイルスが活発になるからです。一方、夏の高温多湿の時期に活発になって、いわゆる「夏風邪」を起こすウイルスもいます。咽頭結膜熱(プール熱)を起こすアデノウイルスやヘルパンギーナを起こすコクサッキーウイルスなどがその代表です。

赤ちゃんの風邪の治療方法と対処方法は?

治療には、症状をやわらげるための薬が使われます

ウイルスに効く薬はなく風邪そのものを治すことはできないため、治療は症状をやわらげるための対症療法が中心になります。熱が高くて苦しそうなら解熱剤を、咳がひどくて眠れないなら咳をやわらげる薬が処方されるでしょう。
また、体力が落ちて細菌にも感染したときは治療のため、抗生剤が処方されることもあります。

ホームケアは、まず安静がポイントです

風邪をひいても、赤ちゃん自身の力でよくなるのを待つしかないので、ホームケアではそれをサポートしてあげることが大切です。まずは、体を十分休められるよう、安静にすることです。といっても、赤ちゃんは布団でじっと寝ているのは難しいもの。暴れたりはしゃいだりしないようにしながら、室内で静かに遊んで過ごしましょう。

熱が出たら、とにかく水分補給をしっかりと

熱が出ると、呼吸や汗からどんどん水分が失われてしまうので、水分をこまめにとらせましょう。高い熱が出たとしても、水分を十分にとると熱が下がってくることもあるので、とにかく水分補給を心がけることが大切です。

咳がひどいときには、一度にたくさん飲ませると咳き込んだときに吐いてしまうことがあるので、少しずつ何回もこまめに飲ませてください。飲ませるものは、湯ざましやお茶、赤ちゃん用イオン飲料、経口補水液など、飲めるものなら何でもかまいませんが、ミルクや濃厚なポタージュなど消化にもエネルギーを使うようなものは控えてさらっとした飲み物にしましょう。また、下痢の症状もあるときは、みかんなどのかんきつ類の果汁は避けましょう。

赤ちゃんが風邪の時にお風呂に入れていいの?いつから入れていい?

軽い鼻水や咳が出る程度で、赤ちゃんも元気があるなら、お風呂はいつも通りに入れてかまいません。ただし、入浴は体力を消耗するので、短時間ですませるようにします。熱がある間は、お風呂はお休みしましょう。

お風呂に入れない間は、汗をかいたらこまめに着替えをさせたり、お湯でしぼったタオルで体をふいてあげるといいですね。おしりが汚れているようなら、シャワーなどでおしりだけ洗ってあげると赤ちゃんも気持ちがいいでしょう。熱が平熱まで下がり、症状もおさまってきたらお風呂を再開してOKです。

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赤ちゃんが風邪の時に市販の風邪薬は使っていいの?

「風邪くらいで受診すると、病院でほかの病気をもらってしまいそう」と、市販の赤ちゃん用風邪薬を使って治したいと思うママもいるようです。でも、その風邪薬が必ずしも赤ちゃんの症状に合うかわかりません。薬が必要と思ったら、必ず受診をして医師に症状の経過を話してよく診てもらい、赤ちゃんの症状に合った薬を処方してもらいましょう。

赤ちゃんの風邪で病院に受診する目安は?何科に行けばいいの?

鼻水や咳が悪化したり、熱が出たら小児科へ

鼻水やせきが少々出ている程度なら、家で様子を見ていてかまいません。ですが、症状がひどくなり、眠れなかったり水分がとれなかったりするようなときは、熱がなくても小児科を受診しましょう。症状が鼻水だけのときでも、まずは小児科で診てもらってください。

熱が出たときは、なるべく早めに受診します。ただ、高熱があっても赤ちゃんが水分を十分にとれていて、ぐったりしていなければ慌てて病院へ駆けつける必要はありません。夜中や休日であれば、診療時間を待って受診すればいいでしょう。夜中でも受診したほうがいいのは、生後3ケ月未満の赤ちゃんが38度以上の熱を出したとき。とくに家族内でひとりだけ発熱したときはかぜではない可能性もあるので、早急に病院へ行ってください。

高熱が長引いたとき、水分がとれないときは再受診を

受診して一度かぜと診断されていても、熱が4日以上続いたり、咳や鼻水・鼻づまりがひどくなって苦しそうな様子があれば、再度受診しましょう。ふつうのかぜならば3~4日もすれば症状は治まってきますが、熱が続くときは気管支炎や肺炎を併発している恐れがあるからです。また、鼻水が黄色っぽくなってきたときも、再受診すると安心です。

さらに、水分がとれないときは、熱の高さにかかわらず脱水症を起こす心配があるので、やはり早めに再受診します。

医師は、もう一度診察して赤ちゃんの状態を見たいために、薬を何日分と決めて出しています。最初の受診の際に、どんな症状が出たら再受診すべきか、薬が終わってから再受診すればいいのかを、聞いておくといいですね。

赤ちゃんの風邪の予防方法は?何をすればいいの?

まず、予防の基本として、家族の手洗いやうがいを習慣化しましょう。赤ちゃんは家族が外から持ち込んだ風邪のウイルスに感染することも多いので、特に大人や上の子が外から戻ったらしっかり手洗いとうがいをします。

赤ちゃんはまだうがいができないので、外から帰ったら飲み物を飲ませましょう。のどの粘膜が潤うことで、ウイルスがつきにくくなります。

そのほか、規則正しい生活を送り、たっぷり睡眠をとって、体調管理に努めることも大切です。また、ウイルスは空気が乾燥すると活発になるので、室内では加湿器を使ったり洗濯物を干す、時々水を霧吹きするなどして、湿度50~60%を目安に加湿を心がけましょう。

風邪予防に効果的なこと

□ 外出から帰ったら、赤ちゃんの顔や手を拭く
□ 外出から帰ったら、大人は手洗い、うがいをする
□ 就寝・起床時間を決め、できるだけ規則正しく過ごす
□ しっかり睡眠をとる
□ 人ごみに出かけないようにする
□ 部屋に加湿器を置くなどして空気が乾燥しないようにする

赤ちゃんが風邪をひいた時、先輩ママはどうしたの?

ベビーが風邪をひいたとき、どんな症状でママたちはどう対処したのでしょうか? 先輩ママたちの体験談をご紹介します。

Case1
熱は1日だけで、鼻水が6日間続きました(男の子・生後6ケ月の冬)

1日目
ベビーが夜に突然ミルクを吐き、おかしいなと思っていたら鼻もつまってきて、一晩中ぐずっていました。

2日目
朝から38.5度の熱が出て小児科へ行くと、風邪と診断されました。その日から鼻づまりがひどく不機嫌で、食欲もなくおっぱいだけになりました。

3~4日目
熱も下がり、元気になって食欲も復活。ただ、鼻水は続いていて、だんだんドロッとした状態になってきました。でも、体調はすっかり元通りになりました。

5~6日目
鼻水の量も減ってきて6日目にはすっかり治りました。

【ママから】
実家に預け、エアコンの暖房をつけた部屋に長時間いた日から調子が悪くなったので、空気の乾燥がよくなかったようです。自宅ではとにかく加湿に努めました。

この時、水分補給をと思ったのですが、鼻づまりがひどくてなかなか飲めず、少しずつ何回もこまめに飲ませるのが大変でした。上半身を高くして寝かせたところ、鼻づまりは少し楽になったようです。

Case2
熱は出ず、鼻水だけ2週間続きました(男の子・生後7ケ月の冬)

1日目
鼻水が出始めましたが、熱はなかったので受診せず様子を見ることに。

2~3日目
だんだん鼻水の量が増えていきました。日中は元気でしたが、夜は鼻づまりで苦しがるため、上半身を起こして寝かせました。

4日目
鼻水がドロドロしてきたので、耳鼻科を受診。「風邪みたいだね」と言われ、薬をもらいましたが効果はなく、鼻水吸引器で吸おうとしても嫌がるので、困りました。

5~8日目
ドロドロした鼻水がずっと、頻繁に出ていました。

9日目
鼻水の量が減らないので、もう一度耳鼻科へ。

10~14日目
耳鼻科で抗生剤を処方されたので飲ませると、鼻水がだんだん少なくなりました。でも、すっかり止まったのは2週間目を過ぎてからでした。

【ママから】
症状が鼻水だけなので、小児科とは思わず耳鼻科へ行きました。でも、あとでママ友から、「鼻水や咳は風邪の症状だから、小児科で診てもらったほうがいい」と言われ、それからはまず小児科へ行っています。

Case3
月齢が低く、かぜとは思えず病院をはしごしました(女の子・生後1ケ月の春先)

1~2日目
気がつくと娘が咳をしていて、鼻づまりも始まりました。

3日目
37.8度の熱が出て、鼻づまりでおっぱいを飲むのが苦しそうでした。

4日目
2日目から夜中になると特に咳がひどくなったので、小児科へ。軽い風邪と診断されて処方された薬を飲ませましたが、症状はあまり変わりませんでした。

5日目
咳と鼻水がおさまらないので、風邪ではなくほかの病気では?と思い耳鼻科へ。でも、やはり軽い風邪と診断され、鼻水を吸ってもらいましたが薬は出ませんでした。

6日目
咳や鼻水の症状がおさまってきました。

【ママから】
母乳をあげていて、「月齢が低いうちは免疫があるから風邪はひかない」と思い込んでいました。小児科で風邪と診断されたのに、念のため耳鼻科にも行ってしまい、今思えば心配しすぎでした。

Case4
あらゆる症状が出て、完治まで3週間以上も!(女の子・生後6ケ月の冬)

1日目
娘がコンコンと乾いた咳をしてるのに気づき、咳はやがてゴホゴホと湿った音に。昼寝中に咳き込んで目を覚まし、熱を測ると37.9度あったのですぐ小児科へ。風邪でのどが赤くなっているので、この後、熱がもっと上がるだろうと言われ、解熱剤と咳・鼻づまり用のシロップ、抗生剤をもらいました。

2日目
医師の言った通り熱が39.2度まで上がり、グッタリ。ミルクも飲まず、イオン飲料もほんのひと口くらいしか飲まないので、解熱剤の坐薬を入れました。熱は38度に下がったのですが、その夜はぐずりっぱなしで、夜通し抱っこでねんねでした。

3日目
朝には平熱に戻ったものの、夕方にはまた熱が38度に上がり、咳も続いていました。

4日目
また平熱に戻り、少し元気も出てきたのですが、鼻づまりのためミルクを飲むと息がうまく吸えずに苦しそうでした。

5~6日目
熱は平熱のままでしたが、今度はうんちが下痢気味に。お風呂を控えていたので、すぐおしりが真っ赤にかぶれてしまいました。そこで、6日目にお風呂を再開することにしました。

7日目
食欲がすっかり戻り、消化のいいものから離乳食を再スタートしました。

1~2週間目
ずっと咳と鼻づまりが続いていたので、薬を飲み切るたび、4日に1度くらいのペースで小児科へ。2週間目に抗生剤を違う種類に変えたところ、やっと咳と鼻水がおさまってきました。

3週間目
咳と鼻水がやっと出なくなりました。

【ママから】
「風邪」と診断されたので、一時的に症状がひどくなっても2~3日で治るだろうと軽く考えていました。ところが、咳と鼻水は3週間も続き、苦しそうにしている娘がかわいそうでした。風邪といっても甘く見てはいけないな、と反省しました。

赤ちゃんが風邪の時の注意点は?

ふつうの風邪をひいただけなら、たいていは3~4日で回復してきます。ただ、風邪のウイルスそのものの影響や、細菌に二次感染することにより、気管支炎や肺炎、中耳炎などの合併症を起こすこともあるので、風邪はあなどれません。

黄色っぽい鼻水が出てきたら、細菌に感染して副鼻腔炎を併発している可能性もあります。また、クループ症候群になることもあります。これは、気道の最も細い部分が炎症のためより細くなって、呼吸がしにくくなる病気。「ケーン、ケーン」と犬が吠えているような咳が出るのが特徴です。クループ症候群になると、気道閉塞を起こす恐れもあるので、特徴的な咳に気づいたら、大至急受診することが必要です。
また、熱の上がり際には、熱性けいれんを起こすこともあります。

いずれにしても、赤ちゃんは風邪から重い病気になることもあるので、全身の状態などの様子をよく見て、少しでも気になるときは早めに受診すると安心です。

画像出典:『はじめてママ&パパの病気』(主婦の友社 刊)

監修
澤田雅子先生
澤田こどもクリニック院長
1991年東京大学医学部小児科入局。国立小児病院新生児科、愛育病院小児科、東大病院小児科アレルギー外来などを経て、2003年に澤田こどもクリニックを開業。明るく親しみやすい人柄と、わかりやすい説明が評判のママ先生です。

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