【産婦人科医監修】妊娠中に子宮筋腫が見つかった場合、出産への影響は?帝王切開になるの?

 専門家監修
公開日:2018/06/05
更新日:2018/10/18
【産婦人科医監修】妊娠中に子宮筋腫が見つかった場合、出産への影響は?帝王切開になるの?
監修
天神尚子先生
三鷹レディースクリニック 院長

子宮の病気の中でも発生頻度が高く、もっとも一般的な「子宮筋腫」。子宮筋腫が小さいうちは自覚症状がほとんどないため、妊娠して初めて子宮筋腫があることが判明する妊婦さんも少なくありません。子宮筋腫とは一体どんなもので、妊娠・出産にどのような影響を及ぼすのか、また妊娠中はどんなことに気をつければいいのかを見ていきましょう。

子宮筋腫とは、一体どんな病気なの?

子宮の壁は平滑筋(へいかつきん)という筋肉で作られていますが、子宮筋腫は平滑筋が何らかの原因で増殖し、こぶになった状態のことをいいます。子宮筋腫は良性の腫瘍で、悪性化することはごくまれです。

子宮筋腫患者がもっとも多いのは、30~40代の女性です。子宮筋腫はエストロゲンという女性ホルモンの影響を受けて大きくなるため、このホルモンの分泌が活発で、かつ影響を受けている期間が長い人ほど筋腫ができたり、大きくなりやすくなります。

最近は30代、40代で初産を迎える人が増えているため、子宮筋腫を持ちながら妊娠、出産する人も多くなってきています。

女性の病気の中でも子宮筋腫は発生頻度が高く、気がついていないだけで意外に多くの女性に子宮筋腫はありますが、普通に生活する分には基本的に大きな支障はありません。

妊娠中に子宮筋腫が見つかる確率はどれくらい?

妊娠前に、婦人科検診などで指摘されて「自分には子宮筋腫がある」と知っている人もたくさんいますが、腫瘍が小さい場合などは何の自覚症状もないため、妊娠後の健診で初めて「子宮筋腫がある」と分かる人もかなりいます。

妊娠中に初めて子宮筋腫が見つかる確率については、今のところデータはありませんが、30~40代女性の4人に1人は子宮筋腫があり、妊娠に合併する確率は0.3~2.5%といわれています。ちなみに最近、アメリカでは子宮筋腫合併妊娠は10%という高い数字が発表されていますが、同じく日本でも高齢出産が増えているため、子宮筋腫合併妊娠の割合は高くなっていると考えられます。

妊娠中の子宮筋腫の症状は? 自分で気づくこともある?

先ほどもお話したとおり、子宮筋腫があっても腫瘍が小さい場合などは自覚症状はほとんどありません。

ただし、妊娠によるホルモンの変化などによって腫瘍が大きくなってくると、おなかの張りや痛みを感じたり、出血する場合などもあります。気になる症状がある場合は、すぐにかかりつけの産婦人科で診察してもらうようにしてください。

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妊娠中に子宮筋腫が見つかった場合の対処法は?

妊娠中に子宮筋腫が見つかっても、筋腫の位置や大きさが赤ちゃんの成長や子宮の形に影響しないものであれば、特に大きな問題はありません。

子宮筋腫のタイプによっても、妊娠への影響や対処法が違ってきますので、子宮筋腫のタイプについてそれぞれ見ていくことにしましょう。

有茎漿膜下(ゆうけいしょうまくか)筋腫

茎のような部分を持ち、子宮本体から外に飛び出しているタイプの筋腫。茎がねじれると激しい痛みが生じます。

有茎粘膜下(ゆうけいねんまくか)筋腫

粘膜下筋腫で茎を持つタイプ。子宮口から飛び出すほど大きくなることもあります。出血や痛みなどの症状が強く出ますが、この筋腫ができるのはまれです。

筋層内(きんそうない)筋腫

子宮壁内にできる筋腫で、子宮筋腫ではもっとも多いタイプ。1つだけではなく、何個もできる場合がありますが、筋腫が小さければそれほど問題はありません。

粘膜下(ねんまくか)筋腫

子宮粘膜の下にでき、子宮の内側に飛び出すタイプの筋腫。大きさによっては、妊娠経過や赤ちゃんの位置、出産に影響することがあります。

漿膜下(しょうまくか)筋腫

子宮表面にある漿膜という膜の下にできるタイプの筋腫。外側に向かって飛び出すようにできるので、妊娠・出産への影響は少なくなります。

子宮頸部(しきゅうけいぶ)筋腫

子宮の出口である頸部にできる筋腫です。出産の際に赤ちゃんが通る妨げになるため、大きさによっては帝王切開になる場合も。ただし、発症頻度は多くありません。

妊娠中の子宮筋腫は妊娠経過にどう影響する? 流産、早産の危険は?

ほとんどの場合は、子宮筋腫があっても問題なく妊娠・出産できますが、筋腫のある位置や数、大きさによっては、以下のようなトラブルが発生することもあります。

・切迫流産、切迫早産 ・前置胎盤 ・癒着胎盤 ・子宮内胎児発育遅延 ・常位胎盤早期剝離 ・前期破水 ・逆子 ・排尿障害

特に、筋腫が胎盤のすぐ下にあったり、数が多い場合には、妊娠経過や赤ちゃんの位置に影響することがあるので注意が必要です。

なお、まれなケースではありますが、妊娠中に筋腫の性質が変わって炎症を起こし、激しい痛みを感じることもあります。このような場合は、すぐにかかりつけの病院で抗生物質の点滴をするなど、炎症を抑える処置を受けることになります。

いずれにしても、筋腫がある場合は妊娠中にトラブルが起こる可能性が高くなるので、主治医の指示をきちんと守って、スケジュールどおりに妊婦健診を受けるなど、定期的にチェックすることが大切です。

妊娠中に子宮筋腫があると出産時にどんなトラブルが発生するの? リスクはある?

子宮筋腫がある場合の出産時のトラブルとしては、次の3つが考えられます。

①微弱陣痛

陣痛は子宮の筋肉の収縮によって起こります。しかし、子宮筋腫があると筋肉がスムーズに収縮することができず、陣痛が弱まってしまう「微弱陣痛」になり、お産が長引くことがあります。

ただし、微弱陣痛は、子宮筋腫以外にもさまざまな要因が影響するので、子宮筋腫があるからといって必ず微弱陣痛になるわけではありません。また、陣痛促進剤を使って子宮の収縮を補うことができるので、実際にはそれほど大きな問題にはなりません。

②回旋(かいせん)異常

出産の際、赤ちゃんは子宮の収縮する力を借りて体を回転(回旋)しながら外へと出てきます。子宮筋腫があると子宮の収縮が微弱になるため赤ちゃんを押し出す力も弱く、うまく回転できない、また筋腫が邪魔をして赤ちゃんが上手に回転できないなどの回旋異常を招くこともあることから、通常よりもお産が長引いてしまうリスクがあります。

③出血量が増える

出産後は、子宮が急速に収縮し、胎盤をはがして体外に出し、さらに収縮して出血を止めようとします。しかし、子宮筋腫がある場合は、この収縮が弱くなってしまうため、なかなか出血が止まらず、出血量が増えてしまうリスクがあります。また、出血量が増えることによって貧血気味になり、産後の回復に時間がかかる場合もあります。

妊娠中に子宮筋腫がある場合は帝王切開で出産することになるの?

子宮筋腫が原因で帝王切開になることは、実はそれほど多くはありません。確実に帝王切開になるケースは、子宮頸部筋腫のように、子宮口近くに筋腫があって、赤ちゃんの通過を妨げるような場合のみです。それ以外は、妊娠中の経過やお産の進み具合を見ながら、医師が判断することになるでしょう。

ただ、出産時のトラブルとして、筋腫がある場合は微弱陣痛になることもあるため、あまりに出産に時間がかかるような場合は、途中で帝王切開に切り替えることもあります。

また、妊娠前に子宮筋腫の手術をしたことがある人は、帝王切開になることが多いです。これは、一度子宮を切開すると、傷は治っていても組織が薄くなっているため、陣痛のときの子宮収縮に子宮が耐えられず破裂する危険があるからです。

ただし、これは手術をしたときの筋腫の状態や手術の程度によっても変わってくるので、妊娠前に子宮筋腫の手術した経験がある人は、可能であれば同じ病院で出産できると対応がスムーズになるでしょう。

以上、子宮筋腫がある場合の妊娠・出産について見てきましたが、いかがでしたか? 子宮筋腫があるからといって、必要以上に心配する必要はありませんが、出産までにさまざまなリスクが高くなります。妊娠中は、この点をしっかり念頭に置きながら、医師の指示に従ってきちんと妊婦健診を受けるようにしてください。また、おなかの張りや痛み、出血がある場合は、すぐに主治医に相談するようにしましょう。

取材・文/土田奈々子

監修
天神尚子先生
三鷹レディースクリニック 院長
日本医科大学付属病院、同大学産婦人科を経て、2004年に現クリニックを開院。年齢によって異なる女性のライフステージを考慮した治療を行っています。2人の子育てをした経験からくるアドバイスは頼りになると評判です。

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