【助産師監修】乳腺炎を予防する食事・母乳にいい食べ物って本当にあるの?

 専門家監修
公開日:2018/07/27
更新日:2018/12/01
【助産師監修】乳腺炎を予防する食事・母乳にいい食べ物って本当にあるの?
監修
秦 万理
助産師/助産所Cigogne院長

授乳中ママであれば、栄養たっぷりの母乳を赤ちゃんに飲ませてあげたいと願うもの。でも「これを食べると良い母乳が出る」「こってりした食べ物は乳腺炎の原因になる」など、授乳中の食事に関してはさまざまな情報が飛びかっており、迷ったり悩んだりすることも多いでしょう。そこで今回は、乳腺炎を心配する授乳中のママが知っておきたい食事の知識についてまとめました。

授乳を経験したママたちにインタビュー!

乳腺炎を経験したことがありますか?

乳腺炎を経験したことがありますか?アンケート結果

今回、授乳を経験した先輩ママへアンケートを行ったところ、セルフケア等により自然に良くなったケースを含めて「乳腺炎かも?と思ったことがある」もしくは「乳腺炎と診断されたことがある」とする人が半数以上も。授乳中のママにとって、乳腺炎はかなり身近な症状だということがわかりました。

授乳中の食事で悩んだことやエピソードを教えてください

「義理の母が『あんこを食べると母乳がよく出る』と大福やおはぎなどを頻繁に差し入れしてくれました。その気持ちは嬉しかったものの、それほど効果があるとも感じませんでした」(1歳3ヶ月男の子のママ)

「夫が大豆&牛乳アレルギーなので、遺伝させたくないと思い、大豆と牛乳を避けて妊娠中~授乳中をすごしました。しかも先輩ママから『授乳中は、脂っこいお肉などを食べないよほうがいいよ』と聞き、たんぱく源が摂れなくて本当に困りました」(2歳女の子のママ)

「母乳がたまってバストが張りやすかったので、低脂肪、根菜中心の和食を心がけました。結果的にひどい乳腺炎になることもなく、栄養バランスの良い食事ができたので、自分や家族の健康維持のためにも良かったと思っています」(1歳6ヶ月女の子のママ)

「産後2ヶ月の頃、乳腺炎になりかけて駆け込んだ母乳相談室の先生がとても厳しい方で、『肉を食べたでしょ!』と叱られ泣きそうになりました。しばらくはあっさりした食事に切り替え、授乳が軌道に乗ってからはお肉も食べましたが、その後は特にトラブルもなく過ごせましたよ」(3歳男の子のママ)

やはり、授乳中の食事にはいろいろ気を遣ったというコメントが多数。特に「乳腺炎予防のためあっさりした食事に切り替えた」という人が多く見られました。

乳腺炎とは?

乳腺炎とは、母乳の通り道である「乳腺」が炎症を起こした状態のことを言います。乳房のしこりや張りによって痛みを感じ、ひどくなってくると乳房がカチカチに硬くなったり、細菌感染を起こして激しい痛みや発熱が起こることも。授乳中の3~20%の女性が体験すると言われており、授乳中を通じて起こる可能性がありますが、特に産後2・3週目ごろ~3ヶ月ごろに多い症状です。

乳腺炎のいちばんの原因は、乳腺に母乳がたまった状態のままになってしまうこと。授乳間隔や授乳姿勢を見直すことがいちばんの対策になります。以下の記事にも詳しく書かれていますので、参考にしてみてくださいね。

【助産師監修】乳腺炎とは?症状と原因/予防法と対処法を伝授!
【助産師監修】乳腺炎とは?症状と原因/予防法と対処法を伝授!
この記事では、乳腺炎を防ぐためのポイントや発症したときの対処方法を解説。授乳中の多くのママが経験する胸の張りや痛み。そのほとんどは、こまめに赤ちゃんに母乳を飲ませたり、適切に搾乳を行うことで改善しますが、ときには「乳腺炎」という症状に発展してしまうこともあります。赤ちゃんとのハッピーな母乳ライフに役立ててくださいね。
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そもそも授乳中に控えるべき食べ物ってあるの?

授乳中に「肉を食べたら母乳が詰まりやすくなる」とか「牛乳やチーズはダメよ」などと言われたことがある人も多いことでしょう。本当に避けたほうが良いのでしょうか。

アレルギーが心配される食材(牛乳、卵など)は避けるべき?

授乳中のママの中には、「赤ちゃんのアレルギーが心配だから、自分も牛乳や大豆を控えている」という人がときどきいます。

しかし『食物アレルギー診察ガイドライン2016』によると「食物アレルギーの発症予防のため、妊娠中や授乳中に母親が特定の食物を除去することは、効果が否定されている上に母親の栄養状態に対して有害であり、推奨されない」とされています。
ママが卵や牛乳を控えれば赤ちゃんの食物アレルギーが予防できる、という強い根拠が今のところ見つかっておらず、アレルギーの専門医は母親の食事制限を推奨していないのです。

ただ、例えば「ママが卵を食べてから授乳すると、赤ちゃんの皮膚が赤くなる」など、明らかに食物アレルギーが疑われる場合は控えたほうが良い場合も。自己判断せずにアレルギー専門医を受診しましょう。

高脂肪・高塩分・高糖質食品は食べちゃダメ?

WHOは「高塩分と高脂肪の摂取は乳腺炎の可能性を高めるという点も含めて、食べ物は乳腺炎に関係していると考えられてはいるが、根拠はまだはっきりしていない」としています。

食べ物はママの消化器系で細かく消化されてから吸収されます。食べた物が母乳に直接含まれるわけではないのです。また乳管の太さは乳頭に近い部分では約2mm(2,000µm)、たとえば母乳中の脂肪は直径2~10µmの球状です。つまり理屈的には、食品から消化吸収された栄養素により乳管がつまりやすくなるということは考えにくいのです。

海外に目を向けてみると、アメリカ人に日本的な食事をしている人はほとんど見当たりません。チーズやハムが大好きで、チーズは高脂肪ですが貴重なカルシウム源ですから、あまり制限もしません。

授乳中のママには、エネルギーなら1日につき+350kcal、たんぱく質は+15g、ビタミンCは+40mg(厚生労働省による授乳期栄養所要量より抜粋)という具合に、妊娠前よりも多くの栄養が必要です。特定の食品を避けることにより栄養不足にならないよう、注意しましょう。

母乳をサラサラにして乳腺炎を予防できる?おすすめの食事とは

一般的に、授乳中は繊維質をたっぷり含む和食を中心にしたほうが良いと昔から言われています。また「⚪⚪を食べると母乳がサラサラになる」とか「乳腺が詰まりにくくなる」「母乳がおいしくなる」といった表現もよく見聞きしますよね。生真面目なママほど、真剣に取り組んでしまうかもしれませんね。
何か特定の食品を摂ることによって母乳の質が変わるという調査研究結果ははっきりしていないようですが、伝統的に母乳に良いとされる食材を、参考までに以下に書き添えておきます。

【伝統的に母乳に良いとされてきた食品】
■玄米
■根菜
■青菜
■大豆
■小豆
■海藻
■魚

間違えてはいけないのが、上記だけを摂ればよいと勘違いしてしまうこと。母乳は血液から作られます。ママが食べて消化吸収された栄養素から作られますので、肉も魚も野菜もバランス良く摂取することが最も大切だと言えるでしょう。また授乳中は水分不足になりやすいので、カフェインレスのお茶や白湯などでこまめな水分補給を心がけることも重要です。

監修
秦 万理
助産師/助産所Cigogne院長
2004年助産師国家資格を取得後、慶応義塾大学病院産婦人科病棟に勤務。JICA助産師枠でモロッコに派遣。09年、銀座に助産所Cigogne(スィゴーニュ)を開業。その後、渡米しBASTYR UNIVERSITYにて2015 Breastfeeding for Doulas、Birth Art Internationalにて2016 Breastfeeding Educator認定。帰国後、墨田区に助産所を移転し、妊娠中から出産後までのママの悩みをサポート。母乳ケアにも力を入れている。著書『とつきとおか(10月十日)の安心ママ手帳』(青春出版社)

助産所Cigogneホームページ

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