歯の生え始めが遅い赤ちゃんの“乳歯ケア”で注意すべきこと

 専門家監修
公開日:2018/09/01
歯の生え始めが遅い赤ちゃんの“乳歯ケア”で注意すべきこと
監修
倉治ななえ先生
テクノポートデンタルクリニック院長

「歯磨きは大事」とわかっていても歯の本数はまだ少ないし、いやがるとママもストレスだし、「まだいいか」なんて思いがち。でも、それはダメ! むし歯ゼロを目指すなら、今日から歯ブラシで歯みがきをスタートしましょう。

エナメル質や象牙質が薄くて弱い、生えたての乳歯を守って!

ご存知のように、乳歯は永久歯に生え替わるまでの数年間しか使わない「期間限定」の歯です。けれど、乳歯がむし歯になってしまうと大変なことになります。
それは……、

①永久歯がむし歯になりやすい
乳歯がむし歯だらけになると、口の中にはむし歯の原因菌(以下むし歯菌)が増え、永久歯までむし歯にしてしまいます。
②歯並びやかみ合わせに影響を与える
乳歯にむし歯があると、痛みがあるなどで片方の奥歯でばかりものをかんだり、よくかまないで飲み込むことがあります。そうなるとあごが大きく成長できません。また、早めに乳歯が抜けると正しい位置に永久歯が生えないこともあるのです。

……といった理由からです。
将来の健康や顔立ちに大きな影響を与える大事な乳歯。でも、残念ながら、乳歯の表面のエナメル質は永久歯にくらべて薄く、むし歯になりやすいという特徴があります。とくに生えたばかりのこの時期は、むし歯になりやすい最大の危機。大事な乳歯を守るために、ママの仕上げみがきで歯の汚れをていねいに落としつつ、将来自分でしっかり歯みがきできるためのレッスンも始めていきましょう!

最初の1本から仕上げみがきを!歯ブラシに慣れるのは早いほうがいい

歯が2本のTちゃん&ママの歯みがきを倉治先生がチェック
Tちゃんは9カ月。歯が生え始めたのは、今から2カ月ほど前のこと。遅めのスタートです。

歯ブラシは歯のない歯ぐきを傷つけてしまいそう
乳歯が生え始めるのは、だいたい生後6~7カ月ごろといわれていますが、個人差が大きいものです。Tちゃんは歯がなかなか生えず、生後8カ月でようやく2本の歯が顔を出しました。ママは「いつ歯が生えてもいいように」と、歯ブラシを用意して待っていたそうです。
でも「いまは歯ブラシを使っていません」とTちゃんママ。その理由は「まだほとんど歯がないので、ブラシをつかってみがくと歯ぐきを傷めてしまいそうで」と。いましていることは、歯みがき用のナップで離乳食のあとに歯をサッとふく程度のようです。「食後に手や口のまわりをふくので、歯もいっしょにふいています。娘もいやがらないので、上下4本くらいになるまではナップでふくだけでいいかな?」

Tちゃんの歯みがきタイム

ママ:朝・昼・夕食のあと、ナップで歯をササッとふいています。ふき方はこれでいいのかな?
倉治先生:ナップは指に巻き付けて使ってね。ママの指には雑菌がついているので、赤ちゃんに口内炎ができることもあります。右の写真だとママの指が直接口にふれているので、ナップを指に巻きつけて短時間でふきとって。

生後9カ月のTちゃん。低月齢で生えた子と同じ扱いではいけません

倉治先生:Tちゃんは歯が生えるのが遅かったのね。一般的には生後6~7カ月くらいで生える子が多いけれど、Tちゃんはその子たちに比べて、ちょっとお姉ちゃん。知恵もついているので、ママも心の成長に合わせたケアが必要になってきますね。
Tちゃんママ:月齢と歯のみがき方は関係あるんですか?
倉治先生:もちろんです。生後6カ月なら歯をナップでふいて、「口元をさわられるのに慣れようね」でいいけれど、Tちゃんはもう9カ月。「これはいや」という自己主張の年齢が近づいています。「いやいや!」が始まる前に、大急ぎで「自分みがき」「仕上げみがき」という習慣をつけましょう。
Tちゃんママ:このぐらいの月齢で、もう自分で歯をみがけるんですか?
倉治先生:いえいえ。歯の汚れを落とすのはママの仕事。でも、将来、自分で歯みがきするためのレッスンは、いますぐに始めたほうがいいんですよ。
Tちゃんママ:歯の汚れはナップで落とすだけではいけませんか?
倉治先生:歯のくぼみや、歯と歯の間はナップでみがくことができません。それに9カ月のTちゃんは「歯はナップでみがくもの」と学んでしまうので、歯ブラシにチェンジしたときに激しく抵抗するかもしれませんよね。
Tちゃんママ:わかりました。今日から歯ブラシ使ってみます。

<初めての歯みがきのコツ>

歯ブラシは「自分用」「仕上げ用」の2本を必ず用意
歯の生え始める時期は、ちょうどなんでも口に入れたがる時期でもあります。歯ブラシだって抵抗なく口に入れますよね? ここで「口に歯ブラシを入れる」ということに慣れさせてしまいましょう。用意する歯ブラシは、必ず「仕上げみがき用」(ママが使うもの)と「自分みがき用」(赤ちゃんが自分でカミカミするもの)の2本。赤ちゃんが使う「自分みがき用」は、月齢に合わせた安全なものを選びましょう。
「仕上げみがき用」は歯の汚れを落とせるしっかりした歯ブラシを使います。「自分みがき用」をかんでいるだけでは、汚れは落ちませんよ!

歯が8本までなら抱っこみがきで。話しかけつつサッと!
前歯だけのうちなら、おっぱいのときと同じ姿勢で仕上げみがきするのがおすすめです。赤ちゃんが動かないようにしっかり抱えることができるし、ママの顔も近いので赤ちゃんも安心できますよね。赤ちゃんの手をママのわきの下にはさむと安定します。ママが「あー」と言うと、赤ちゃんも「あー」と口をあけるので、そのスキにサッとみがいてしまいましょう。1本につき2秒で終わります!
歯の本数が増えたら、あおむけに寝かせてみがきましょう。抱っこみがきでは、歯の裏側や奥歯までみがくことができなくなります。

撮影/黒澤俊宏、柴田和宣(主婦の友社写真課) イラスト/あべゆきこ

出典 :Baby-mo2017年秋冬号※情報は掲載時のものです

監修
倉治ななえ先生
テクノポートデンタルクリニック院長
東京都大田区のテクノポートデンタルクリニック院長。日本歯科大学附属病院臨床教授。生活習慣や子育ての方法を見直すことで、子どもの美しい歯を育てることを提案する「子育て歯科」の第一人者。講演活動やテレビ出演、本の執筆など、多方面で活躍中。

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