スリングで新生児を抱っこする際の正しい使い方と選び方

 専門家監修 公開日:2018/04/12
スリングで新生児を抱っこする際の正しい使い方と選び方
監修
園田正世さん
北極しろくま堂 代表取締役

ピッタリ寄り添いながら赤ちゃんを抱っこできる「スリング」。赤ちゃんが生まれたら、ぜひ使ってみたいと考えている妊婦さんも多いことでしょう。でも、中には「スリングってちょっと難しそう……」と使い方に不安を感じる人も。そこで今回は、スリングで新生児を抱っこする際の正しい使い方と上手に使うためのコツをご紹介していきます。

そもそもスリングとはどんなものなの?

スリングは、正式には「ベビースリング」と呼ばれるもので、赤ちゃんを抱っこするための道具の一つです。多くの場合は、1枚の連続した布でできていて、主に次の3つのタイプに分けることができます。

リングスリング

長い一枚布の片側にリングが2つついたスリング。リングに反対側の布を通すことによって輪を作り、たすき掛けにしてポーチと呼ばれる袋部分に赤ちゃんを入れて抱っこします。

バックルスリング

リングではなく、バックルでサイズや赤ちゃんとの密着度を調節するタイプのスリング。

パウチ/リングなしスリング/チューブ式スリング

リングやバックルがなく、最初から輪っか状になっているタイプのスリング。パウチとはカンガルーのおなかのポケットのことを指しますが、このタイプのスリングでは赤ちゃんがポケットに入っているような格好になります。

スリングはいつからいつまで使えるの?

製品として売られているスリングは、基本的に赤ちゃんが生まれてすぐから3歳くらいまで使えるように強度設計されています。ただ、製品やスリングのタイプによっても異なるので、使用可能な年齢や体重を取扱説明書できちんとチェックしてから使うようにしてください。

一般的に、リングスリングであれば、生まれてすぐから使用することが可能です。ただ、日本では小児科医の意見として、呼吸が完全に安定する生後2週間までは、素手だけで抱っこするのがいいという考え方もあるため、「生後2週間から」となっているスリングも一部にあります。

日本の赤ちゃんの体格は世界的に見ても小さめなので、リングスリングで新生児を抱っこする場合は、「膝から下をスリングの外に出して開脚させる」という正しい抱き方をするのが難しい場合もあります。このようなときは無理にスリングを使わずに、おくるみ等で赤ちゃんをくるんでから、素手で斜め上方向にたて抱きをしてあげるといいでしょう。

スリングで新生児を抱っこする際の注意点

生まれたばかりの新生児をスリングで抱っこする場合は、股関節脱臼や窒息を防ぐために、脚の開き方と呼吸の維持に特に注意する必要があります。これらを防ぐためには、新生児をスリングで抱っこする際は、赤ちゃんをたてに抱く「新生児の基本抱き」のスタイルで抱っこしてあげるのがもっともおすすめです。

この「新生児の基本抱き」は、日本小児整形外科学会股関節研究会とともに検討したもので、日本では2007年からこの抱き方が紹介されるようになりました。ただ、いま現在もこの抱き方に準拠していないスリングはたくさんあります。なお、アメリカ・カナダ、ヨーロッパでも、2010年よりこの抱き方が勧奨されています。

「新生児の基本抱き」抱き方のポイント


・ママなど赤ちゃんを抱っこする人の胸に赤ちゃんをたてに寄り添うように抱く

・赤ちゃんのおしりがママのおへそよりも下がらない位置で抱く

・赤ちゃんの脚をM字開脚にして膝から下をスリングの外に出す

もしも、新生児を横抱きにする場合は、股関節脱臼や窒息の危険を防ぐために、以下の3つの点に注意する必要があります。


①赤ちゃんの姿勢が丸くなりすぎないようにする

②アゴを曲げすぎて気管支を圧迫しないようにする

③脚を閉じないようにする

ちなみに、バックルスリングやパウチの取扱説明書には「生後すぐから使える」と書かれているものがほとんどだと思いますが、これは「横抱き」をする場合ですので、上記3点に注意しながら赤ちゃんを抱っこするようにしてください。

スリングの正しい使い方を動画でも見てみよう

バックルスリングやパウチは、使い方がとても簡単。ママなどの使用者がスリングをたすき掛けにして、赤ちゃんが入るポーチ部分に赤ちゃんを入れるだけで装着が完了します。

ですので、ここでは自分で調節が必要になるリングスリングの正しい使い方を見ていくことにしましょう。

リングスリングで「新生児の基本抱き」をする方法


スリングは装着する前に輪っか状にし、リングから出た布(テール部分)が扇型に広がるようにセットしておきましょう。それが終わったら、スリングをたすき掛けにします。


赤ちゃんを抱き入れる前に、赤ちゃんの体格に合わせてポーチ(赤ちゃんが入る部分)を調整しておきます。スリングは素手で抱っこしているときと同じ位置で赤ちゃんを抱くので、ポーチの深さ(赤ちゃんのおしりの位置)は、ママのおへそより上になるようにしておきます。この段階でポーチの大きさは赤ちゃんの体格のジャストサイズ程度まで調整してしまい、入り口(上部の布端)だけを緩めておきましょう。


赤ちゃんをゲップさせるような高さまで抱き上げ、赤ちゃんにスリングの布を被せます。実際にスリングに抱かれる位置の布を赤ちゃんに被せて、赤ちゃんと布をいっしょに下ろしてくるとスムーズです。赤ちゃんの脚は必ずスリングの外に出しましょう。赤ちゃんのおしりが布の中央部分にくるように座らせます。赤ちゃんは布の中で膝を上げて開脚して座ります。


赤ちゃんは浮き輪におしりをはめこんですわったような姿勢になり、後頭部を布の上部で支えられる格好になります。位置が定まったら、上部のテールを引いてママの体にやわらかく密着させます。首がすわっていない新生児の場合は、後頭部と布の間にハンドタオルなどをクッションがわりにはさんで安定させるとよりよいでしょう。

では、実際に新生児をリングスリングで抱っこする方法を動画でも確認してみましょう。

スリングを正しく安全に使うためのコツを押さえよう

自分で調整しなければならないリングスリングの使い方については、とにかく慣れが必要です。取扱説明書や動画をチェックしながら、実際に何度か練習してみるのがいいでしょう。
また、スリングを正しく使うためには、以下の3つのチェックポイントを確認しながら抱っこすることも大切です。

スリングを正しく使うための3つのポイント

①赤ちゃんのおでこや頭にキスができる位置で抱っこできているか?

……Kissing PositionまたはKissable


②赤ちゃんの背中がゆるくCカーブしているか?

(「C」というよりもひらがなの「し」の字に近い形をになっていればOK)……Curvey back


③赤ちゃんのおしりが下がって膝が持ち上がるような深い開脚になっているか?

(和式のトイレにしゃがんでいるような姿勢。180度水平に開脚するわけではありません)……M-shape legs

リングスリングで赤ちゃんを素早く、安全に抱っこするためには、とにかくスリングの装着に慣れるしかありません。なお、赤ちゃんを入れるポーチ部分の大きさの感覚がつかめると、素早く抱っこができるようになります。

スリングは赤ちゃんを抱き入れるまでの手間が8割を占めていて、赤ちゃんをスリングに抱き入れてからはそれほど調整する部分はありません。ぜひ、抱き入れる前の準備を繰り返し練習してみてください。

監修
園田正世さん
北極しろくま堂 代表取締役
2000年に抱っことおんぶの専門店「北極しろくま堂」を立ち上げ、2001年よりスリングのネット販売を開始。2010年にはNPO法人「だっことおんぶの研究所」を立ち上げ理事長に就任。日本各地で抱っこ育児の素晴らしさやスリングの正しい使い方などを幅広く伝える。

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