赤ちゃんの先天性鼻涙管閉塞って、どんな症状の病気? 原因や治療法は?【写真つきで専門医が解説】

 専門家監修 公開日:2018/02/07
赤ちゃんの先天性鼻涙管閉塞って、どんな症状の病気?  原因や治療法は?【写真つきで専門医が解説】
監修
渋谷紀子先生
総合母子保健センター愛育クリニック

生まれてすぐから生後3ヶ月くらいまでの赤ちゃんは、片方だけ涙や目やにが出ていたり、いつも目に涙をためてウルウルしている、といったことがよくあります。朝、目覚めた時に目やにが乾いてくっつき、目があきにくくなることも。目やにや涙が出るのは、「先天性鼻涙管閉塞(せんてんせいびるいかんへいそく)」という病気が考えられます。痛みはなさそうでも、赤ちゃんが不快そうなので、早く治してあげたいですね。どんな病気なのか、症状や原因、治療法などについて、詳しく解説しましょう。

先天性鼻涙管閉塞とは、どんな病気?

鼻涙管に膜が残り、目やにが出ます

涙は、上まぶたの奥にある涙腺(るいせん)で常に作られていて、目の表面を保護したり、目に入ったごみを洗い流したりするといった、大切な働きをしています。涙腺から分泌された涙は、目頭にある涙点(るいてん)という小さい孔(あな)から涙小管(るいしょうかん)を通って涙嚢(るいのう)に入り、さらに鼻涙管(びるいかん)を通って鼻の奥からのどへと流れていきます。この鼻涙管がつまっている状態を、「先天性鼻涙管閉塞」といいます。赤ちゃんには、わりあいよく見られる目のトラブルです。

涙は、涙腺で作られ涙点から涙小管を経て涙嚢に入り、鼻涙管を通って鼻からのどの奥へと流れます。鼻涙管がつまっていると、目やにが出たり、目がいつもうるんだように。

先天性鼻涙管閉塞になる原因ってなに?

涙の通り道「鼻涙管」がつまることが原因です

涙の通り道である鼻涙管は、ふつうはママのおなかの中にいる間に形成され、生まれるまでに開通します。ところが、理由ははっきりわかりませんが、鼻涙管の下端に薄い膜が残ってしまうことがあり、開通していない状態で生まれてくることがあるのです。その状態が、「先天性鼻涙管閉塞」です。

先天性鼻涙管閉塞の症状とは?

おもな症状は、「目がうるむ、目やにが出る」

鼻涙管閉塞は両目に起こることもありますが、たいていは片方の目に起こります。涙の流れる管が詰まっていて涙が鼻に流れることができないため、涙が行き場を失ってしまいます。

そのため、生後まもなくからいつも目がうるんでいたり、目やにがたくさん出たりするのがこの病気のサイン。ひどくなると、涙嚢にたまった涙に細菌が繁殖し、目やにが増えたり炎症を起こしたりして「新生児涙嚢炎(しんせいじるいのうえん)」になることもあります。そうなると、ますます目やにが多くなります。

先天性鼻涙管閉塞の診断方法は?

鼻涙管に生理食塩水を入れて、つまりをチェック

先天性鼻涙管閉塞が疑われるときは、眼科で目頭にある涙点に細い針を入れて、生理食塩水を注入します。そして、食塩水が鼻の奥に流れていくかを見ることで、鼻涙管が通っているかを確認します。食塩水が鼻の奥に流れずに涙点からあふれるときには、鼻涙管閉塞症だと診断がつきます。

先天性鼻涙管閉塞の治療法は?

一般的なのは「ブジ―」を使った処置

生後3ヶ月ごろまでの赤ちゃんで、症状が軽い場合は、ぬるま湯にひたしたガーゼで目やにをこまめにふくというケアを続けていると、自然に治ることもあります。また、眼科で鼻涙管に水を通したり、抗菌薬入りの点眼薬を使い、涙嚢マッサージをすることでよくなることも多いものです。

【涙嚢マッサージのやり方】

片目だけ目やにが出る場合など、症状が軽いときに行います。目やにが出る方の目頭にママの小指を当てて、軽く押さえるようにしながらクリクリと指をまわしてマッサージします。3日くらい続けるうちに、涙や目やにが出なくなったら鼻涙管が通ったということ。3日以上たっても症状に変化がなければ、眼科で相談しましょう。

生後3ヶ月を過ぎても症状がよくならないときや、目やにが以前よりひどくなった、目が充血している、目頭を押すとうみが出る、などの場合には、治療のために、眼科で「ブジー」という器具を鼻涙管に通す処置を行います。

この処置は、外来で局所麻酔により行えるので短時間ですみますが、多少は痛みがありますし、赤ちゃんが成長するほど処置をこわがるようになるので、なるべく低月齢のうちに受けることがすすめられます。

ブジーを使っても治らないときは、「シリコンチューブ」という器具を留置する手術が行われることもあります。この場合は、入院が必要になります。

【ブジ―】

直径0.2mm程度の金属製の細い針金。点眼薬による局所麻酔をしたあと、鼻涙管に通します。傷は残りませんが、一度で鼻涙管が通らなければ何度か行うこともあります。

ブジ―を使った処置方法

ブジ―を涙点から入れて、涙小管、涙嚢、鼻涙管へと通します。処置自体は短時間ですみます。

【シリコンチューブ】

シリコン製のやわらかい管。ブジーで処置しても治らないときに、鼻涙管の閉塞部に入れて開通させます。

先天性鼻涙管閉塞は自然治癒するの?

生後3ヶ月ごろまでに、たいてい自然に治ります

症状が軽い場合は、ぬるま湯にひたしたガーゼで目やにをこまめにふくというケアを続けていると、自然に治ることもあります。新生児の鼻涙管閉塞は、生後3ヶ月ごろまでに約9割が自然に治るとも言われています。

ただし、なかなか治らずにひどくなると、新生児涙嚢炎になることもあります。治療が必要になってブジ―を通すことになると、赤ちゃんには怖い思いもさせることになるので、目やにくらいと軽く考えず、目やにや涙が頻繁に出る時は早めに眼科を受診しましょう。

先天線鼻涙管閉塞はどうやってケアする?方法は?

ケアの基本は、目やにをこまめにふくこと

目やにが出ていることに気づいたら、お湯でぬらしたガーゼ、コットン、ティッシュなどで、やさしくふいてあげましょう。症状が軽いときには、目やにがあまり出ないことがあります。目やにの量の多い・少ないにかかわらず、何日も続くようなときには、念のため眼科を受診しておくと安心です。

片目だけ目やにが出ているときは、上記の涙嚢マッサージをしてみましょう。やり方がよくわからないときは眼科を受診し、必ず指導してもらってからにしましょう。

目やにを頻繁にふいても出る、目がいつも充血している、目頭を押すとうみが出る、というときには、早めに眼科を受診してください。

赤ちゃんにやさしい眼科を探すコツ&受診のコツは?

子どもの多い地域やネットで小児眼科を探して

先天性鼻涙管閉塞の治療には専門の知識や器具が必要なので、小児科ではなく眼科を受診します。できれば、赤ちゃんの治療に慣れた眼科医を見つけたいものですね。

それには、乳幼児の多い地域の眼科医に行くか、ホームページで小児眼科に力を入れている病院を探すといいでしょう。実際に受診してみて、診察のときに赤ちゃんと目線を合わせるなど対応が慣れていたり、赤ちゃんを怖がらせないよう白衣を脱いでくれる医師なら、安心して診てもらえます。

受診するときには、赤ちゃんの機嫌がいい時間帯を選びます。診察や治療で泣いても吐いたりしないよう、受診の30分前からは授乳や離乳食を避けましょう。待ち時間が長くなったときのため、お気に入りのおもちゃや着替えも持参すると安心です。

文/村田弥生

出典 :はじめてママ&パパの 0~6才 病気とホームケア※情報は掲載時のものです

監修
渋谷紀子先生
総合母子保健センター愛育クリニック
東京大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院、山王病院、NTT東日本関東病院などの勤務を経て、現職。専門は小児アレルギー。私生活では四女の母でもある、やさしくパワフルなドクターです。

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