赤ちゃんの腸重積ってどんな病気?原因・症状・治療方法は?【症例写真付&専門医解説】

 専門家監修 公開日:2018/02/06
赤ちゃんの腸重積ってどんな病気?原因・症状・治療方法は?【症例写真付&専門医解説】
監修
渋谷紀子先生
総合母子保健センター愛育クリニック

「腸重積(ちょうじゅうせき)」という病名を聞いたことがありますか? これは、急に腸と腸の一部が重なり合ってしまう病気です。赤ちゃんにも思った以上に多く、気づかずにいて治療が遅れると重篤な症状になることもある病気。病気のサインなどの症状をよく理解しておき、赤ちゃんの様子が少しでも「おかしいな」と思ったら、早く受診することが大切です。そんな腸重積の原因や症状、治療方法や病院へ行くめやすをお知らせしましょう。

腸重積とはどんな病気?

腸重積は、文字通り腸が重なり合ってしまう病気です。いくつかのパターンがありますが、症状や、起こりやすい年齢・性別などは共通しています。

腸が重なりあって腸閉塞を起こします 

腸重積は、文字どおり腸が腸の中に入りこんで重なり合ってしまう病気です。腸が重なり合うと、中に入りこんだ腸は外側の腸の一部に締めつけられてしまいます。そのため、腸閉塞(ちょうへいそく:腸の内側が狭くなり、腸の中にある物が流れなくなってしまう状態)の症状が起こって、飲んだり食べたりしたものが通らなくなってしまったり、血液がスムーズに流れなくなったりします。

腸重積が起こりやすいところは、小腸の末端で大腸に一番近い回腸と呼ばれる部分で、この回腸が大腸に入りこむケースが最も多く見られます。そのほか、小腸が小腸に入りこむケースもありますし、重なった小腸がさらに大腸にめりこんで三重になるなど、ひとくちに腸重積といってもさまざまなケースがあります。ただし、どのようなパターンの腸重積でも、症状に変わりはありません。

2歳以下の乳幼児に多い 

腸重積は生後4ケ月から1歳ごろまでを中心に、2歳以下の乳幼児に多く見られます。性別では2対1くらいの割合で男の子のほうが多いといわれていますが、この理由ははっきりとはわかっていません。

季節的にはあまり差はないといわれていますが、突発性の場合は以下で説明するようにウイルス感染が関係していることもあり、かぜが流行る冬場や季節の変わり目にやや多くなる傾向があるようです。

腸重積の原因は?

ウイルス感染により、腸の一部がはれて起こります

腸重積の多くは原因がはっきりしませんが、かかった赤ちゃんのほとんどが、先天的な病気がないのに突然かかる突発性の腸重積です。この場合、調べると小腸の終わりのところにあるリンパ組織が腫れていることが多く、また腸重積になる前にかぜをひいたり下痢を起こしていた例が見られます。そのため、突発性の腸重積はウイルス感染などによって小腸末端のリンパ組織が腫れ、腸の壁がかたく厚くなって、そこから入り込んでしまうのではないかと考えられています。

腸重積の典型的なケース。小腸の終わり(回腸)がはれてかたくなり、大腸の始まる部分(盲腸)に入り込んでしまいます。

腸重積はどんな症状なの?

腸重積には、「泣いたりおさまったりをくり返す」「いちごゼリー状の血便が出ることもある」など、いくつかの特徴的な症状があります。以下のような症状をよく知っておくことが大切です。

1.元気だった赤ちゃんが、前兆もなく急に激しく泣く

いつもどおりに遊んでいた赤ちゃんが、何の前ぶれもなくいきなり火がついたように激しく泣きだして、ママをびっくりさせます。おなかの痛みがひどく、顔色が悪くなり、体を丸めて苦しむこともあります。

2.いったん落ち着くものの、再び激しく泣くことをくり返す

腸重積が起こっても、最初は痛みが間隔をおいて襲ってくるので、激しく泣いたあとしばらく落ち着き、またしばらくすると泣く…ということをくり返します。泣く間隔は、だいたい数分~15分おきくらいです。

3.泣き方が徐々に持続的になり、胆汁を吐くことも

腸重積は、時間がたつにつれて泣く間隔が短くなり、やがて持続的になってきます。飲めずに吐いてしまうので、脱水でぐったりしてくることもあります。吐くのは、最初は飲んだり食べたりしたものですが、だんだん吐くものがなくなって腸の内容物になり、胆汁が混じって黄色っぽい粘液状のものになってきます。また、いちごジャムやゼリー状の赤い便が出ることもあります。

【写真で見る】腸重積の重要なサイン いちごジャムのような血便

【写真で見る】腸重積の重要なサイン いちごジャムのような血便腸重積の特徴の一つ、いちごジャムを広げたような血便。ただし、病気の初期には出ないことが多く、病院で浣腸してはじめて出ることもあります。

病院へ行く目安は?

腸重積になってしまったら、家でママがケアできることはありません。何より大切なのは、腸重積が疑われたら一刻も早く受診すること。受診のめやすを知っておきましょう。

特有の症状に気づいたら、夜中でも大至急受診して 

腸重積は時間がたつほど腸の傷みがひどくなり、元の状態に戻すのが難しくなります。そのため、最も重要なのは早期発見と早期治療。赤ちゃんが吐いたうえ、激しく泣いたり落ち着いたりをくり返すなど、腸重積が疑われるような症状が見られたら、診察時間外や夜中でも急いで病院へ行きましょう。

また、飲み物を与えても飲めなかったり、飲めてもすぐ吐くときは、脱水症を起こす危険もあります。ぐったりしてきたときには、一刻も早く受診しましょう。なお、腸重積の治療は特別な器具が必要になるので、できれば小児外科のある大きな病院へ行くといいでしょう。

血便が出るのを待たないで病院へ

腸重積というと、「真っ赤ないちごジャム状の便が必ず出る」と思っているママも多いようですが、必ずしも早い段階で特徴的な便が出るとは限りません。実際、血便は病気が進み、病院で浣腸を受けて初めて出ることも多いもの。血便が出なくても、赤ちゃんが激しく泣いたり泣きやんだりをくり返し、ぐったりしてきたら、とにかく早めに病院へ行きましょう。

もし、家にいる間に血便が出たら、それは症状が進んでいる証拠です。医師が診断するときの目安になるので、うんちのついたおむつを必ず持って大至急受診してください。

出典 :はじめてママ&パパの 0~6才 病気とホームケア※情報は掲載時のものです

監修
渋谷紀子先生
総合母子保健センター愛育クリニック
東京大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院、山王病院、NTT東日本関東病院などの勤務を経て、現職。専門は小児アレルギー。私生活では四女の母でもある、やさしくパワフルなドクターです。

あなたにおすすめ

MAMA's TRIP 近藤千尋さんと行く「クラブメッド バリ」 詳細はこちら
注目コラム