新生児黄疸とは?写真でわかる症状や原因、治療法【医師監修】

 専門家監修 公開日:2018/01/10
新生児黄疸とは?写真でわかる症状や原因、治療法【医師監修】
監修
木下智恵先生
成城木下病院

「黄疸(おうだん)」という言葉を聞いたことがあると思いますが、生まれたばかりの赤ちゃんもよく黄疸になることがあります。よくあるのが、生まれてすぐに、赤ちゃんの肌や白目の部分などが黄色くなる「新生児黄疸」です。これは心配のないものですが、黄疸にはほかにも種類があり、病気が原因で起こることもあります。黄疸の原因や症状、治療法などについて詳しく知っておき、いざというとき慌てずに対応できるようにしておきましょう。

黄疸とは?

「ビリルビン」が増えたために起こる症状

ビルビリンという黄色色素は、何らかの原因で増えて、体外に排出されなくなることがあります。この排出されないビルビリンが皮膚や粘膜に沈着し、肌や白目などの粘膜が黄色く見える状態を、「黄疸」と言います。

黄疸の原因はなに?どうしてなるの?

ビルビリンがどんどんできて、肝臓で処理できなくなることが原因です

ママのおなかの中にいるとき、赤ちゃんは胎盤を通じて母体から酸素をもらっています。その酸素は、赤血球の中に含まれるヘモグロビンという物質によって運ばれます。胎児の場合、赤血球中のヘモグロビンは、大人と比べると酸素をたくさん運べる胎児型のヘモグロビン(ヘモグロビンF)でできていて、赤血球自体のサイズも大きく、単位体積あたりの赤血球数も多くなっています。
やがてママのおなかから出ると、赤ちゃんは自分で肺呼吸をして酸素を取り入れることができるようになります。そのため、胎児のときのような酸素をたくさん運べるヘモグロビンFは必要なくなります。いらなくなったヘモグロビンFはこわれて、今度は大人と同じような働きの成人型ヘモグロビン(ヘモグロビンA)を持った赤血球が作られるようになります。
赤血球がこわれるときには、ビリルビンという黄色色素ができます。ビリルビンは、肝臓で水溶性になり、肝臓で作られる胆汁という消化液といっしょに、小腸や大腸を通って体の外に出ます。うんちが黄色っぽいのは、黄色色素のビルビリンが含まれているからです。
ところが、いらなくなった赤血球がこわれてビリルビンのできていくスピードが速いと、肝臓がビルビリンを処理して体外へ排出するスピードが追いつかなくなることがあります。すると、ビルビリンが体内からなかなか排出されなくなり、黄疸が起こります。

黄疸はどんな症状が出るの? 

肌や粘膜が黄色っぽく見えます

肝臓での処理スピードが間に合わなくなり、体外に排出されずに残ったビルビリンは、皮膚や粘膜に沈着します。そのため、肌の色や白目の部分などが、黄色っぽく見える状態になってしまいます。
生まれたばかりの赤ちゃんに多い「新生児黄疸」の場合は、生後1~2週間で皮膚や白目の黄色っぽさはだんだんなくなっていきます。

胆道閉鎖症が原因の黄疸は、白っぽいうんちが出ます

ごくまれですが、生後2週間以上過ぎても黄疸の症状が強く続く場合は、胆道閉鎖症が原因で黄疸が起こっていることもあります。胆道閉鎖症になると、白っぽいうんちが出るのが特徴です。

胆道閉鎖症とは

胆管(肝臓で作られた胆汁を十二指腸に運ぶ通路)が、生まれつきまたは生後すぐにつまってしまう病気です。約1万人に1人の割合で発症し、女の子にやや多いと言われています。原因ははっきりわかっていません。
胆管が詰まると、肝臓で作られた胆汁は体外に排出されずに、肝臓の中にたまってしまいます。すると、胆汁と一緒に排出されるはずのビルビリンも体の外に出ずに、皮膚や粘膜に沈着して黄疸が出ます。
生後2週間を過ぎても黄疸が強い場合は、胆道閉鎖症が疑われます。この病気になると、うんちを黄色くするビルビリンが含まれないか、含まれても少量なため、うんちが白っぽくなります。
放っておくと、肝硬変を起こすなどして命にもかかわることがあるため、胆道閉鎖症と診断がついたら、できるだけ早く治療をする必要があります。その場合は、肝臓と腸を直接つなぐ手術を、生後2ヶ月までにするのがベストとされています。
胆道閉鎖症は早期発見がカギなので、母子健康手帳についている「便色カード」で、赤ちゃんのうんちの色を日ごろからしっかりチェックして、正常な範囲の色(黄、茶、緑など)かをよく見ておくことが大切です。うんちが便色カードの1~3番に近い色だったり、以前は違ったのに最近になって1~3番に近い色になった、などの時は急いで小児科を受診してください。

母子健康手帳についている便色カード

黄疸は病気なの?どんな種類があるの?

黄疸とひと口に言っても、原因などによっていくつかの種類があります。赤ちゃんに多いのは、新生児の「生理的黄疸」や「母乳性黄疸」などで、これらは病気ではありません。

いちばん多い新生児黄疸(生理的黄疸)

新生児に見られる黄疸のうち、最も多いのは「新生児黄疸(生理的黄疸)」です。
赤ちゃんはお腹の中にいるときは、へその緒から酸素を取り入れるために「赤血球」を多くすることで対応しています。赤血球は、体の組織に酸素を運ぶ役割をもっています。赤ちゃんが誕生して外の世界に出て、肺で呼吸するようになると、胎内でたくさんつくった赤血球は不要になります。いらなくなった赤血球が壊れるときに「ビルビリン」が発生します。赤ちゃんはまだ肝臓のはたらきが未熟なため、多くの赤血球から出たビルビリンを処理することができずに、黄疸となってあらわれるのです。
新生児黄疸の場合、生後2~3日ごろから肌や白目が黄色っぽくなります。生後1週間前後がピークでいちばん黄色くなり、光線療法という治療が必要になることもあります。ただ、たいていは生後2週間過ぎくらいから徐々に黄色っぽさが抜けていくので、特に治療をしないケースがほとんどですが、心配いりませんし、後遺症が残ることもありません。

母乳性黄疸

母乳の赤ちゃんの場合、黄疸が生後1~2ヶ月ごろまで続くことがあります。これは、母乳に含まれる成分であるリパーゼの影響で、肝臓の働きがおさえられていまうためと考えられています。ミルクで育てられている赤ちゃんには見られません。赤ちゃん全体の0.5~2.4%にみられる症状です。
黄疸が生後1ヶ月ごろまで続いていると心配になると思いますが、母乳性黄疸であれば体に害になるわけではないので、特に治療はしません。また、母乳をやめる必要もありません。
ただし、黄疸が長引く場合は、胆道閉鎖症が原因のこともあります。ママが赤ちゃんの黄疸に気づくのは、肌の色よりも白目が黄色っぽくなっていて治らない、というケースが多いようです。白目が黄色っぽくて気になるときは、1ヶ月健診のときに相談するといいでしょう。

早く生まれた赤ちゃんの黄疸

予定日より早く生まれた赤ちゃんにも、よく黄疸が起こることがあります。その場合は、「核黄疸」といって、ビリルビンが脳に流れ込んでしまい、脳の神経に沈着したことが原因の黄疸が起こります。核黄疸を起こすと、マヒなど神経系の後遺症を残す心配がありますが、これはごくまれです。

血液型不適合による黄疸

ママと赤ちゃんの血液型不適合の場合にも、「核黄疸」が起こって、肝臓で水溶性になる前のビリルビンが脳の神経に沈着することがあります。リスクが一番高いのは、血液型にかかわらずママがRhマイナス、赤ちゃんがRhプラスの場合です。ただし、この場合は妊娠中からわかるので、念のために光線療法や交換輸血などの準備を医療機関側もしているはずです。赤ちゃんの状況にあわせて、必要なときは出生後すぐに治療を開始します。

黄疸になったら、どんな治療をするの?

黄疸の種類によって、治療が必要な場合と不要な場合があります

赤ちゃんに黄疸の症状が見られたときには、まずそれが生理的なものか、病的なものかを見分ける必要があります。そこで、専用の測定器を使って、血中のビルビリンの濃度を測る検査をします。

黄疸の検査のため、測定器でビルビリン値を測ります。

検査の結果、ビルビリンの濃度が低かったり、新生児の生理的黄疸や母乳性黄疸と診断された場合は、特に治療はしないで様子を見ます。
一方、早く生まれた赤ちゃんでビルビリン値が高く、核黄疸の心配がある場合は、光線療法を行うことがあります。これは、保育器の中の赤ちゃんの皮膚に、青や緑色の特殊な光線を当てて行う治療方法です。

光線療法で光の働きにより、肝臓で水溶性になる前のビリルビンを水溶性に変えて、排出しやすくします。光線療法のおかげで、最近は核黄疸になる赤ちゃんはほとんどいなくなりました。ただし、光線療法をしてもビルビリン値が下がらないときには、全身の血液をすべて入れ替える交換輸血を行うこともあります。

黄疸で入院をすることはある?費用ってどれくらいかかるもの?

黄疸が強かったため、生後3日目に光線療法を行った赤ちゃん。

治療費は医療機関などによって違いますが、健康保険が適用されます

赤ちゃんに一番多い新生児黄疸(生理的黄疸)は、生後2~3日目で発症するケースが多く、入院中に診断がついて検査が行われ、必要な場合は治療まで行われることが多いでしょう。核黄疸の場合もそうですが、光線療法などの治療は健康保険が適用されます。
費用は、医療機関や検査、治療の内容や回数などによって違ってきます。出生届もまだ提出していなくて、健康保険や乳幼児医療費助成制度の手続きも間に合わない、という場合には、治療費は全額自己負担になってしまいます。支払った治療費は事後申請すれば返金されますが、一時的に高額な費用を立て替える必要が出てくることもあるので、入院している産院などによく聞いてみることが大切です。

出生届を出したら、すぐに健康保険や乳幼児医療費助成制度の手続きを

黄疸に限らず、生まれたばかりの赤ちゃんが何らかの治療を受けた場合に、一時的にでも全額を自己負担することになると大変です。そこで、赤ちゃんが生まれたらできるだけ早く、パパなど家族に出生届を役所に出してもらい、出生証明書を発行してもらいます。次に、家族と同じ健康保険に赤ちゃんを加入させる手続きを済ませましょう。
さらに、各自治体には乳幼児医療費助成制度があります。これは、子どものいる家族の経済的な負担を軽くするために、子どもの医療費を行政で助成する制度です。助成対象となる年齢や助成される金額はさまざまですが、中には自己負担分の医療費が全て助成される自治体もあります。赤ちゃんの健康保険の加入手続きが済んだら、住んでいる自治体の乳児医療費助成制度を利用するため、住民票のある自治体の役所などで登録や申請を行いましょう。
赤ちゃんが黄疸と言われたら、心配になりますね。でも、新生児の黄疸のほとんどは心配のない新生児黄疸(生理的黄疸)で、入院中や1ヶ月健診でもチェックされます。その後に症状が出る場合も母乳性黄疸がほとんどで、これも病気ではありませんから、心配しすぎず、気になることは出産した産院や小児科で相談しましょう。

取材・文/村田弥生 撮影/目黒-MEGURO.8(TOP画像)

監修
木下智恵先生
成城木下病院
2001年、横浜市立大学医学部卒業。東京大学医学部産婦人科、順天堂大学医学部産婦人科勤務を経て2005年より現職に。専門は周産期学のほか、婦人科腫瘍、不妊症、月経異常。元気で気さくな1男2女のママドクターです。

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