住宅ローンについてくる保険加入があれば、 死亡保険に入らなくてもいい?【お金の専門家に聞きました】

 専門家監修 2017/12/06更新
住宅ローンについてくる保険加入があれば、 死亡保険に入らなくてもいい?【お金の専門家に聞きました】

畠中雅子先生
ファイナンシャルプランナー。社会人の娘、大学生、高校生の息子の母。実体験に基づく的確なアドバイスに定評があり、多数のメディアで幅広く活躍している。

住宅ローンを組む際に加入する団体信用生命保険=団信は、契約者に万一のことがあったら、その後の住宅ローンがゼロになる保険。ローンを組んだときの団信があれば、契約者である夫の死亡保険は個別に生命保険に入る必要はない? それとも入っておくべき?

マイホームを検討中。夫婦で無保険だけど団信に入るから必要ない?

Kさんの場合
夫33歳・会社員、妻27歳・主婦、息子3歳、1歳3ヶ月

現在の保険は学資保険と個人年金保険のみ。夫婦ともに生命保険には加入していません。これから住宅ローンを組めば団信に加入するから、夫は必要ないと言いますが、ほんとうのところはどうなのか教えてほしいです。

Kさんの1ヶ月の家計をチェック

<収入>
夫……28万円
児童手当……2万5000円
月額トータル……30万5000円

<支出>
住居費……10万円(光熱費込み)
車維持費……5000円
食費……3万円(うち外食費4000円)
通信費……1万8000円
日用品費……8000円
夫婦のこづかい……夫3万円、妻3000円
レジャー費……5000円
交通費……5000円
交際費……2000円
子ども費……3万2500円(うち幼稚園料2万500円)
美容費……1万6000円
医療費……3000円
支出トータル……25万7500円

〈貯金〉
貯金……余った分
保険(積み立て)……3万1000円(個人年金分、学資保険200万円は払済)

保険は学資保険と個人年金のみ

子ども一人100万円の学資保険と老後に500万円ぐらいもらえる個人年金保険に加入していますが、夫婦ともに死亡保険にも医療保険にも未加入。児童手当を貯められていないのも悩みです。

10万円の家賃が家計にずしり

現在、一戸建てを親戚に借りていて、支払っている家賃は10万円。光熱費込みとはいえ、月々の負担がこれだけあるなら、いっそ買いたいと思っているけれど、貯金はまだ200万円……。

パパのおこづかいが多い?

タバコ代やランチ代も含むパパのおこづかい。3万円と決めていても、給料日前には必ず前借の請求が……。仕事の経費を立て替えないといけないのはわかるけれど、決まった額で頑張ってほしい~。

畠中先生からのアドバイス

団信に加入しても、生命保険には必ず入りましょう
団信に入っていれば、パパに万が一のことが起こったとき住宅ローンはなくなりますが、固定資産税や管理費、修繕積立金のほか、子どもの教育費や社会保険料もかかりますから、生命保険で備えておかないと残された家族は困りますよ。

いちばん必要なのは夫の死亡保障です

Kさんの家計を見ると、住居費とご主人のおこづかいで半分をもっていかれています。これ以上、妻の頑張りようがないですよね。ですから、もしもこれから家を買うなら、奥様の再就職がカギになってきます。奥様が働いて15万円ぐらいの収入になれば、ずいぶん楽になるでしょう。しかし何よりも、いますぐ必要なのは、ご主人の死亡保険です。個人年金保険は解約すると保険料の多くが戻りますが、死亡保障としては全然足りません。

団信の保障は住宅ローンのみ!教育費の備えは別に必要

団信に入っても、教育費が天から降ってくるわけではありません。たとえばご主人が亡くなったあとに、奥様がパートで働きだしても、子ども二人分の教育費を貯めていくのはほんとうにきつい。保険金があるかないかで、その先のお子さんの進路が決まることがあるくらいです。たとえば3000万円の保険金があれば、子ども一人につき1000万円は大学資金にとっておこう、など長期的に生活設計が立てられますが、保険金がゼロだと葬式代だけで貯金が底をついてしまうご家庭もあります。特に若い人の闘病はお金に糸目なく治療するため、亡くなった時点で葬式代も出ないという家も意外に多いのです。死亡保障はもしものときに不安定になるお子さんの心と将来の可能性を守るものでもあります。
実際に相談者の方の中でも生命保険の有無で、そのあとの人生が全く変わっています。加入していた生命保険会社から死亡保障金をもらっている人は生活設計が立てなおしやすいし、もらっていない人はほんとうに大変。両方を見ていると、やはり生命保険の必要性を感じますね。生命保険というのは、家族が立ち直るためのお金であり、立ち直っていく時間を稼ぐためのお金でもあります。というのは、お父さんが亡くなって、ただでさえ子どもの精神状態が不安定なときに、お母さんも働きに出て、一日じゅう家にいない……、そういうときに生命保険からお金が入っていれば、お母さんは半年ぐらいは働きに出ずに家にいてあげられる。いろいろなことが落ち着いて再出発できるための時間を買うことは、保険でしかできないのです。ですからKさんのお宅も、ご主人が団信に入ったとしても、3000万円ぐらいは死亡保険に入ったほうがいい。3000万円という金額は高額に思えるかもしれませんが、お子さんを社会に出すまでに必要なお金なのです。

Kさんにぴったりな死亡保険はコレ!

一般的に血圧が低い、タバコを吸わないと保険料は安くなりますが、Kさんは喫煙者なので、通常の保険から探すことになります。おすすめは死亡か高度障害になったときに65歳まで15万円もらえて保険料が4650円の「損保ジャパン日本興亜ひまわり生命」の収入保障保険。これぐらいあれば安心ですね。この保険料を家計から捻出するには、パパがタバコを減らす、ランチの外食をおむすびをもって行くなどして抑え、おこづかいから保険料を出してもらうのがいいかな。通信費はすごく多いわけではありませんが、格安スマホに変えると、今より数千円は浮くかもしれません。本来であれば、夫婦の医療保険や奥様の死亡保険もほしいところですが、Kさんの場合は、まずはご主人の死亡保険が最優先です。

団信のしくみにも、各社差があります

最近は団信自体も、しくみや内容が多様化しています。大きな変化としては、長期固定金利型ローン「フラット35」の返済額に団信の費用が含まれるようになりました。詳しく説明しましょう。

住宅金融支援機構「フラット35」の場合

これまでは「フラット35」を利用した場合、団体信用生命保険は住宅金融支援機構の機構団信特約制度に自分で加入し、住宅ローンとは別に年払いで支払う必要がありました。それが2017年10月1日の新規申込分からは、毎月の返済額に機構団信の特約料年約0.28%を上乗せする形で返済額に含まれるようになったのです。「フラット35」も、ようやく民間の住宅ローンと同じ“団信つき住宅ローン”になったと言えるでしょう。また、適用が限定的だった高度障害保障が1級または2級の障害でも対象となる身体障害保障になるなど保障内容も拡充。さらに3大疾病付機構団信については、介護保険が追加になり、要介護2から保障対象となります。

 住信SBIネット銀行の場合

2017年6月より疾病保障の範囲を「8疾病」から「全疾病(精神障害を除く)」に拡充。一般的な団体信用生命保険に加えて、8疾病はもちろん、すべての病気、ケガ(精神障害を除く)を保障する全疾病保障が無料で手に入ります。女性には、がんと診断されたら30万円の保険金が支払われるガン診断給付金保障つき。

 イオン銀行の場合

団体信用生命保険は無料付帯。年利に0.1%上乗せすることで、ガンと診断されたら住宅ローン残高が0円になる「ガン保障特約付住宅ローン」、年利に0.3%上乗せすることで、3大疾病に5つの重度慢性疾患を加えた「8疾病保障付住宅ローン」も利用できます。イオン(直営店)での買い物が毎日5%オフになるサービスも。

現在の住宅ローンには、こうした生前給付型の団信がふえています。新規で借りる場合や借り換えをするときは、中身もしっかりとチェックしたうえで選びたいですね。

取材・文/池田純子

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