【お金の専門家に聞きました】子どもが産まれてマイホームを検討中! オリンピック前に買ってもいい?

 専門家監修 2017/12/06更新
【お金の専門家に聞きました】子どもが産まれてマイホームを検討中! オリンピック前に買ってもいい?

風呂内亜矢(ふろうち あや)先生
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)、CFP®認定者、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー。2013年、ファイナンシャルプランナーとして独立。現在はテレビ、ラジオ、雑誌、新聞などで「お金に関する情報」を精力的に発信している。

低金利とは言え、オリンピック前は建築資材高騰で高づかみになってしまうというウワサも耳にします。今、マイホームを買ってもいい? 買うならどんなふうにローンを組むべき? ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢先生に教わりました。

家賃を払うぐらいなら、マイホームがほしい!

あすかさんの場合
夫28歳・会社員、妻27歳・主婦、娘1歳5ヶ月

毎月9万円の家賃が家計に響いています。どうせ家賃を払うなら、やはり家がほしい。でもオリンピック前の今買うのも悩ましいし、そもそもギリギリの家計で、頭金として出せるお金が100万円もありません……。

あすかさんの1ヶ月の家計をチェック

<収入>
夫……30万円
妻……0円
児童手当……1万5000円
月額トータル……31万5000円

<支出>
住居費……9万円
食費……3万円(うち外食費1万円)
光熱費……2万3000円
通信費……3万円
夫婦のこづかい……夫1万円、妻2万円
レジャー費……2万円
交通費……5000円
保険(掛け捨て)……1万9000円
その他(国民健康保険料)……1万4000円
支出トータル……26万1000円

〈貯金〉
貯金……2万円
学資保険……1万円

産後は光熱費がアップ

子どもが産まれてからは家で過ごすことが多くなり、電気代やガス代がアップ。これまではシャワーだけだったのが、毎日湯ぶねに入るようになったのも原因かも。夏と冬は、さらに1.5倍になります。

通信費がかかります

通信費の内訳は夫の携帯電話代1万4000円、妻の携帯電話代1万円、Wi-Fi代6000円。格安スマホにすれば、もっと安くなるかも、と思いながら手続きが面倒で、つい先延ばしになっています。

貯金はできたりできなかったり

毎月2万円の貯蓄を目指していますが、できたりできなかったりしているのが現実。給与振込の通帳に入ったままなので、足りなくなるとつい手を出してしまいます。児童手当もこの口座に。

風呂内先生からのアドバイス

家を買うときに重視すべきは内的要因です
家を買おうと思ったら、外的要因と内的要因に左右されます。外的要因というのは、景気がいい、金利が安い、オリンピック前だから高い、など“わが家”とは関係ない事情。一方、内的要因は転職して何年目、子どもが就学前、といった“わが家”の事情。このどちらを重視すべきかと言うと、まずは内的要因です。

なぜ“わが家”の状況を見る必要があるの?

たとえば、いくら買いどきで割安と言われても、転職したばかりならローンが組めない可能性がありますし、子どもの年齢や貯蓄の状況が合わなければ、どんなにお得でも買えません。ですから、まずは“わが家”の状況を見る必要があるのです。とは言え、外部要因も気になるところ。実際、いまはオリンピック前で物件が高いから、と買い控えている人も多いでしょう。しかし未来のことは見えませんから、オリンピック後にどうなるかは誰にもわかりません。
ただ、お金の専門家として予測できるのは、オリンピックを終えても「勝ち物件」と「負け物件」で、動向がかなり変わることはなさそうということ。つまりオリンピックを終えても、もともと人気のある「勝ち物件」が大きく値下がりする可能性は低く、新築のときに買ったものがあっという間に3割減になるってしまうような「負け物件」は値下がりする可能性が高いのではないかということです。

立地のよくない郊外の広い家は狙い目?

オリンピックとは別に、少子高齢化で今後は家が余り、安い家が市場に出回るのではないかという声もあります。確かに人気のある物件、人気のない物件、とたくさんある中で、あぶれてきたら人気のない物件の値段は下がっていきます。ただ、そういった人気のない物件は駅から遠い、バス停から歩くなど、立地がネックの場合が多い。立地について譲歩できる人は、こうした物件を狙ってもいいかもしれません。
一方、人気のある物件は、都心の駅から10分以内など、立地については非常に限定的。だからこそ、将来的にも資産価値をキープできて売ったり買ったりできるのです。子どもに残していこうと考えれば、こうした勝ち物件を選ぶのがよいでしょう。しかし勝ち物件で手が届く価格となると狭くなりがちなので、ファミリーで住むには居住性が厳しい。一方、郊外の人気のない物件は投資的には弱いですが、居住性は高い。人によっては、実家のそばという利点もあるかもしれません。ですから都心部で保育園に預けるのと、郊外で保育園の倍率が比較的低いうえに親のサポートを受けられるのとを比較し、家単体の損得ではなく、そこに住むことで、他にどういう得が発生するかという視点で考えると、理想の選択肢が見えてくるでしょうね。
個人的には夫婦で共働きの間に都心の物件を購入し、家族で広い部屋が必要な子育て期間だけは郊外に賃貸で住み、購入物件は一時的に賃貸に出すのもひとつの手かなと思っています。

家賃と同じ金額でおさまる物件探しを

あすかさんのお宅の家計は、夫のこづかいが少ないことで、何とかバランスを保てていますね。引き締めポイントとしてはまず、電気代、ガス代ともに平均8000円まで落としたいところ。プランそのものを見直すほか、電気ならアンペアを変えるだけでも節約になります。格安スマホへののりかえも、ぜひ検討しましょう。キャリアを変えるのが難しければ、プランと使用状況がマッチしているかどうか確認して、不要なオプションははずします。貯金をするなら、通帳にそのままにせずに、手の届かない口座に移しかえましょう。児童手当も、いますぐ別口座で貯めていきましょう。
現状で9万円もの家賃を払っているので、マイホームがほしくなる気持ちはわかります。ただし家賃が9万円だから、住宅ローンの返済額も9万円に、と考えるのは大きな間違い。購入すると管理費や固定資産税などがかかりますので、2万円ぐらいは上乗せしてみたほうがいいのです。いま9万円払っているなら、ローン自体は7万円におさまるようにしたほうがよいでしょう。
頭金は1~2割入れるのが理想ですが、あとから繰り上げ返済で返済期間を短くしたほうが、トータルで安くなるケースもあります。また住宅ローンによっては頭金を入れると金利が下がる商品があります。例えば、諸費用についてはやや利率が高い専用ローンを組んだとしても、住宅ローン本体の金利が下がるのであれば全体としては支払い額が抑えられる借り方もあります。ローンの組み合わせで得になる方法もありますので、頭金だけにとらわれず、返済の仕方に工夫してみるのも大切ですね。

60歳をゴールにローンを組んでみる

住宅ローンの借入額の目安は年収の5倍と言われます。ですから、あすかさんのお宅の場合、年収450万円なら、2250万円までがひとつの目安になります。
ローンの組み方は、いったん60歳をゴールにして考えましょう。現時点で正社員の退職年齢は60歳が一般的ですし、年金支給開始は65歳からになります。60歳以降もそれまでと同額のローンがずっと続くような借り入れの仕方は、老後の家計を破綻させる一因にもなりかねません。現在、ご主人は28歳ですから、60歳で終わるなら32年。2250万円を35年で組むと毎月の返済額が6万4000円(金利1%で計算)。最長35年で組むと60歳の時点で、225万円残ります。ですから35年ローンなら6万4000円払いながら、32年かけて225万円は別に準備する必要があります。同じローンを32年で組むと、月々の返済額が6万8000円。4000円ほどアップしますが、これなら60歳で完済できます。この4000円をどう考えるかどうか……。32年は無理だけど、33年はいけそうと1年刻みで月々無理なく、かつ60歳時点で残高がいくらかチェックするというのがよいでしょうね。

比べてみよう ※金利1%で計算

借入額   返済期間  毎月返済額   60歳の残金

2250万円  35年    6万4000円   225万円

2250万円  32年    6万8000円   0円

返済期間が長いなら固定金利が無難

住宅ローンの金利タイプには変動金利と固定金利があります。変動か固定か、これから何十年も返す若い夫婦なら、全期間固定が組みやすいでしょうね。現状では変動が金利が低く有利に見えますが、気をつけないといけないのは変動にした場合、将来的に金利が上がったときに固定に変更しようとしても、固定金利のほうもローンを組んだ当時より金利が高くなってしまっている可能性があるということ。

変動のほうがたくさんローンを組めてしまうという点でも、固定のほうが無難です。変動だと、金利が低く月々の返済額が少なく見えるため、より広めの家、より高機能な設備…とローン額を多く組みすぎてしまう傾向があるからです。ただ変動にして、いざというときは繰り上げ返済する、あるいは差額分を貯金しておく、といった対策をとることができれば変動を選んでもOKと知っておきましょう。
先ほど、家を買うタイミングは内的要因で決めてOKと、お伝えしました。では、そのベストなタイミングとはいつなのでしょうか。それは資金繰りの算段がついたら、です。たとえば、いまの家賃で払いきれそうな物件を見つけたとか、家計と照らして支払えそうと返済計画を立てることができれば買えます。今も住居費を払っているのですから、その住居費と比べて算段がつけば買いどきというわけです。そういう意味では、あすかさんのお宅もローンが2250万円くらいの範囲内で納得がいく物件を見つけられたら買いどき。物件を探しながら、ローンの組み方などを専門家に相談してみるとよいでしょうね。

取材・文/池田純子

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