【医師監修】赤ちゃんのRSウィルス感染症の症状とは?潜伏期間・治療法・予防法

 専門家監修
公開日:2017/11/17
更新日:2019/11/15
【医師監修】赤ちゃんのRSウィルス感染症の症状とは?潜伏期間・治療法・予防法
監修
渋谷紀子先生
総合母子保健センター愛育クリニック

2歳までにほぼ100%の子が感染するといわれているRSウィルス。かぜと症状が似ているため軽く考えがちですが、赤ちゃんがかかると重症化しやすいため注意が必要です。RSウィルス感染症の症状や潜伏期間、治療法などについてドクターに伺いました。予防法やホームケアの方法についてもチェックしておきましょう。

RSウィルス感染症に赤ちゃんがかかったときの症状は?

RSウィルスによる呼吸器の感染症で、ウィルスを持っている人のせきやくしゃみ、ウィルスのついているものにふれることなどでうつります。4~6日の潜伏期間ののち、鼻水やせきが数日続きます。生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の子が一度は感染するといわれています。軽いかぜ症状ですむことが少なくありませんが、はじめて感染した赤ちゃんの3割は細気管支炎や肺炎などの重い症状を引き起こします。 その後も生涯に何度も感染しますが、再感染以降はかぜ症状程度で軽くすみます。

RSウィルス感染症の重症化リスクの高い赤ちゃんとは?

一般的な「かぜ」は、のどから鼻にかけての「上気道」といわれる部分に炎症が起きますが、RSウィルス感染症は下部気管支や肺などの「下気道」に炎症を起こします。そのため、はじめて感染した赤ちゃんの3割は、細気管支炎や肺炎になり、呼吸するときにゼーゼーしたり呼吸困難になったりします。特に注意したいのは、3ヶ月未満の赤ちゃん、早産の赤ちゃん、先天的に心臓、呼吸器、筋肉、神経などに問題のある赤ちゃんです。重症化リスクが高く、無呼吸発作、急性脳症などの合併症を起こすと命にかかわります。

RSウィルスの感染経路は?

RSウィルス感染症は、RSウィルス(respiratory syncytial virus)の感染による呼吸器の感染症です。RSウィルスは、日本を含めた世界中に分布しているものです。RSウィルスを持っている人のせきやくしゃみ、感染している人との直接の濃厚接触や、ウィルスのついているものにふれたり、なめたりすることによる間接的な接触で感染します。RSウィルスが空気感染するといった報告はありません。

RSウィルス感染症に赤ちゃんがかかったときの潜伏期間は?

RSウィルス感染症の潜伏期間から回復期間までの推移

潜伏期間は4~6日です。そののち、発熱、鼻水・鼻詰まり、せきが出る、呼吸が苦しくなるなどの症状があらわれます。

RSウィルス感染症に赤ちゃんがかかったときの感染期間は?

潜伏期間を経て、5~6日間かぜのような症状が続きます。

気管支炎や肺炎を起こすと、治るまで2週間くらいかかります。

保育園などへの登園の目安は?

厚生労働省の「2012年改訂版保育所における感染症対策ガイドライン」では、RSウイルス感染症の登園のめやすは「呼吸器症状が消失し、全身状態が良いこと」とされています。 かかりつけの医師の診断に従い、保育園での集団生活に適応できる状態に回復してから登園しましょう。登園する際には、保護者が記入する登園届を提出するなど、各自治体や保育園によってルールが決められている場合もありますので、確認しておくことが必要です。

RSウィルス感染症かどうかの検査方法

RSウィルス感染症かどうか診断するには、鼻に綿棒を入れて鼻汁や粘膜を取り、試薬を使って調べる迅速検査キットを使用します。

このほかに、血液検査や胸部レントゲンなどを用いて検査する場合もあります。ただし、この検査に保険適用があるのは、1歳未満の子供や、2歳未満で呼吸器・心臓・免疫などの病気を持つ子供、入院患者に限られます。

RSウィルス感染症に赤ちゃんがかかった場合の治療は?

ウィルスには特効薬はありませんから、治療は基本的には症状をやわらげる対処療法が基本です。かぜ症状程度なら、受診したうえで安静に過ごしましょう。せきがひどくなる、喘鳴(ぜんめい/ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音)が起こるなど呼吸状態が悪くなったときは急いで病院へ。月齢が低いほど急激に悪化しやすいので、そばを離れずに様子を見守りましょう。

赤ちゃんのRSウィルス感染症の予防接種はある?

RSウィルスの予防接種はありません。ただし、重症化リスクの高い病気のある赤ちゃんは、流行初期にパリビズマブ(シナジス)というRSウィルスに対する抗体を投与し、流行期間中1ヶ月ごとに投与を続けることで重症化を予防することができます。疾患がある場合は保険が適用されるので、医師に相談をしましょう。

RSウィルス感染症に赤ちゃんがかかった場合のホームケア方法

【熱があるとき】病原体と闘えるように環境を整えてあげましょう

熱が出るのは、病原体がこれ以上増えないよう、闘っている証拠です。むやみやたらと下げようとせず、病原体と闘える環境を整えてあげましょう。 熱の出始めは体がふるえて寒がりますが、上がりきると手足が熱くなります。下がり始めると汗が出ることもあり、その後は平熱に。熱が出たときは、それぞれの段階で適切なケアをすることが大切です。

熱の上がり始め

上がり始めは血管が収縮するため、ふるえが出ることがあります。熱があるのに手足が冷たいなら、まだ熱が上がる可能性が。30分を目安に、布団を足したり毛布でくるんであげて。

熱が上がりきったら

上がりきると体がほてり、心拍や呼吸が速くなります。熱がこもらないよう、掛けものは薄めにします。皮膚と呼気の両方から水分が奪われるので、水分を飲みたいだけ飲ませて。赤ちゃんが気持ちよさそうなら、体を冷やしてあげてもいいでしょう。

熱が下がってきたら

熱は一度下がってもぶり返すこともあります。特に夕方から夜にかけて再び発熱することがあるので、丸一日平熱が続くようになるまでは検温を続け、室内で安静に過ごしましょう。

Q.熱があるときのおふろはどうしたらいい?

湯船につかると体力を消耗させます。汗をかいたらこまめに着替えさせ、お湯でしぼったタオルでふいてあげましょう。

【せき・鼻水が出ているとき】熱もなく、元気があるなら様子を見て

体を異物から守るのがせきと鼻水の役目です。病原体を退治しようとして出ているものなので、すぐに薬で止めるのは考えもの。病院に行くほどではない状態なら、市販の薬も使う必要はありません。おうちで様子を見て、ラクに過ごせるようにしてあげましょう。

背中をトントンたたいてたんを出しやすく

せきで苦しそうなときは、抱っこして背中をトントンと軽くたたいてあげましょう。気道の内側に粘りついているたんを動かし、とれやすくします。赤ちゃんもママに抱かれて安心感があるのでおすすめです。このとき、トントンする手はおわん状に。振動が伝わりやすくなるので効果的です。

上半身を起こして寝かせ、呼吸をラクに

せきが出て苦しいときは、横にするとよけいにせき込みやすくなります。寝かせるときは、ふとんやマットの下に枕などを入れて傾斜をつけて上半身を起こしてあげると、鼻水を口の中に流すことができ、呼吸がラクになります。

鼻水はやわらかいティッシュでふいて、保湿も忘れずに

できれば使い捨てられる、やわらかいティッシュでこまめにふいて。ガーゼでふくときは、こまめに替えて清潔なものを使います。かぶれやすい鼻の下は、ワセリンなどで保護しましょう。

鼻水がひどいときは専用の器具で吸い取る

鼻水がひどいときは、吸い取ってあげると呼吸がラクになります。鼻水がいつまでも鼻の中に残っていると、雑菌が繁殖することも。市販の鼻吸い器などでこまめに吸い取ってあげるとよいでしょう。

赤ちゃんをRSウィルスから守る予防3原則

1.病原体を持ち込まない!ただし、メリハリをつけた対策を

感染症を予防するには、原因となるウィルスや細菌などの病原体を持ち込まないことが第一です。基本はうがいと手洗いです。赤ちゃんへの感染を防ぐため、外から帰った家族は必ず手洗いを。1歳を過ぎたころからは、赤ちゃんも一緒に手洗いをしましょう。また、流行期のおでかけは人混みを避けましょう。多くの人がさわった場所を除菌することは効果的ですが、やりすぎには要注意。体には善玉菌も多くいます。むやみに除菌をする習慣はおすすめしません。

2.病原体が活動しにくい、適切な温度・湿度にキープ

感染症の原因となるウィルスは、湿度が40%より低く、気温が15度以下のときに活性化するといわれています。おうちで過ごす時間が長い赤ちゃんのために、暖房と加湿器でウィルスの苦手な環境をつくりましょう。室温は大人が快適と思える20度くらい、湿度は50~60%をキープするのが最適です。寒いときでも、ときどき換気することを忘れずに。室内にいる病原体を追い出し、感染の予防になります。

3.よく眠り、よく食べて、免疫力アップを!

病原体が体に入ってきても、それと闘って排除するのが免疫システムです。赤ちゃんが自分の力で病気を乗りこえていくために、生活習慣から免疫力を高めたいもの。基本は、たっぷりの睡眠と栄養バランスのいい食事です。また、スキンケアで肌のうるおいを保つことも、全身の免疫力を高めるといわれています。

赤ちゃんがRSウィルス感染症にかかったママに聞きました!

●生後19日目でかかりました

上の子のかぜをもらったのか、まず鼻が詰まってせきが出始めました。苦しくて母乳もあまり飲まず、飲んでも吐いてしまう状態に。ゼーゼーという音もすごいので、すぐに病院へ行きました。RSウィルス感染症と診断され、生後19日目と月齢が低いこともあって即入院。吸入薬投与、鼻汁吸引、点滴などの処置を受けました。 早めに受診し治療を受けたことで、翌日からは順調に回復。母乳もたくさん飲めるようになって、9日目に退院することができました。(Aさん)

●生後11ヶ月でかかりました

はじめは軽いかぜかなと思って様子を見ていたら、呼吸がつらそうなせきが数日続いたので受診しました。保育園でRSウィルスが流行していると聞いたところでした。病院でたんを出しやすくする薬などを処方され、数日で治りました。(Nさん)

  参考文献等: 厚生労働省『RSウイルス感染症Q&A(平成26年12月26日)』 国立感染症研究所『IDWR 2013年第36号<注目すべき感染症>RSウイルス感染症』

出典 :はじめてママ&パパの 0~6才 病気とホームケア※情報は掲載時のものです

出典 :Baby-mo 2016-2017年冬春号※情報は掲載時のものです

監修
渋谷紀子先生
総合母子保健センター愛育クリニック
東京大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院、山王病院、NTT東日本関東病院などの勤務を経て、現職。専門は小児アレルギー。私生活では四女の母でもある、やさしくパワフルなドクターです。

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