子宮筋腫とは?その原因、症状は?手術する必要はあるの?

 専門家監修
公開日:2017/11/28
子宮筋腫とは?その原因、症状は?手術する必要はあるの?
監修
天神尚子先生
三鷹レディースクリニック 院長

子宮の病気の一つである子宮筋腫。自覚症状がないことが多いこともあり、その位置によっては妊娠や出産に影響するとも言われています。ただ、定期的な検査や治療で大きなトラブルに結びつかずに過ごせることも多いもの。子宮筋腫の原因や症状、検査、治療法のほか、不妊や流産との関連まで説明します。

子宮筋腫とは?

子宮の筋肉にできた良性のこぶのような腫瘍を「子宮筋腫」といいます。子宮筋腫は、婦人科では最もよくみられる良性の腫瘍で、女性ホルモンであるエストロゲンによって大きくなります。子宮筋腫がある女性は珍しくありませんが、子宮筋腫がありながら妊娠する「子宮筋腫合併妊娠」も近年になって増えています。その理由の一つに、高齢妊娠の増加が挙げられます。

子宮筋腫ができる原因は?

子宮筋腫が発生する原因は、まだはっきりと解明されていません。ただ、女性ホルモンであるエストロゲンがかかわっていることはわかっています。エストロゲンは生理の終わりごろから分泌量が増え、卵胞の成熟を促します。その分泌量は排卵直前にピークに。つまり、排卵がある間は子宮筋腫が大きくなるということなのです。逆にいえば、エストロゲンの分泌が低下する閉経後は、子宮筋腫は自然に小さくなることが多いのです。

子宮筋腫にはどんな種類があるの?

子宮筋腫の種類には、大きく分けて3種類あります。

〔子宮粘膜下筋腫〕

子宮の内側を覆っている子宮内膜の下にでき子宮腔といわれる子宮体部の空洞に向かって発育します。生理のときに出血量が増え、生理痛がひどくなるなどの症状がみられます。

〔子宮筋層内筋腫〕

子宮の筋肉の中にできる筋腫で、最もよくみられる筋腫です。筋腫が大きくなると、生理時の出血が増える、生理痛がひどくなるなどの症状がみられます。

〔子宮漿膜(しょうまく)下筋腫〕

漿膜とは、子宮のいちばん外側を覆っている部分。その漿膜の下にできる筋腫です。子宮の外側に突き出るように発育するため、大きくなっても自覚症状が出にくくなります。

子宮筋腫の症状は?出血や痛みはあるの?

子宮筋腫の症状は、人それぞれですが、主な症状には、以下のようなものがあります。

〔過多月経〕

最も多くみられる症状。生理用ナプキンを頻繁に交換する必要があるほどの出血量、レバー状の血のかたまりがある状態、期間が長いことが目安になります。

〔貧血〕

過多月経により、鉄欠乏性貧血になります。動悸、息切れ、めまい、疲れやすいといった症状を伴います。

〔生理痛が重い(月経困難症)〕

生理時にひどい下腹部痛、頭痛、熱、腰痛が起こります。重症の場合は治療が必要になります。あまりに症状がひどい場合は、子宮内膜症合併のケースもあります。

〔下腹部のしこり〕

子宮筋腫が大きくなると、下腹部のしこりがわかることがあります。あお向けに寝ると分かりやすく、外から触っても硬いしこりが確認できます。

〔おりものが多い〕

粘膜下筋腫に多くみられる症状で、生理が終わっても筋腫の表面から液体が出てきます。血が混ざったもの、黄色味がかったものなどのおりものが出たら要注意。ただし、おりものの量が増える病気はほかにもあるので、できるだけ早く受診しましょう。

〔腰痛〕

筋腫が腰椎などの神経を圧迫するため、腰痛や足のしびれが起こることがあります。

〔頻尿、便秘〕

大きくなった筋腫が膀胱を圧迫すると、尿の回数が多くなる頻尿になります。また、直腸を圧迫すれば便秘になります。

筋腫の大きさによって、症状は違うの?

子宮筋腫の症状の違いは、その大きさだけが影響するわけではありません。子宮筋腫の種類(子宮のどこにできるか)や、子宮筋腫の数によっても違ってきます。筋腫が大きくても自覚症状がほとんどないこともあれば、小さくても数が多く、自覚症状がある場合もあります。

子宮筋腫の検査方法は?

自覚症状の有無や子宮筋腫の大きさや数、位置などによっても違いますが、子宮筋腫の検査には、主に以下のようなものがあります。

〔外診〕

外から子宮の上に触れて確認します。具体的には、下腹部に硬い弾力のあるこぶがあるかどうかを確認します。子宮筋腫のできる場所・大きさによりますが、外診だけで子宮筋腫の有無がわかることはあまり多くありません。

〔内診〕

医師が指を腟内に入れ、もう片方の手をお腹の上に置いて、下腹部を上と下ではさむように触診しながら、子宮の大きさや形、筋腫の有無を調べます。

〔超音波検査〕

超音波検査は、外診や内診ではわからない小さな筋腫までわかります。

超音波はかたいものに当たると反射する性質があります。これを当てることで、子宮筋腫の有無を調べます。超音波検査にはプローブと呼ばれる器具を腟内に入れて調べる「経腟法」と、プローブをお腹の上から当てて調べる「経腹法」があります。筋腫が大きい場合は、経腹法で筋腫の大きさや子宮内膜の位置関係なども調べます。

なお、職場や自治体の検査では、超音波検査までは行われないことがほとんどです。子宮筋腫の可能性があり、なおかつ将来的に妊娠を希望している人は、超音波検査を受けることをおすすめします。

〔CT検査・MRI検査〕

子宮筋腫の疑いがあり、内診や超音波検査ではわかりにくい場合や、治療方針を立てる場合などに必要に応じて行われる精密検査です。画像により、筋腫の大きさや位置などを正確に調べることができます。

どんな治療をするの?手術は必要?

子宮筋腫と診断された場合、その治療法は症状の強さやその後、患者さん本人がどんなライフスタイルを送りたいかによって違ってきます。自覚症状がなく、筋腫が大きくない、数が少ないといった場合には、定期的な検診で経過を観察するのみで、とくに治療をしないことがほとんどです。また、閉経が近い場合にも、閉経後に筋腫が小さくなっていく可能性が高いので、経過観察することが多いでしょう。

とくに妊娠を希望する人にとっては、筋腫の大きさによって、経過観察でいいのか、手術して筋腫をとったほうがいいのかは、とてもデリケートな問題です。どんな治療を受けるべきか、自分の年齢や、妊娠の希望の有無なども含め、医師とよく話し合ったうえで決めましょう。ここでは主な治療法を紹介します。

〔薬物療法〕

子宮筋腫を小さくしたり、症状を改善したりするために行われます。女性ホルモンの分泌を抑える薬がよく使われています。注射または点鼻薬で、最長6ヶ月ほど行われ、その後、6ヶ月休薬することを繰り返すのが一般的です。ただ、薬物療法では子宮筋腫の根本的な治療にはなりません。

〔手術による治療〕

手術には、子宮筋腫のみを切り抜く「筋腫核出術」と、子宮全体を取る「子宮全摘術」があります。「筋腫核出術」は妊娠を希望する人、または子宮を残したいという人に行われます。ただし、再発のリスクもあります。

・筋腫核出術

子宮筋腫が小さい場合や数が少ない場合、癒着がない場合は「腹腔鏡手術」を行うことが多いでしょう。「腹腔鏡手術」とは、腹部に小さい穴を開け、そこから腹腔内を見る内視鏡や手術器具を入れて映像を見ながら手術する方法です。開腹の必要がないため、体への負担も少なく、傷跡も小さくて済みます。

子宮が大きい、数が多い場合は腹部を切開する開腹手術が行われます。

・子宮全摘術

文字通り、子宮そのものを取り除く手術です。子宮筋腫の状態にもよりますが、「腹腔鏡手術」、「開腹手術」、そして開腹せずに腟側からメスを入れる「腟式手術」の3種類の方法があります。

子宮筋腫ががんになる可能性は?

子宮筋腫は良性の腫瘍なので、基本的にはがん化することは極めて少ないといわれています。ただし、まれに筋腫と診断された後、手術後に悪性腫瘍だとわかることがあります。その可能性は、50代以上になると高くなります。

子宮筋腫と不妊は関係あるの?

子宮筋腫が必ず不妊の原因になるわけではありませんが、その数や位置、大きさによっては妊娠しづらくなる場合があります。その理由は、十分に解明されていませんが子宮筋腫があることによって、受精しにくくなったり、受精卵が着床しにくくなったりするためです。

例えば、卵管を圧迫する位置に筋腫ができると、精子や受精卵の通りを妨げてしまいます。また、受精卵が着床するためには、子宮腔が収縮して狭まる必要がありますが、筋腫があると、十分な収縮ができなくなります。さらには、筋腫があると子宮内膜への血流が悪くなるため、子宮内膜が十分に育たず、妊娠しづらくなる場合もあります。

筋腫が不妊の原因になっているかどうかは、検査である程度わかります。子宮卵管造影検査というX線検査では、子宮筋腫が卵管を圧迫している位置にないか、周囲と癒着を起こしていないか、子宮内腔に広がっていないかなどを調べます。これ以外にも、内視鏡を腟から入れて、子宮腔の変形や隆起などの有無を調べる子宮鏡検査もあります。

子宮筋腫があると流産しやすくなるの?

不妊の場合と同様、子宮筋腫があるからといって、必ず流産に結びつくわけではありませんが、大きさや位置、数によっては流産を引き起こす場合があるのは事実です。もちろん、子宮筋腫を持ったまま妊娠が継続するケースも多々あります。

よほどのことがない限り、妊娠判明後に子宮筋腫を取り除く手術をすることはありません。妊娠を希望している人は、妊娠前に子宮筋腫の有無を調べてもらいましょう。そして、もしも子宮筋腫があるとわかったら、大きさによっては妊娠に影響する可能性があります。妊娠がわかる前に手術をするべきなのかどうかなど、医師とよく相談する必要があるでしょう。

取材&文/樋口由夏

監修
天神尚子先生
三鷹レディースクリニック 院長
日本医科大学付属病院、同大学産婦人科を経て、2004年に現クリニックを開院。年齢によって異なる女性のライフステージを考慮した治療を行っています。2人の子育てをした経験からくるアドバイスは頼りになると評判です。

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