赤ちゃんの乳児脂漏性湿疹の原因は?ケア方法や薬は?母乳は関係ある?【症例写真つきで専門医が解説】

 専門家監修 2017/10/13更新
赤ちゃんの乳児脂漏性湿疹の原因は?ケア方法や薬は?母乳は関係ある?【症例写真つきで専門医が解説】

加藤さき子先生
高野医科クリニック副院長
1984年日本医科大学卒業。同大学日本医科大学付属病院皮膚科助手、複数のクリニック勤務などを経て、2003年から現職。日本皮膚科学会認定専門医。葛飾区にあるクリニックは、アトピー性皮膚炎をはじめとした肌トラブルの診療やスキンケアの指導が評判で、幅広い年齢層の患者でにぎわっています。

乳児脂漏性湿疹(にゅうじしろうせいしっしん)は、月齢の低い赤ちゃんによくできる肌トラブルです。すぐにひどくなり見た目が痛々しいので、赤ちゃんにできると心配になりますが、きちんとケアをしていればだんだん治っていきます。早く治すためのケア方法を知っておきましょう。

乳児脂漏性湿疹ってなに?

乳児脂漏性湿疹とは、赤ちゃんにできる湿疹の代表

赤ちゃんによくできる湿疹をまとめて「乳児湿疹」と呼んでいますが、乳児脂漏性湿疹はその代表的な肌トラブルです。頭皮やまゆ毛、髪の毛の生えぎわやほほを中心に、おなかや背中にもできます。早いと生まれてすぐから、多くは生後2~3週間ごろから出始めますが、きちんとケアをすればたいてい3ヶ月ごろ、遅くても6ヶ月までには治っていきます。

なぜ乳児脂漏性湿疹の原因と母乳の影響について

乳児脂漏性湿疹はどの赤ちゃんでもできる可能性があるだけに、原因が気になりますね。なぜ乳児脂漏性湿疹ができるのか、母乳の影響も含めて詳しく説明しましょう。

乳児脂漏性湿疹は、「皮脂の多さ」が原因です

赤ちゃんは生後2~3ヶ月ごろまで、ママのおなかの中にいたときにもらったホルモンの影響で、皮脂分泌がとても活発です。皮脂は皮膚から分泌され、肌の表面をおおって有害物質が皮膚から体内に入らないようにしたり、皮膚内部の水分が蒸発しないようにしたりする働きをしています。
皮脂を分泌する皮脂腺は毛穴の入口あたりにあるので、皮脂の分泌量が多いと毛穴が詰まってしまい、皮脂腺にも脂がたまって炎症を起こし、湿疹ができます。
皮脂腺が特に多いのが、頭皮と顔です。そのため、赤ちゃんは頭皮や顔が脂っぽくなりがちで、乳児脂漏性湿疹もできやすいのです。
ただ、赤ちゃんは3ヶ月ごろを境に、皮脂の分泌量が急激に減り始めます。それによって、今度は皮膚が乾燥してカサカサしてくるので、乳児脂漏性湿疹もだんだん治ってきます。

乳児脂漏性湿疹は、母乳とは無関係

乳児脂漏性湿疹は皮脂の分泌量が多いことが原因で、母乳が影響してできることはありません。卵や牛乳など特定の食品を食べたり、それを食べたママの母乳を飲んだりしたことで湿疹が出るのはアレルギーの症状なので、混同しないようにしましょう。

乳児脂漏性湿疹の症状を写真で確認!

赤いポツポツが出たり、かさぶたのようなかたまりができたりします

乳児脂漏性湿疹ができやすいのは、皮脂の分泌が多い場所です。頭皮やおでこ、まゆ毛のあたり、鼻のわきなどによくできますが、わきの下や外陰部、おなかや背中などにもできます。ほほやおでこに出たものは赤いブツブツが多く、湿疹と湿疹がくっついたようになって、広い範囲で真っ赤になってしまうこともあります。
頭皮やまゆ毛など毛が生えている場所は、皮膚がたくさん分泌して固まりやすく、「乳痂(にゅうか)」という黄色いベタっとしたかさぶたのようなかたまりになることも。
乳児脂漏性湿疹自体には、かゆみはほとんどありません。でも、湿疹ができたところは、少しの刺激でも反応しやすくなり、外部刺激によってかゆみを誘発させてしまいます。かいてしまってひどくなると、ジュクジュクして汁が出たりすることもあります。

おでこを中心に湿疹が

髪の毛の生えぎわやおでこ、まゆ毛のあたりに湿疹ができています。湿疹の先端は脂で白っぽくなっています。

湿疹でおでこやほほが赤くなっています

眉間からおでこ、ほほに赤い湿疹が広がっています。こすらなければ、かゆみはほぼありません。

耳の上に皮脂がびっしり

頭皮に分泌された皮脂が髪の毛についてかたまり、ベッタリ貼りついたようになっています。皮脂は、石鹸で洗わないと取れません

おでこを中心にひどいかさぶたが

おでこ、髪の毛の生えぎわ、まゆ毛、鼻の横などにかさぶたができ、ほほやあごには赤いブツブツが。重症ですが、石鹸で洗う&保湿のケアを根気よく続けた結果、3ヶ月ごろにはきれいになりました。

乳児脂漏性湿疹は、耳や頭にもできる?

耳の周囲の皮膚に、乳児脂漏性湿疹ができることもあります

乳児脂漏性湿疹は、耳たぶや耳の中などにできることは少ないでしょう。ほほから耳にかけての範囲や耳の上の髪の毛がかかる部分、耳の下から耳の裏側にかけてなど、皮脂の分泌量が多いところにできます。

頭はかさぶたのようなかたまりができやすい場所

頭は、体の中で最も皮脂の分泌が盛んな場所です。皮脂が髪の毛についてかたまり、ベタっとして黄色いかさぶたのようなかたまりになってしまうことがあります。ひどくなると、頭全体をおおうほど面積が大きくなることもあるので、早めのケアが必須です。

乳児脂漏性湿疹は、どんなケアをすればいい? 保湿すればいい?

症状がひどくなることもある乳児脂漏性湿疹ですが、適切なケアを続けているとだんだんよくなります。ケアのポイントは、さまざまな肌トラブルのケアに共通する「清潔」&「保湿」です。

乳児脂漏性湿疹のケアは、石鹸で洗うことが第一歩

乳児脂漏性湿疹ができたら、まず皮脂を取り除くことがケアの基本。お風呂で石鹸を使って、ていねいに皮脂を洗い流します。「赤ちゃんの顔に石鹸をつけるのはこわい」「湿疹に石鹸を使って大丈夫?」という声をよく聞きますが、石鹸を使わないと皮脂は落ちないので、湿疹もよくなりません。赤ちゃん用の石鹸や、無添加・無香料の低刺激な石鹸なら、湿疹に影響はないので、安心して使いましょう。
石鹸は十分に泡立ててママの指につけ、指の腹でやさしく洗います。やわらかいガーゼで石鹸をよく泡立て、優しく洗ってもよいでしょう。顔は、おでこ、まゆ毛、小鼻の脇、ほほなど、脂っぽくなりやすい場所を重点的に洗いましょう。頭皮も脂っぽくなるので、念入りに洗います。
頭にかさぶたのようなかたまりができているときは、軽いものなら入浴前にベビーオイルをしみ込ませて30分くらいおき、かさぶたが浮き上がってきたら、お風呂で洗いながらそっととります。ただし、かさぶたを無理にはがすと、皮膚が傷ついて雑菌が入ることもあるので、注意します。
石鹸で洗った後は、やわらかいタオルかガーゼにお湯をたっぷり含ませて、石鹸分が残らないようにしっかり流します。ふくときはゴシゴシこすらないよう、タオルで押しぶきをして水分をふきとります。

石鹸で洗ったあとは、必ず保湿!

皮脂を石鹸で洗い流したら、次に大事なのは保湿です。皮脂の分泌が盛んな時期でも、洗いっぱなしだと皮膚から水分が出ていって乾燥してしまいます。入浴後は、10分以内に保湿剤を塗ると、水分の蒸発を防げます。お風呂上りのほか、授乳や離乳食の前後、ねんねから目覚めたとき、外出の前後なども、肌をきれいにふいたあとで、こまめに保湿しましょう。
一般的な保湿剤は、ローションやクリームだとさまざまな肌症状にむけて調合されています。そのため、赤ちゃんの肌に合わない成分も含まれていることがあります。ですが、薬局などで手に入れる白色ワセリンなら余分な成分が一切入っていないので、「保湿」だけを目的に安心して使えます。

乳児脂漏性湿疹の治療に、薬は使う? 使う場合はどんな薬を使うの?

乳児脂漏性湿疹は、適切なケアをすればよくなります。それでも治らないときや、ひどくなってしまったときは受診して、塗り薬による治療をします。治療をしていても、清潔&保湿によるケアは続けましょう。

ケアを続けても変わらないときや、かさぶたができたときは受診を

清潔&保湿という基本のケアをしていても、湿疹の状態が変わらないときや、ひどくなってポツポツの数が増えた、皮膚がむけてきた、ジュクジュクしてきた、などのときは、皮膚科で診てもらいましょう。頭などにかさぶたができたら、小さいものでも念のため受診します。

乳児脂漏性湿疹の治療には、塗り薬を使います

受診すると、湿疹の状態に合わせて塗り薬が処方されます。赤みが強くてステロイド剤が処方されたときは、医師の指導に従って使いましょう。ステロイド剤の副作用を気にするママもいますが、指示通りの正しい使い方をすれば、副作用が起こることはありません。

乳児脂漏性湿疹の予防には、とにかくスキンケアが大事!

乳児脂漏性湿疹の予防には、できたときと同じく清潔&保湿のケアがカギです。

・お風呂に入ったら石鹸で洗う

・皮膚をきれいにしたら必ず保湿剤を塗る

3ヶ月ごろまでの皮脂分泌が盛んな時期は、特にこの2つをしっかり守ることが大切です。

取材・文/村田弥生

写真協力/育児雑誌『Baby-mo』の全国読者のみなさん

一部写真出典/『はじめてのママ&パパの病気とホームケア』(主婦の友社刊)

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