赤ちゃんの蒙古斑はなぜできて、いつ消える?消えない原因と治療法【症例写真&医師監修】

 専門家監修
公開日:2017/10/10
更新日:2018/09/18
赤ちゃんの蒙古斑はなぜできて、いつ消える?消えない原因と治療法【症例写真&医師監修】
監修
加藤さき子先生
高野医科クリニック副院長

赤ちゃんのかわいいお尻や背中にある蒙古斑(もうこはん)。ママたちも見慣れている“赤ちゃんのしるし”のようなものですが、なぜできるのか、いつごろ消えるのか、については案外知られていないようです。そんな蒙古斑の謎に迫ってみました。

蒙古斑とは?

蒙古斑とは有色人種によく見られるあざ

蒙古斑とは、生まれた時からおもにおしりを中心に広がっている青っぽいあざで、アジア人に多く見られ、日本人のほとんどの赤ちゃんにあります。
蒙古斑の現れ方は、赤ちゃんによってさまざま違います。場所はおもに、お尻から腰、背中にかけて出ることが多いのですが、小さいものがところどころに出ることもあれば、一か所に大きく出ることもあります。また、色の濃さや形、大きさもまちまちです。性別による違いは特になく、ほとんどは自然に消えてしまいます。

典型的な蒙古斑の症例写真

典型的な蒙古斑の症例写真お尻や腰、背中あたりにできている蒙古斑は、たいてい自然に消えていきます。

なぜ蒙古斑ができるの?原因は?

なぜかというと、メラノサイトが関係しているため

なぜ蒙古斑ができるかというと、それは「メラノサイト」という細胞が関係しています。私たちの皮膚は、表皮、真皮、皮下組織という三層構造になっていて、一番外側の表皮にメラノサイトが存在しています。
メラノサイトは、人間の肌や髪の毛、瞳の色を決める重要な要素となっているうえ、紫外線を浴びると「メラニン色素」を産出して、肌を守ろうとする働きをしています。
メラニン色素には黒と黄色の2色があり、人種によって肌の色が違うのは、この2色の割合が違うためです。
赤ちゃんがママのおなかの中にいるときに、メラノサイトは皮膚の奥の方の層である真皮から皮膚の表面に近い表皮のほうに移動してきます。このとき、何らかの理由でメラノサイトの一部が真皮にとどまって増えてしまうことがあります。それが、皮膚の深いところにあるため、青っぽく見えるというわけです。

蒙古斑は日本人特有って本当?

日本人だけにできるわけではありません

普通は、メラノサイトが存在するのは表皮だけで、真皮には存在しません。ところが、日本人などの黄色人種は、真皮にメラノサイトがとどまってメラニンを産出するため、蒙古斑ができます。こうした蒙古斑ができるメカニズムについては、実はまだよくわかっていません。
蒙古斑の「蒙古」というのはモンゴルのことなので、名前の通りモンゴル人の赤ちゃんにも見られますし、その他のアジア系民族の赤ちゃんにも見られるので、日本人だけに特有というわけでないのです。

蒙古斑がなくても大丈夫?

ない場合もあるので、心配いりません

日本人の赤ちゃんなら誰でもあると思われていますが、中にはほとんど蒙古斑がない赤ちゃんもいます。蒙古斑の出方や大きさ、色や形はさまざまなので、色がごく薄いとかほとんどない、という場合でもまったく問題ありません。

蒙古斑はお尻以外にもできる?肩・背中・足にもできるの?

蒙古斑は、おもにお尻や腰から背中にかけてできますが、ときには肩や手足、胸やおなかなどにできることもあります。これを「異所性蒙古斑(いしょせいもうこはん)」といいます。
通常の蒙古斑は成長するにつれてほとんどが消えてしまうのですが、肩や手足などにできた異所性蒙古斑の中には、消えにくいものもあります。

足にできた異所性蒙古斑

足にできた異所性蒙古斑の症例写真異所性蒙古斑は、足や手、肩や腕、胸やおなかなどいろいろな部位にできます。

手にできた異所性蒙古斑

手にできた異所性蒙古斑の症例写真異所性蒙古斑の中でも、範囲が狭い、色が薄いなどの場合は、自然に消えることもあります。

腕にできた異所性蒙古斑

腕にできた異所性蒙古斑の症例写真色が濃いめの異所性蒙古斑でも、レーザー治療でかなり薄くすることが期待できます。

蒙古斑はいつ消える?

いつまで残るかは、個人差あり

蒙古斑がいつ消えるかは、個人差があります。お尻や腰、背中にできた通常の蒙古斑なら、2~3歳過ぎからだんだん薄くなっていって、ほとんどが小学校に入るころまで、遅くても12歳ぐらいまでには目立たなくなるか消えるでしょう。ただ、通常の蒙古斑や異所性蒙古斑の中には、成長しても残ってしまうものがあります。それでも、色は薄くなっていきますし、健康面で問題はなく病気につながる心配もありません。服で隠れてしまう場所にあるなら、気にしなくていいでしょう。

蒙古斑は大人になっても残る?蒙古斑が残っていても大丈夫?

大人になっても消えないものはわずか

異所性蒙古斑は消えないものも多いのですが、通常の蒙古斑でも、約3%の割合で大人になっても残るものがあります。これは「持続性蒙古斑(じぞくせいもうこはん)」と呼ばれ、大きさは直径2㎝くらいの円形のことが多いでしょう。この場合も異所性蒙古斑と同じく、放っておいても悪性化する心配はありません。

蒙古斑は治療できるの?治療方法は?

蒙古斑は放っておいても心配のないものですが、目立つ場所にあって色が濃いなど気になるときは、傷あとが残らないレーザーによる治療で目立たなくできます。レーザー治療とは、レーザー光線を当てて、異所性蒙古斑の原因となっているメラニン色素の細胞を壊す治療法です。異所性蒙古斑はレーザーでの治療効果が期待できますし、一般に皮膚が薄い幼少期ほど良い結果になることが多く、保険もきくというメリットがあります。
ただし、レーザー治療はどこの病院でも受けられるというわけではありません。まずは、近くの皮膚科に問い合わせてみて、レーザー治療を行っていない場合は治療が受けられる病院を紹介してもらうといいでしょう。病院が見つかったら、レーザー治療の詳細やいつごろから治療を始めるのがいいのか、期間や費用はどれくらいかなど、医師の説明をしっかり聞いて。よく相談したうえで、治療を受けるかどうか決めるようにしましょう。

レーザー治療の費用や回数

レーザー治療の費用は病院によっても違いますが、ほぼ保険が適用されるため、1回の照射で数千円から1万円くらいまでが多いようです。レーザー治療を行う回数は、異所性蒙古斑の大きさや色の濃さで違ってきます。1回で済むこともあれば、数回の照射が必要なことも。費用や回数については、よく確認しておきましょう。
レーザーによる治療は、時期が早いほど効果が高いと言われています。ただ、異所性蒙古斑の場合でもだんだん色が薄くなり、ほとんど目立たなくなることもあります。そのため、医師によって赤ちゃんのうちの治療をすすめる場合と、10歳ごろまで様子を見るよう提案する場合があるようです。
また、レーザー治療を受けるには、麻酔が必要です。多くは局所麻酔ですみますが、範囲が広い場合などは全身麻酔が必要になることもあります。いずれにしても、費用や回数だけでなく、麻酔をするリスクについてもよく説明を聞くことが大切です。

蒙古斑のレーザー治療前

蒙古斑のレーザー治療前の症例写真肩から腕にかけてできた異所性蒙古斑。面積が広い、色が濃いなどの場合は消えないことがありますが、早期のレーザー治療が効果的です。

蒙古斑のレーザー治療後

蒙古斑のレーザー治療後の症例写真肩から腕にかけて目立っていた異所性蒙古斑ですが、数回のレーザー治療で写真のように薄くなり、目立たなくなりました。

取材・文/村田弥生

写真協力/育児雑誌『Baby-mo』の全国読者のみなさん

一部写真出典/『はじめてのママ&パパの病気とホームケア』(主婦の友社刊)

監修
加藤さき子先生
高野医科クリニック副院長
1984年日本医科大学卒業。同大学日本医科大学付属病院皮膚科助手、複数のクリニック勤務などを経て、2003年から現職。日本皮膚科学会認定専門医。葛飾区にあるクリニックは、アトピー性皮膚炎をはじめとした肌トラブルの診療やスキンケアの指導が評判で、幅広い年齢層の患者でにぎわっています。

あなたにおすすめ

注目コラム