赤ちゃんの虫歯予防、歯が生える前からの親子いっしょの乳歯ケアが重要なのはなぜ?

 専門家監修 2017/10/17更新
赤ちゃんの虫歯予防、歯が生える前からの親子いっしょの乳歯ケアが重要なのはなぜ?

クラジ歯科医院院長 倉治ななえ先生
東京都大田区のクラジ歯科医院医院長。日本歯科大学附属病院臨床教授。生活習慣や子育ての方法を見直すことで、子どもの美しい歯を育てることを提案する「子育て歯科」の第一人者。講演活動やテレビ出演、本の執筆など、多方面で活躍中。

子育て中のママ・パパを対象に、ピジョン本社にて開催された「早期からはじめる親子いっしょの乳歯ケア」勉強会に参加してきました。育児誌『Baby-mo(ベビモ)』でもおなじみ倉治ななえ先生を講師にむかえ、乳歯の早期ケアはなぜ大切なの? 親子いっしょのケアが重要な理由、子どもが嫌がらない乳歯ケアのポイントなどを教えていただきました。その勉強会の内容を2回にわけてご紹介します。前編は、早期からの乳歯ケアの重要性と親子一緒にケアすることの大切さについてです。

歯並びのきれいな子に育てるためには、虫歯予防が大切

赤ちゃんの歯は虫歯になりやすい!

乳歯のエナメル質・象牙質は永久歯より薄くて弱く、神経は永久歯よりも乳歯のほうが大きいもの。歯をまんじゅうに例え歯の神経をあんこだとすると、永久歯は皮の厚いまんじゅうで、乳歯は薄皮まんじゅうのような構造になっています。なので、まわりが薄くて弱い乳歯は虫歯になりやすく、ひとたび虫歯になるとすぐに神経まで到達してしまうのです。

なぜ乳歯に虫歯ができると歯並びが悪くなるの?

乳歯に虫歯ができると、痛みによってかめないまたはかまなくなります。すると、あごの骨が十分に育たず、永久歯がきれいに並ぶスペースがなくなってしまいます。
乳歯のときには歯と歯の間にすき間があり、永久歯が生えるのに十分なスペースが確保できているのが理想です。
すき間のある乳歯列
また、乳歯が虫歯になり早期に抜けてしまうと、両側の歯が倒れ込み八重歯などの原因となります。

歯並びをよくするために大切なことは、虫歯を予防することとよくかんであごの骨を育てること。かむためにはおなかがすいていることが大前提です。散歩や遊びで体を動かし、食欲を刺激するおいしそうな食事を用意することが、よくかむことにつながります。

歯が健康だと、元気で長生き!

美しい永久歯は親から子へのプレゼント!

歯がすべて永久歯に生え変わるのは中学入学のころ。あごを大きく育て、乳歯をしっかりケアしてあげていると歯並びがきれいな美しい永久歯を手に入れることができます。これは親から子への大きなプレゼントとなります。なぜなら、歯が健康だと元気に長生きできるということが、さまざまな研究によってわかってきているからです。
40歳以上の男女5,000人以上を15年に渡って追跡調査した結果、歯の本数(機能歯数)が多いと寿命が長いということがわかりました。また歯の本数が多いと、寝たきりになりにくい、入院日数が少ない、医療費を使わないなどのデータもあります。

80歳になっても20本以上自分の歯を保とう!【8020(ハチマルニイマル)運動】

1989年(平成元年)より厚生省(当時)と日本歯科医師会が推進している「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」という取り組みが行われています。「生涯、自分の歯で食べる楽しみを味わえるように」との願いを込めて始まったもので、開始当時は80歳の自分の歯の平均が5本でしたが、昨年の調査では80歳以上で自分の歯が20本以上ある人の割合は51.2%となっています。(※厚生労働省 平成28年調査より)

生涯続く虫歯予防。赤ちゃんのうちに身につけたい3つの習慣

虫歯を予防は、赤ちゃんでも大人でも方法はいっしょです。
① 砂糖をひかえる
② 虫歯菌を減らす
③ 今持っている歯を強くする
この基本の3項目を順にみていきましょう。

【①砂糖をひかえる】食事と食事の間隔をあける正しい食生活で、再石灰化をうながす

日本は世界の平和な国の中で比較すれば、砂糖の摂取量はもっとも少ない国の一つです。ですから、砂糖の量を減らす必要はありません。では、何を減らせば虫歯予防になるのか? それは食事の回数です。食事と食事の間隔をあけると、唾液の力で再石灰化を促すことができます。食事の間の甘い飲み物やあめなどはやめ、甘いものはデザートとして食事とセットでとることで、食事と食事の間隔をあけることが有効です。

【②虫歯菌を減らす】感染させないためにも親子ケアが大切!

虫歯菌と呼ばれるミュータンス菌。日本人はその90%が虫歯菌を持っているといわれています。しかし、生まれたての赤ちゃんの口の中にはいません。親などまわりにいる虫歯菌を持った人(主に母親)から、唾液を通して感染するのです。空気感染はしないため、予防法はシンプル。同じ箸やスプーンで食べない、1本のペットボトルを回し飲みしない、高齢の方にかみ砕いたものを与えないようにお願いをする、これだけです。

「母親のSM*レベルと子の感染率」(*SM=デントカルト ストリップ ミュータンス法によるミュータンス菌の培養検査の判定単位)ミュータンス菌の数により、ほぼいないレベル0から特に危険な量のレベル3までレベル分けして調査。(1997年12月~2003年7月/母親595名、子717名の親子を対象)
「母親のSMレベルと子の感染率」の調査からも、子どもの虫歯菌の感染率は母親の口の中の虫歯菌レベルにのっとっているということが分かります。だからこそ、親子いっしょにケアすることが大切なのです!

【③今持っている歯を強くする】フッ素+キシリトール+クリーニングで強化!

フッ素は初期虫歯を再石灰化し、修復して歯を強くしてくれます。歯質を強化していない歯は裸のまま酸の攻撃を受けるようなもの。フッ素入りの歯磨き剤で歯磨きを行い、年に2回程度歯医者さんでフッ素塗布とクリーニングをするといいでしょう。
キシリトールはフィンランド語では「白樺砂糖」と言われる天然素材甘味料で、いちご、レタス、ほうれん草、バナナなどにも含まれています。酸をつくらず、虫歯菌を減らすことから、虫歯予防の効果があります。キシリトールタブレットの効果的なとり方は、食直後や食間、歯磨き後のごほうび、就寝前などがおすすめ。ただし、多量にとるとおなかがゆるくなることがあるため、食べすぎには注意が必要です。

親子で乳歯ケアをするためのポイント

毎日のホームケアと歯医者さんでのプロフェッショナルケアを行っていくことが大切です。

 
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後編「 赤ちゃんの歯磨きはいつから? 乳歯のホームケアのポイントとやり方レッスン

出典:ピジョン「早期からはじめる親子いっしょの乳歯ケア」勉強会 https://pigeon.info/
Baby-mo(ベビモ)
※情報は掲載時のものです

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