1才でお昼寝1回は少ない? よく寝ていた子が急に夜泣きを始めるのは睡眠退行が原因?【子どもの睡眠コンサルタント愛波文さん インタビュー第4回】

コラム 2017/06/23更新
1才でお昼寝1回は少ない? よく寝ていた子が急に夜泣きを始めるのは睡眠退行が原因?【子どもの睡眠コンサルタント愛波文さん インタビュー第4回】

米国IMPI公認資格を日本人で初めて取得し、妊婦と子どもの睡眠コンサルタントとして活躍中の愛波さんの不定期連載も今回が最終回。赤ちゃんの月齢によって睡眠がどのように変化していくか、また、接していく母親や父親(育児者)がおさえておきたいポイントや知っておくべき知識についてうかがいました。

1才でお昼寝1回は少なすぎる!? 成長に合わせた移行を

前回(第3回はこちらから)は赤ちゃんの睡眠の土台・基盤となる5項目の「ファンデーション」について教えていただきましたが、赤ちゃんの月齢によっては睡眠がどのように変化していくのでしょうか。

「新生児から18カ月は成長も著しい時期であると同時に、睡眠も大きく変化していく時期です。お昼寝の回数も変わっていきますよね。おおまかですが、新生児から3~4カ月くらいまではスケジュールが定まっておらず、活動時間で見ていく時期です。6カ月くらいになると朝寝・昼寝・夕寝と日中は1日3回寝るようになります。このころからやっとスケジュール化でき、その後、朝寝・昼寝の2回に移行していくのは9カ月ごろです」

赤ちゃんの月齢や成長とともに変化していく睡眠。ここまでは日本もアメリカも差がなさそうですが、1才くらいから違いがあるようです。

「日本では1才になると1回のお昼寝といわれますが、これは少なすぎだととらえます。お昼寝を1回にするのは、14カ月から18カ月ごろがよいとしています。これにはもちろん個人差があって、私の子どもの場合でいうと長男は17カ月、次男は16カ月、ほかには20カ月くらいまで2回お昼寝をしていた子もいます」

ではなぜ、12カ月で1回のお昼寝だと少ないとされるのでしょうか。

「赤ちゃんは個人差はありますが、一般的に10ヶ月~14カ月ごろに初めの一歩を踏みます。すると活動量が増し、とても疲れます。そのため、この時期にお昼寝を1回だけにしてしまうと、夕方ぐずって夕食時に寝てしまうことがあるかと思います。結果2回寝ていることになり、夜も遅くなってしまう。これは悪循環ですよね。それなら朝寝をさせてあげて、少し遅めの昼寝をさせることで、夕方のぐずりがなくなり夜は19時頃寝てくれるようになります。そして、十分な睡眠をとっているため寝ぐずりや夜泣きもなくなります。」

親が悩まされるのは、たびたび表れる赤ちゃんの「睡眠退行」の時期

長男の睡眠に悩んだことがきっかけで、自ら子どもの睡眠コンサルタントとして活躍するようになった愛波さん。しかし、そんなプロでさえ、自身が寝られないことで赤ちゃんの睡眠に対する判断がにぶったそうです。

「長男に添い乳をして寝かしつけに苦労した経験から、次男には絶対に添い乳をしない!と決めていましたが、何度も起きるようになった4カ月のときに添い乳を始めてしまいました。長男が当時3歳だったので、まだ手がかかり休む暇もなく、とにかく私自身が『もう寝たい』と思ってしまって、ダメだと思いながら毎日やっていましたね。誤解してほしくないのですが、添い乳がよくないというのではなく、母親が添い乳によって寝かしつけや夜泣きがあって大変だと感じたら、改善したほうがよいということなんです」

夜中に何度も起きるようになった4カ月の次男に添い乳をしてしまった経験を、ただネガティブにとらえないのが愛波さん。すでに、就寝時の添い乳を習慣化してしまったのだから「どうしたら添い乳をしながらでも夜通し寝るようになるのか」を色々試して実践してみようと思いました。

「このころの赤ちゃんには『睡眠退行』というものがあって、それまでよく寝ていた子が、いきなり昼寝をしなくなったり、夜泣きが始まることがあるんです。睡眠退行は、4カ月、8カ月、12カ月、18カ月と、かなり頻繁に表れます。2週間で終わる場合もあれば、1カ月続く場合もあります。何も知らなければ『いきなりどうしたんだろう?』と悩みますが、知識があれば『そういう時期なんだ』と受け入れて悩まなくなりますよね」

赤ちゃんの月齢が上がるほど2人の時間をもつことが睡眠にとって大切

赤ちゃんの睡眠の土台・基盤となるファウンデーションは、月齢があがるほど、赤ちゃんの生活環境が良好なものであるか、心が満たされているかが大きく影響を及ぼすようになるといいます。

「お母さんとの時間が足りなくて夜泣きをしたり、『ママの隣りで寝たい』という子に対しては、2人の時間を30分でも20分でもいいから作ってください、とお願いしています。忙しいとは思いますが、それだけで子どもは満足するんです」

日々の生活に追われていると、2人の時間を作るのは難しいもの。一緒におふろに入ったり、ごはんを食べたり、これだけで精一杯……。

「でもそれは赤ちゃんとの1対1の時間ではなく、毎日の生活の一環ですよね。2人の時間とは、子どもがやりたいことを真剣にやる時間のことです。テレビなし、スマホなし、パソコンなし、電話なしでちゃんと向き合うこと。そして子どもに『いつもありがとう』と伝えることが大切なんです」

5才と2才の2児のママでもある愛波さんも、特に長男に対して意識的に2人の時間を作るように心がけているのだそう。

「時間をとるのが難しいときには2分でもいいと思っていて、そのときには『いつもありがとう』と伝えています。しっかりしていてもまだまだ5才。次男におもちゃを取られることもあるし、さみしいと思っているかもしれない。でも、ママもやらなければいけないことがあるから受け入れてね、理解してねって。決してごめんねとはいいません。でも、大好きだと伝えると『ママは僕のことをちゃんと見ていてくれている』とわかってくれます。ほんの少しの時間でも子どもにとってはとても大切な時間。3~5才くらいの睡眠に関する問題の原因は、ほとんどがこのようなことですね」

赤ちゃんの睡眠が改善されると、わが子のちょっとした変化に気づけるようになる

   

十分な睡眠は脳や身体の成長に必要不可欠なもの。親も自分の時間を持てるようになりますが、ほかにも子どもの睡眠を整えるメリットはたくさんあるといいます。

「赤ちゃんの睡眠の問題が解決してしっかり寝るようになると、何か異変があったときに気づきやすくなります。『今日は夜泣きしている。どうしたんだろう?』って。そうすると、熱があったり3日後に歯が生えてきたりと、子どものちょっとした変化がすぐわかるようになります。こうした変化に気づけるということが、子育ての自信にもなるんですよね」

赤ちゃんの睡眠には、お母さんやお父さんの不安も影響を与えます。育児に自信が持てるようになれば、よい循環が生まれそうです。

「そうですね。日本での睡眠コンサルテーションでは、最初に相談されると『自分の子育てに自信が持てない』とおっしゃるお母さんが多いです。でも、私が伝えるのは、お母さんがやっていることに何ひとつ間違っていることはないということ。すべて愛情があってやっていることだから、どれも間違いではないんです。ただ、睡眠不足のせいでお母さんや子どもが疲労を感じている場合は、少し改善する必要がありますね、と」

日本ではまだ知られていない「子どもの睡眠コンサルタント」という存在。しかし、今後さらに需要が高まっていくと予想されます。妊娠中の方も、今は子どもの睡眠に悩んでいない方も、いざというときに相談できる専門家がいるということを知っておくだけでも心強いかもしれません。



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子どもの睡眠コンサルタント 愛波 文さん

長男の夜泣きや子育てに悩んだことから睡眠について学び、アメリカで働きながら米国IMPI(International Maternity and Parenting Institute)公認資格を日本人で初めて取得。現在、ニューヨークで5才と2才の男の子のママとして子育てをしながら、子どもの睡眠に悩む育児者のコンサルティングを行う。IMPIと提携し、日本語での妊婦と子どもの睡眠コンサルタント資格取得講座(オンライン)を開催し、講師も務めている。

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撮影/福村美奈(主婦の友社写真課) 取材・文/木村亜紀子

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