赤ちゃんの夜泣きや寝つきの悪さ、どこから改善する?【子どもの睡眠コンサルタント愛波文さんインタビュー 第3回】


愛波 文さん
子どもの睡眠コンサルタント
日本ではまだ知られていない「子どもの睡眠コンサルタント」という存在。赤ちゃんの睡眠について悩んでいる人たちからマンツーマンで悩みを聞き解決しているのが、子どもの睡眠コンサルタントである愛波文さん。世界中からの依頼に応えながら、ニューヨークで5才と2才の男の子を育てるママ。米国IMPI公認資格を日本人で初めて取得し、日本人向けの資格取得コースでは講師を務める愛波さんに、問題を解決して理想的な睡眠へと導く方法をうかがいました。
赤ちゃんの睡眠の土台・基盤を整えることが、夜泣きや寝つきの悪さの問題解決に
愛波さんが行うコンサルテーションでは、まずはじめに赤ちゃんの睡眠の土台・基盤となる「ファウンデーション」と呼ばれる5項目が整っているかということが重要なカギになります。夜泣きや寝つきが悪いなど、赤ちゃんの睡眠について何か悩みがある場合は、まずその原因を下の5項目から探っていきます。
この5項目を土台・基盤として睡眠を整えていく。<愛波さんご提供の資料をもとに作成>
赤ちゃんの睡眠の問題となっているかもしれない原因を洗い出し、改善策を提案してひとつひとつつぶしていきます。上の睡眠の土台・基盤である「ファウンデーション」からも、赤ちゃんにとって生活すべてのことが睡眠につながっているということがわかります。
「赤ちゃんの1日のスケジュールや活動内容(アクティビティ)、食事、育児者(母親・父親)のイライラ度などすべてのことを総合してみていきます。たとえば、新生児の場合、大人数の集まりで多くの方に抱っこされた日は刺激が多すぎてなかなか寝付けなかったり、夜中に頻繁に起きたりします。2歳児が自分の誕生日会で興奮し、疲れすぎて癇癪を起したり夜泣きをすることもあります。5歳児でも幼稚園に行き、立て続けに習い事をした場合は疲れすぎてしまい夜の睡眠に影響がでてくることがあります。ほかにも、保育園で先生が変わったり、仲の良いクラスメイトが休みだった場合に、子どもの心は不安定になることがあります。このように、赤ちゃんや子どもにとって、大きすぎる刺激はストレスになり、癇癪をおこしたり、夜泣きをしたり、夜うまく寝付けなくなってしまうことがあるのです。新しい経験はどんどんしたほうがいいのですが、育児者が赤ちゃんの月齢や子どもの年齢ごとの成長を理解しておかないと、こういったことがおこる場合があります」
乳幼児突然死症候群のリスク回避には「同じ部屋で違う寝床」が安全
睡眠の土台・基盤である5項目(ファウンデーション)のうち、睡眠環境を整えるだけでよく眠るようになる赤ちゃんも多いのだとか。
では、理想的な睡眠環境とはどのような条件なのでしょうか。
「米国小児学会が一番安全だとしているのは、同じ部屋で違う寝床。つまり、育児者(母親・父親)のベッドの隣りにベビーベッドを置くかたちが理想です。日本のSIDSの研究でも、同部屋で寝ても添い寝はしない、やわらかい敷布団には寝かさない、うつぶせ寝にさせないなどの予防策がさけばれていますが、まだ、そのような知識が欧米ほど浸透していないようです。ですので、赤ちゃんの顔をふさいでしまうような、シーツがはみ出ていないか、枕を使っていないかを私のコンサルテーションでも確認してもらうようにしています。さらに、赤ちゃんの特性に合わせた眠りの環境づくりをしてもらうようにも指導しています。例えば、ちょっとした音で起きてしまう赤ちゃんにはホワイトノイズ(テレビの砂嵐などのザーッという一定音)をつけ、光に敏感な赤ちゃんは、カーテンのすき間の光にも反応して起きてしまうので、遮光カーテンをつけて、光が入らないようにするのがベスト。温度は大人がちょっと肌寒く感じる18~22℃がいいでしょう」
こうした環境や生活のことはもちろんですが、コンサルテーションではお互いの信頼関係を築きながら徐々に母親や父親などの育児者のことにもふれるそうです。
「赤ちゃんの眠りと関係なさそうに思われるかもしれませんが、育児者(母親・父親)の育ち方や自分の親へのトラウマがないかも確認します。また、母親の睡眠状態や妊娠・出産経験のことも聞いて、赤ちゃんの睡眠の悩みの原因を探っていきます。実は、そういったことも赤ちゃんの睡眠の悩みに関係していることもあります」
寝かしつけの習慣を変えるときには赤ちゃんは泣くということも知っておこう
ねんねトレーニングと聞くと、赤ちゃんをたくさん泣かせるというイメージを持つ方も多いでしょう。この「泣かせる」トレーニング方法に抵抗を感じるお母さんもまた多いと思います。
「いままでやってきた寝かしつけの習慣を変えるときには、赤ちゃんは抵抗して泣きます。でも上記のファウンデーションがきちんと整っていれば、この“泣き”は心配しないといけない泣きではなく感情の表現。たとえば大人も、枕で寝ていたのに夜中いきなり枕がなくなっていたら『あれ? 枕どこだろう?』って探しますよね。もちろんそのまま寝てしまう人もいるかもしれませんが、多くの方は枕を探し元通りに戻してまた眠ると思います。赤ちゃんも一緒で、寝かし付けの際におっぱいをあげて完全に寝落ちをしている場合、夜中目を覚ましたときに「おっぱいがない!なんで?!」と思い、まだ言葉で伝えることもできず不安で泣くんです。これを理解してあげるだけでも、“泣き”に対して怖さがなくなるのではないでしょうか」
きっちり育児は自分を苦しめる。育児には答えがないんです!
アメリカ人をはじめ、世界中からの赤ちゃんの睡眠についての悩みに対応する愛波さん。なかでも日本人は「とてもまじめ」と感じることがあるといいます。
「スケジュールを聞くと『朝9時39分に起きて、夜22時2分に寝ました』と報告をいただくことがあります。こんなにきっちり育児をしていたら、パンクしてしまいますよね。このような場合、お母さんがどうすればリラックスできるのか、ということを最初に考えます」
こうしたまじめすぎる一面は、日本人向けの資格取得コースの講師をしていても見受けられるそう。
「課題を出すと、『模範解答がほしい』といわれます。そうしないと不安になるという人が多いですね。睡眠問題を改善していくうえで、赤ちゃんの睡眠環境を整えるのに大切な土台や基盤はありますが、〇か×といったはっきりとした正解はありません。その家庭の育児法や子どもの性格にあった改善策を自ら探り、考え、導き出していくことが大切です。課題は自分で考える力を培って頂きたいため模範解答をあえて渡していません。そうすると、みなさん本当によく考え、あらゆる情報の中からベストな回答を出してきます。
次回は、月齢で変化していく子どもの睡眠についてご紹介します。(第4回へ続きます)
撮影/福村美奈 取材・文/木村亜紀子

愛波 文さん
子どもの睡眠コンサルタント
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