神崎 恵さん 「結婚ってどれだけ相手を大切に思っても『消えてほしい』と『いてくれてよかった』の繰り返し」【Comoロングインタビュー3】

神崎 恵さん 「結婚ってどれだけ相手を大切に思っても『消えてほしい』と『いてくれてよかった』の繰り返し」【Comoロングインタビュー3】

連載 Comoロングインタビュー神崎恵さん

ママでもあり、人気美容家でもある神埼 恵さん。元Comoモデルの彼女が『Como』1万字インタビューで初めて明かす“本当の素顔” ――美容家としてのキャリアをスタートさせた『Como』誌面でこそ語れた、ママとして・美容家としてのストーリーです。


ロングインタビュー最終回です。第一回のお話はこちら、第二回はこちら

この結婚は、衝突事故だったんじゃないかなって(笑)

――累計100万部を売り上げる『神崎恵本』の魅力って、客観的にどう分析していますか?

「みんなの生活の延長線上にあるものでありたいんです。私自身、おしゃれすぎるものもすごく好きだし、主人(ヘア&メイクアップアーティストの河北裕介氏)のメイクだって好きだし、モード誌も好き。だけど手元に残して何度も読みたいなと思う本は、自分の生き方と重なってるものなんですよね。それもあって、背伸びせず等身大で――と思ってる。みんながみんなおしゃれでモードな暮らしやリッチな生活しているわけでもないし。そこはこれからも絶対にブレないと思います。私の美容もそうなんですけど、全然完ぺきではないんですよ。メイクマニアな人からしたらもの足りないと思われるかもしれないけど、だれもが毎日きちんとスキンケアできるかといったら難しいでしょう? そういう意味では、私は常にリアルでいたいんです。『私と神崎恵ってそんなに変わらないよね?』って思うような距離感でいたい。もしくは神崎恵より私のほうが可愛いし、っていうくらいの距離」

――著書の写真一枚にしても、それを体現しているわけですね。

「実は、実際に私が表に立つことは重要ではないんです。だからモデルさんにお願いしたこともあるんですけど、手の角度ひとつ、髪のニュアンスひとつをどれだけ説明しても、完ぺきに表現するのは難しくて――。私が発信することなので、結局、私がいちばん適格。いわば、表に出ているときの私は、著者である私の"操り人形"みたいなものなんです」

――その分析力やセルフプロデュース能力も成功の秘訣ですね。実際は言うほど簡単なことではなかったでしょうし、だれでもできることじゃない。

「不平等であることも、楽しては目指すところまでたどり着けないよってことも、昔から感じてきたこと。悩ましい女性の性で、自分が持ってないものを見るとうらやましいって思うし、心のバランスがくずれているときはねたましいなとも思うし。けど、『私は大丈夫。だって書けるから』と思うと、ちょっと救われる気がしたり――。美容も、生き方についてもそうですが、いまだに後悔することもたくさんあるんです」

――たとえば、どんな後悔?

「仕事が忙しくなり出して、ここが勝負時だと思って、毎日朝から晩まで家をあけていた時期があって。本当に子どもたちには寂しい思いをさせてしまっていたのに、毎朝、実家の門まで出てきて見送ってくれて。私の車が見えなくなるまでずーっと大きく手を振っていて――。あの2人の顔を思い出すと、いまだに泣けてきちゃいますね――」

――母であり、父親としても生きなきゃいけない状況だった。シングルマザーの人たちはきっとみんなそうですよね。

「ホントに、『こんな思いをさせてるんだから絶対にお金を持って帰ってこよう』って思ってた。『これは遊びじゃない』って。それは今も思います。お金がすべてではないけど、結局、幸せの中にお金って含まれるから――。あの時の彼らの顔を思い浮かべながら踏ん張ることは今も多いです。ときどき、『モテる~』なんて原稿を書いてると、それって母親としてどうなの? ってふと思ったり、いろんな矛盾とせめぎ合いながら(笑)」

――ちなみに、母親と父親の役割の折り合いをつけるときって、どうしてますか?

「基本的に、愚痴の何割かは自分で解決できる。自分がこうなりたいと決めて実践に移すかどうかだなと。でもそっちのほうが大変だし面倒くさいから、みんないろいろと理由づけをして自分をあきらめさせるほうに動くじゃないですか。私はそれをしないんです。あきらめる選択じゃなくて『そのためにはどうする?』って、もうひとりの自分と脳内会議するんですよ。そうすると、こうしたらいいんじゃない? ってものが見えてくる。それはしょっちゅうしていて、そうしてると落ち込む暇もないの」

――素朴な疑問ですが、なぜ再婚を決めたんですか? 仕事が成功して、もっとやりたいこともあるとしたら……夫の存在って、ときに邪魔じゃないですか?(笑)

「ですよね(笑)。正直、そこは想定外でした。今の旦那さんと出会う前に、実はずっと支えてきてくれたパートナーもいたんですけど、結婚はぜんぜん考えてなかったので――。しかも、初対面はお互いに大嫌いだったんですよ(笑)。だから、お互いに衝突事故だったんじゃないかなって」

――お互いに美容関係の仕事同士という部分では、どうですか?

「いい意味での相乗効果もありますけど、それが逆に苦しいときもありますね。私を奥さんではなく、同業者のように見ているなって感じるときもあって。『なんでそんな意地悪なこと言うんだろう』って思ったり、逆に私も仕事のときは男だから『コイツ!』って思われてるときもあるだろうし。何度も"殺し合い"をしてきて、家庭の中に男が2人いちゃいけないんだってこともわかった。なので今は、ときに女になる努力をしてます(笑)。でも結婚って、どれだけ相手を大切に思っていても、『消えてほしい』と『いてくれてよかった』の繰り返しなんだなあって――。これが正常なのかも、って思ったり」

――なんだかすごく客観的(笑)。

「基本的に、結婚は自然とうまくいくものじゃないと思ってるの。だって違う生き物が共存すること自体難しいことで、続くことのほうが奇跡かなと。だからこそ続けるための歩み寄りや努力も必要。それと並行して自分で選択できる術は常に持ちつつ、ですけどね」

――いつでも自立して生きていけるスタンスでいたいと。いわば"神崎恵商店"は、生涯オープンさせ続けていくということですよね。

「そう。それは自分のためでもあるし、子どもたちのためでもあるから。最初の離婚で懲りたんです。弁護士さんにも言われたの。『自分の身は自分で守っていかなきゃいけないんだよ』って。結局、法律でも弁護士でも守れない、と――それが現実。主婦業って本当に大変で、毎日くたくたになっても、いつでも動き出せる瞬発力みたいなものは蓄えていたほうがいいと思う」

――何かしたいと思ったときでも、その気持ちの余力が必要ですもんね。

「そうなんです。もしも今の自分に違和感を感じたり迷っている人がいるなら、"所有物"にならないでほしいと思ってます。私は所有物だったときがいちばん苦しかったから。あのころの私のように、少しでも違和感を感じてるなら、何かを変える"微調整"を早く始めたほうがいい。その答えが離婚とは限らないし、動き出すことで丸くおさまる場合もあるかもしれないし。違和感を放っておかないで、その理由を分析して解消していけるようになると、きっとすごくラクになれると思う――。24時間フルタイムの主婦業って、本当に大変じゃないですか。でも、それをこなせてるなら、動き出す準備だってできる! 私、おとぎ話は信じないんです。地に足の着いた人生を自分で一歩一歩、選んで歩んでいきたいから」

撮影/青柳理都子

出典 :Como2017年夏秋号※情報は掲載時のものです

この連載について

Comoロングインタビュー神崎恵さん

美容界に彗星のごとく現れ、次々と常識をくつがえしてきたスーパーママ・神崎 恵さん。元Comoモデルの彼女が『Como』1万字インタビューで初めて明かす“本当の素顔” ――そこから見えてきたのは、著書からうかがえるようなふわっと愛らしい女性像とは明らかに異なるある種、男性的ともいえる力強くしなやかな生きざまでした。美容家としてのキャリアをスタートさせた『Como』誌面だからこそ語れた、ママとして・美容家としてのストーリーです。

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