井上和香さん イライラして落ち込んで反省して。これまで「母」をやってきている自分に驚きです~mama’s LIFE Vol.4 第4回~

井上和香さん イライラして落ち込んで反省して。これまで「母」をやってきている自分に驚きです~mama’s LIFE Vol.4 第4回~

連載 MAMA'S LIFE Vol.4〜井上和香さん〜

2012年に結婚し、2014年にはじめての出産を経験。それから1年半、戸惑い、悩み、苦しみながら、だんだんと「母」になってきたという井上和香さん。全4回にわたるロングインタビューの最終回は、そんな「母としての自分」についてお話いただきました。日ごろの育児に関するリアルトークもまじえてお届けします!

イライラしたらひと呼吸。寝室のふとんにくるまって叫んでスッキリ!

現在1才半になる女の子の子育て&仕事で慌ただしい毎日を送る井上さん。朝は保育園まで自転車で送り、夕方は駅前の駐輪場からダッシュでお迎え。女優・タレントさんというと「シッターさんがお世話を手伝ってくれている」なんてイメージもありますが、井上さんは送り迎えもご自身でするのが基本。また職業柄、不規則な時間帯でのお仕事も多く、育児との両立は予想以上に大変だといいます。そんな毎日を支えているのはやはり子どもへの愛。「かわいくて仕方がない」と、おだやかな表情で語る井上さんですが、最近は育児でちょっと困っていることもあるとか。

「このごろ、娘は思い通りにいかないことがあると、怒ってテーブルの上にあるものを床に落とすんです。そのたびに『物を投げたらいけないんだよ』と教えるのですが、何回も同じことが続くとつい私もイライラが募ってしまい、『はぁぁぁぁぁっ!』と大きな声でため息をついてしまうこともあります。そのあと娘の散らかしたものを無表情、無言で片づけながら『こんなに弱い存在の子どもに、どうしてイライラするの?』って今度は自分が情けなくなってしまって。はたから見たらきっと、心の狭い母親のように映るんだろうなと考えて落ち込んでしまいます。こんなふうに、イライラしては『なんて私は器が小さいんだろう……』と後悔することの繰り返しです」

とはいえいつでも平常心でいられないのが育児。ママ自身が疲れていたり、心配なことがあったりすると、どうしても感情的になることだってあります。そんなときに井上さんが実践しているのはこんなことです。

「これは母親学級で教わったのですが、家中に響くのではないかと思うくらいの大声を出しそうになったときは、子どもが安全な場所にいること、周囲に危険なものがないことを確認してからひとりで寝室へ行き、ほんの数分だけ子どもと離れます。一回深呼吸をして布団にくるまり、『うわぁぁぁ!』って叫んでガス抜き(笑)。スッキリしたら娘のところへ戻り『さっきはごめんね、お母さんも頑張るね』って謝るようにしています」

妊娠中は絶対無理だと思っていた「早起き」。自然とできている自分にビックリ!

朝起きた瞬間から、育児・家事が始まるママの毎日は、ときに忍耐とのたたかい。とくに子ども中心の生活リズムでは、早起きも必須です。実は「早起きは大の苦手」だったという井上さん。妊娠している間に先輩ママから聞いた産後の生活を自分ができるのか、まったく自信がなかったそうです。

「『子どものお弁当を作るために朝早く起きる』とか周囲のママから聞いていて、絶対に無理だと思っていたんです。でも今は、保育園の登園時間から逆算して朝は6時に起き、8時すぎには保育園に連れて行き、そのあと仕事へ行き、という一連のことができている自分に驚いています(笑)。朝目覚めたらすぐ全開モードで動いているし、今朝一番初めにしたことは、冷凍してあったごはんを電子レンジで温めること! 温めたあと少し冷まさないと娘は食べられないので、冷める時間を計算してのことなんですけどね。

自分のことをあと回しにしても苦じゃないし、自分の洋服は買わなくても、娘のものはすぐに買ってあげたくなってしまう。娘が世界一かわいいと思っているし、この子がいなかったら私は生きていけないと素直に思うんです。気づいたら『母』になっているんだなって」

ある日突然できあがるのではなく、子どもの成長とともに、少しずつ、少しずつ確立していく親子の生活スタイル。お世話の仕方もふくめ、それは自然にできていくものだと井上さんは考えています。

「まだ娘が生まれたばかりのころ、先輩ママから『なるようになるよ!』とアドバイスをいただいたことがあったのですが、『何とかなるって答えは、何のアドバイスにもなっていない』ってそのとき思っていたんですね(笑)。でも今、もし新米ママさんから育児について相談されたら、きっと同じことを言ってしまうと思います。なんとかなるし、できちゃうんですよね、なぜか」

子どもに関する事件には、母親として複雑な気持ちに……

子を持つ親として、耳をふさぎたくなるような幼児虐待に関するニュース。「もちろん絶対に虐待はいけないこと」と思う一方で、母になった今は、そのとき虐待をしてしまった親の状況、気持ちを想像するようになったそう。

「出産するまでは幼児虐待のニュースなどを見ると『ありえない、最低!』って思っていたんです。そんなの母親じゃない、そもそも母親にならないで、くらいに考えていました。でも子どもを産んでからは、一概にその人たちを責められないのかも……と考えに変化が生まれました。もちろん虐待は絶対にダメです。する・しないの一線を越えるのとそうでないのでは、まったく違います。ただ、『誰かが話を聞いてあげていたら、防げたんじゃないか』と思うと、非難するよりも悲しくなってしまうし、涙が出てきて心が苦しくなります。孤独で、誰にも頼ることができずに育児をしていたら、誰でもそうなる可能性はあると思うので、決して他人事ではないですよね。だからこそ、自分がつらくなったときは誰かに話をしようと思っているし、不満や不安をためすぎてはいけないと思っています」

仕事をしていることで心のバランスがとれ、育児に対して前向きでいられる

産後半年で仕事を再開してからは、「忙しいけれど、育児に対しては心の余裕ができた」といい、うまくバランスがとれていると感じる育児ライフ。仕事をすることで育児が楽しくできる、育児をすることで仕事にいい影響を与えている、そんないいサイクルができあがっているようです。

「仕事に復帰したことは、本当によかったと思っています。お母さんと離れてしまってかわいそうかなと思ったこともありましたが、今や娘は保育園で自分の世界を作っていて、それを楽しんでいます。それはすごく大切なこと。そして私は、仕事中に娘と離れていることで、ますます娘がかわいく思えるんです。保育園へお迎えに行くときが何よりも楽しくて、私の姿を見つけたとたん、満面の笑みで一生懸命私に向かってくる姿を見ると、愛おしくて愛おしくて。

母親になってから、よく『顔つきが変わったね。やわらかくなったね』と言われるんです。最近仲良くなった方からは『意外と気さくなんですね』なんて言われたりもします。『これまではどんな印象だったの?』と心配にもなりますけど(笑)、出産前と今では、自分では気づかない『いい変化』が起きたんだろうなと思います。その変化をふまえ、今後自分がどんなお芝居をしていくんだろうって、ワクワクする気持ちもありますね」

撮影/瀬津貴裕(biswa.) ヘア&メイク/シバタロウ(p-cott) スタイリング/岡田紗季(Linx) 取材・文/長澤幸代


PROFILE
井上和香さん
1980 年5月13日生まれ。2002年にデビューし、2003年「第41回ゴールデン・アロー賞、グラフ賞」を受賞。2004年より女優としての活動を開始し、ドラマを中心に、映画やCM、舞台など、数多くの作品に出演。2012年に映画監督の飯塚健氏と結婚、2015年7月に第一子となる女の子を出産。産後もドラマやバラエティなどで活躍を続ける。
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