双子の赤ちゃん、妊娠中の過ごし方から出産までってどんな感じ? お産は必ず帝王切開なの?


有馬香織先生
日本赤十字社医療センター
双子の妊娠や出産は1人の場合とどう違うのでしょうか。妊娠中や出産時に起こりやすいマイナートラブルからリスクまで、双子の出産に多く携わる医師にお話を聞きました。双子を出産した先輩ママの体験談も必見です!
リスク回避のためにもこまめな健診を心がけて
双子の妊娠中いちばん大事にしてほしいのが健診です。とくに双子の場合、症状がないから大丈夫と思っていても、おなかの赤ちゃんの発育状態はきちんと検査してみないとわからないことが多いもの。また、自覚がない間に子宮口が開いてしまい、早産になってしまうということもあります。元気な双子ちゃんを産むためにも、きちんと健診を受けましょう。
Q.「一卵性」と「二卵性」はどう違う?
A.遺伝子が同じか、別々かの違い 二卵性は、まったく別々の2つの受精卵が同時に育つもので、DNAは別々。性別や血液型が異なる場合もあります。一方、一卵性は1つの受精卵が分裂して2つになるため、DNAは同じ。性別や血液型も同じです。ちなみに、自然妊娠の場合は一卵性のほうが多いのですが、最近は不妊治療による二卵性の赤ちゃんが増えてきているため、全体的に見ると二卵性も多くなってきています。
Q.双子を妊娠したことはいつごろからわかる?
A.二卵性なら妊娠がわかったと同時に判明 妊娠5週ごろには、子宮の中に胎嚢が2つあることがわかり、双子と判明します。ただしこれは、赤ちゃんがそれぞれ羊膜と絨毛膜に包まれている「二絨毛膜二羊膜(DD)」の場合。二卵性はすべて、一卵性は4分の1がこのケースです。一卵性の4分の3は絨毛膜は1枚ですが、羊膜でのみ分けられる「一絨毛膜二羊膜(MD)」と、まれに羊膜も1枚の「一絨毛膜一羊膜(MM)」があります。これらの違いによって、経過観察も異なってきます。
<mama’s voice>
●わずか1%しかいない一絨毛膜一羊膜の双子でした 双子の妊娠がわかったと同時に「一絨毛膜一羊膜」と判明。無事に健康で生まれる確率は30%といわれました。それでも絶対に産むと決め、大きな病院に転院。週に1回の健診、ひどいつわりになんとか耐えながら過ごし、23週からは管理入院がスタート。絶対安静の24時間の点滴生活を3カ月間乗り越えて、33週と5日で帝王切開で出産! 本当に奇跡の双子です。(Yさん・Hちゃん&Aちゃん)
Q.体重管理はどのように気をつけるべき?
A.双子だからといって無理に食べすぎないで 基本的に1人の赤ちゃんを妊娠するときと同じでOK。10~12㎏増ぐらいを目安にしましょう。2人分だからといって、たくさんがんばって食べる必要はありません。体重が増えすぎて、むくみやすくなってしまいます。また、多胎妊娠の場合は、貧血になりやすいので、鉄分やビタミンをたっぷりとって、量よりも質を大切にしましょう。 [ページ区切り]
Q.ママやおなかの赤ちゃんに何かリスクがある?
A.切迫流産や切迫早産のリスクが高まります 双子の場合、切迫流産や切迫早産、妊娠高血圧症候群になるリスクが高くなります。おなかの赤ちゃんの発育が悪くなったり、片方の赤ちゃんが子宮内に吸収されてしまうケースも。また、一卵性の場合、まれに「双胎間輸血症候群」といって、胎盤に血液のバイパスができ、1人の赤ちゃんからもう1人の赤ちゃんへ血液が移ってしまい、発育に差が出てしまうことも。レーザーによる手術も可能ですが、いずれにしても健診で早期発見することがリスクを減らすカギです。
<双子ママにアンケート>
切迫流産や切迫早産になったことがある? YES……50% NO……50% ・車の免許更新の講習中に意識を失い同時に少量の破水。切迫早産で緊急入院に!(Aさん) ・19週で切迫流産になり自宅安静に。32週には早産で入院。絶対安静でした。(Mさん)
Q.お産は必ず帝王切開になるの?
A.リスクが高くなければ経膣分娩も可能 当院の場合、4割近くは経膣分娩で出産しています。まれに双子のうち1人目は経膣分娩、2人目は帝王切開というケースも。また、子宮口に近いほうにいる赤ちゃんが逆子の場合は帝王切開になることが多いです。母子ともに健康でリスクが高くなければ、経膣分娩も可能ですが、病院によっては、帝王切開のみというところも。
Q.管理入院はしなくてはいけないもの?
A.問題なければ入院しないケースも 管理入院をするかしないかは、医師の判断によって違います。30週ごろに必ず入院する場合もあれば、経過に問題がなければお産まで入院しない場合も。ただ、多胎妊娠は早産になりやすいので、健診の際にそのまま入院することになったというケースも、働いている方は、早めに仕事を引き継いでおいたり、できれば産休も早めにとっておいたほうが安心です。出産準備も早めにすませておきましょう。
Q.双子を妊娠するとマイナートラブルは増える?
A.個人差はありますが、早めの対処で乗り切って 個人差はありますが、おなかが大きくなるのでむくみやすくなる人が多いです。妊娠線もできやすいので、早めにマッサージをしておくとよいでしょう。また、おなかが張りやすいので、早産を防ぐためにも気づいたらすぐに安静にし、リラックスを心がけて。
<mama’s voice>
●つわり、便秘、貧血……。トラブル続きでした 妊娠がわかってすぐにつわりが始まり、1週間で3㎏減。最終的には7.5㎏もやせてしまい、仕事を一時休職、復帰後も昼休憩中に点滴しながら働きました。そのほか、便秘薬を飲んだり、貧血予防に鉄剤を飲んだり。つわりもいったん落ち着いたと思ったら後期づわりに……フルコースでした!(Eさん・Aちゃん&Yちゃん) ●中期ごろに下肢静脈瘤に! 弾性ソックスを即購入 双子は早産などのトラブルが多いと聞いていたので、初期から食生活(とくに塩分)に気をつけていました。ところが、中期ごろにむくみが悪化し、下肢静脈瘤に! 妊娠中は治らないといわれ、マタニティ用の弾性ソックスを買い、常にはいていました。(Eさん・Mちゃん&Rちゃん) ●貧血で倒れて救急車に! 妊娠悪阻で10日間入院も 妊娠中は、栄養も酸素も血液もすべて私+2人分必要。仕事中に貧血で倒れて救急車で運ばれたり、妊娠悪阻で入院したりと大変でした。しかもどうしても休めない仕事があり、入院10日間で退院。正直、お産よりも妊娠中のほうがつらかったです。

有馬香織先生
日本赤十字社医療センター
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