おむつなし育児ってトイレトレーニングとどう違うの?

コラム 公開日:2016/10/10
おむつなし育児ってトイレトレーニングとどう違うの?

「おむつなし育児」は、ひと言で言えば、「おむつの中でおしっこやうんちをすることを当たり前にしない育児法」です。トイレトレーニングとは違って、新生児からもはじめてもいいし、1才台でも2才台でもOK! ではこの2つはどう違うのでしょうか?

おむつなし育児って?

赤ちゃんの「おしっこをしたい」「うんちが出そう」という気配やタイミングに気づいて、お母さんや周囲の大人が手助けしてあげようというのが、おむつなし育児の基本です。おむつをまったく使わないことが「おむつなし育児」ではありません。

大人がパンツのなかで用を足さないように、赤ちゃんも実はおむつの中にはしたくない!?

赤ちゃんが泣いたり、ちょっとぐずったりしたので、「おしっこかな」と思っておむつをはずしてみたら、その途端におしっこをしたということは、赤ちゃんを育てたことがある人なら、誰もが経験していることでしょう。赤ちゃんも、おむつという、おまたにぴったりくっついたものに排泄するのではなく、「何もない空間」に向けて排泄することを本当は望んでいるのではないでしょうか。
これまでは、おしっこをしたりうんちをしたりしておむつが汚れて気持ちが悪いからぐずっている……と大人は思っていました。しかし、どうもそうではなさそうです。
赤ちゃんにも、おしっこをしたい、うんちが出そう、という感覚があるようなのです。おそらく大人と同じように、膀胱が張ったり、おなかがごろごろしたりという感じが赤ちゃんにもあって、それでむずかっているのかもしれません。そのむずかりを大人が尿意や便意の合図と受け取って、赤ちゃんをおまるやトイレにささげて(だっこして排泄しやすい体勢にすること)あげたら、赤ちゃんはおむつが汚れて気持ちの悪い思いをしなくてすみます。
大人だけでなく、赤ちゃんだって、きっと、またがふさがれたままおしっこやうんちをすることは気持ちが悪くて嫌なのです。考えてみれば当たり前のこと。そのことへの気づきが、おむつなし育児について考えることにつながりました。

小さな赤ちゃんでも、自分で排泄のタイミングをお母さんに教えてくれる

赤ちゃんは「おしっこがしたい」「うんちが出そう」と泣いたりむずかったりして、私たち大人に伝えようとしていることもある。それに気づかず、いつもおむつの中でおしっこやうんちをさせることは、実は赤ちゃんに不本意なことを強いているのかもしれません。それでも赤ちゃんは順応性があってやさしいので、「ああ、うちのお母さん、忙しいしな」とか、大人の都合をおそらくはわかってくれて、その気持ちの悪さに慣れ、だんだんと、おむつの中でおしっこやうんちをすることを習慣にしていくのではないでしょうか。

トイレトレーニングとどう違うの?

おむつなし育児は、早期のおむつはずしだけをねらったものではありません。実は、おむつがはずれるかどうかは問題ではありません。トイレトレーニングは、子どもが「おしっこをしたい」と感じて、自分の意思でトイレでおしっこをするという一連の動作ができること。つまり、「排泄の自立」ができるように親が教えることをさしています。ですから、「おむつをはずす」という意味ではおむつなし育児もトイレトレーニングの一種といえるでしょう。

挑戦しておくと、入園準備のトイレトレーニングがスムーズになる!?

「排泄の自立」をめざすトイレトレーニングでは、子どもが尿意や便意を自覚してトイレまで行き、自分でパンツを下ろして便座に座って排泄をするという一連の動作ができるような体の機能が備わっていることを必要とします。こういったことが全部できるのはだいたい2才くらいから。ですから、「2才になったからそろそろ」とか、「幼稚園入園だから」などのきっかけでトイレトレーニングをスタートすることが多いのでしょう。

赤ちゃん時代の「おむつなし育児」は、トイレトレーニングの予行練習になっているというメリットも

しかし、いままで一度もおむつの外で排泄することを経験していなかった子どもは、急におむつをはずされるととまどうと思います。これまではおむつでおしっこやうんちをしていたのに、おしりが解放された状態で排泄することに不安感をいだくかもしれません。せっかくおむつの中ですることに慣れているのに、急におしりを出したスースーした状態で「おしっこしてごらん」と言われて、まったく新しい習慣を身につけなくてはならない。子どものとまどいはもっともなことです。2才や3才では子どもも意思をはっきりあらわすことができますから、完全におむつがとれるまでに親子でたいへんな思いをすることがあるというのも、こういう理由なのでしょう。
おむつなし育児では、生まれたときから、うんちやおしっこをおむつの外ですることが当たり前なので、トイレで排泄することは新しい体験にはなりません。急に、いまからおむつをはずしますよ、トイレトレーニングを始めるよ、という境界線がないのです。

お話/
津田塾大学国際関係学科教授
三砂ちづる先生
京都薬科大学卒業。ロンドン大学Ph.D.(疫学)。専門は疫学、母子保健。
イラスト/植木美江
出典:五感を育てる おむつなし育児
※情報は掲載時のものです。

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