「帝王切開で産んだからいい母親になれない」情報不足、周囲の無理解で苦しむママ

コラム 公開日:2016/02/27
「帝王切開で産んだからいい母親になれない」情報不足、周囲の無理解で苦しむママ

「陣痛に何時間も耐えたあとの感動の瞬間」「夫の立ち会いで手を握られながら」。多くのプレママは、そんなお産を想像して心の準備をします。しかし思い描いた出産ができなかった結果、産後も自分のお産を受け入れられないママたちもいます。

「帝王切開で出産したママたちは、周囲からの心ない言葉や帝王切開自体への無理解に苦しんだり、経膣分娩できなかったことで自分を責め続けることもあります」と帝王切開カウンセラーの細田恭子さんは言います。そんな声に寄り添ってきた細田さんに、帝王切開で産んだママたちがこれ以上苦しまないようにするため、ママ自身が意識すべきことを聞いてみました。

「はなす」ことで何を解決すればいいのかが見えてくる

「私が開催している『帝王切開ママの会(お産の振り返り)』では『産みかたより育て方が一番大切ですよ』と言っています。たとえ思ったような出産ができなかったとしても、そこで立ち止まらず、育て方に意識を向けていくことで、ママたちの気持ちがだんだん軽くなっていくと感じています。

大事なのは『はなす』ことです。誰かに『話す』、ノートに書いたり言葉にして気持ちを『放す』ことで、自分の心が客観的に見られるようになります。『どうしてこんなにつらいのか』『何がイヤなのか』と冷静に考えられるので、原因がハッキリしてきます。原因がわかればそこを解決すればいいんです。そうして少しずつモヤモヤした気持ちから解放されていくことが表情でわかります」

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「帝王切開ママの会(お産の振り返り)」では、ときにママたちがおなかの傷を見せ合うことも。笑っている人、泣いている人、いろいろなママを見て「同じ帝王切開でもいろいろな状況やパターンがある」と知り、「自分だけじゃないんだ」と心が軽くなるケースもあるそう。

間違った情報に惑わされないこと。ママたちは情報の仕分け力をつけて

今のママたちが忘れてはいけないのが「情報を仕分ける力」だと細田さんは言います。

「帝王切開に関しては妊娠中に学ぶ機会が少なく、緊急帝王切開になった場合はとくに、医師や看護師に疑問をぶつけにくいこともあります。自然分娩に関しては妊娠中から勉強していても、帝王切開は何も知らないということは多々あり、出産から退院、その後の生活に対する不安が解決しないまま育児生活をスタートさせているケースは珍しくありません。

そういったママたちが頼ってしまうのがインターネットです。しかし『帝王切開で産むと母性が育たないらしい』など、帝王切開は『~~らしい』という根拠のない情報があふれ、ママたちはそれに振り回されてしまいがち。さらにそういった情報がインプットされていると、夜泣きを繰り返すわが子やトイレトレーニングが進まないわが子に対して、『もうイヤ!』と怒ってしまったとき、『帝王切開で産んだから、私はいい母親になれないんだ』とできないこと、気になることを帝王切開につなげてしまうようになってしまいます。

ミルクか母乳かという問題のように、母乳で育てられるのは素晴らしいけれど、じゃあミルクがダメかと言えば、そういうことではありませんよね。出産も同じで、経膣分娩じゃないからダメなんてことはないのです。問題なのは、帝王切開をしたママたちへのケア(情報)が少ないこと。もっと医療者はママたちへ情報を提供することが必要だし、女性自身も帝王切開について知っておくことが大切です。私ももっといろいろな情報を発信していきたいですね」

次回へ続きます

帝王切開をより理解するために

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「ママのための帝王切開の本」(中央法規出版)著 竹内正人 細田恭子 横手直美
医療情報・生活・メンタル・生き方など、帝王切開に関するママたちからの質問にわかりやすく回答した、本格的帝王切開ガイド。帝王切開での出産を予定しているママ、帝王切開で出産したママはもちろん、第二子を考えているママにも読んでほしい一冊です。

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お話/帝王切開カウンセラー・誕生学アドバイザー
細田恭子さん
24・22・19才のお子さんを帝王切開で出産し、その経験をもとに2000年、帝王切開情報と誕生学のサイト「くもといっしょに」を開設。現在は全国各地で帝王切開で出産したママたちのための「帝王切開ママの会(お産の振り返り)」を開催。小・中学校、高等学校では誕生学(公益社団法人 誕生学協会)講座を行うなど、「産むこと・育むこと」の大切さ幅広い世代に伝えている。
公式サイト「くもといっしょに」http://www.withkumo.org/
細田恭子さんのブログ http://ameblo.jp/withkumo/

取材・文/長澤幸代

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