自然分娩でなければお産じゃないの!? 帝王切開で産んだママの心の「傷」

コラム 公開日:2016/02/23
自然分娩でなければお産じゃないの!? 帝王切開で産んだママの心の「傷」

ママや赤ちゃんの体に何かしらの問題が生じ、経膣分娩が難しい場合に行われる「帝王切開」。厚生労働省の調査によると、2014年には妊婦の5人にひとりが帝王切開で出産し、その数は20年前にくらべ約2倍にも増加しています。しかし、帝王切開での出産や産後がどんなものなのかは、母親学級などで学ぶことも少なく、よく知られていません。

緊急帝王切開で出産、その多くが「自分の出産に満足していない」

帝王切開カウンセラーの細田恭子さんが各地で開催する「帝王切開ママの会(お産の振り返り)」は、帝王切開で出産したママたちが、出産時や産後の様子、悩みを語り合う場として2005年にスタート。これまでにたくさんのママが参加し、リピーターも多いといいます。しかしその場で発せられるのは「こんなお産じゃないはずだった」「ラクに産んだと思われているのが悔しい、悲しい」といった悲痛な言葉です。

「帝王切開には予定帝王切開と緊急帝王切開があり、ある出版社の調査によると、とくに緊急帝王切開で出産したママの8割が『自分の出産に満足していない』と回答しています。私たちは『ママは陣痛に耐えて、産道から赤ちゃんは生まれるもの』と教えられ、それを当然のこととして育ってきました。ですから、帝王切開で出産したママたちのなかには、『私だけが思うように出産できなかった』『人と同じことができなかった』と自分を責めてしまう人も少なくないのです。

助産院での出産を予定していたママからは『天国から地獄へ突き落とされました』という言葉が出てきたこともありますし、『私の体に傷をつけたこの子が憎いです』とまで思い詰めてしまっていることもあります」

お産は満足でも、産後の周囲の言葉で閉じこもる

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帝王切開も経膣分娩と同じく立派なお産なのに、どうしても帝王切開で出産したことを受け入れられない、引け目を感じてしまうママが多いのが現実です。

「お産自体は満足でも、産後に周囲からかけられた言葉によって心に傷ができるケースはとても多いんです。おばあちゃん世代から『下から産んでいないのはお産じゃない』と言われたり、実の母親から『あんたは昔から我慢強くなかったからね』とひどいことを言われた人も。ママ友からの『帝王切開なんて絶対に無理!』『(麻酔をかけられて)そっちのほうがラクそう。私も次は帝王切開がいいな』など、決して言った本人に悪気はないのだけれど、そんな言葉で傷が深くなることもあります。

たとえば、産後の母子向けのセミナーなどでも、講師が『まずはお産の話をしましょう。みなさん陣痛はどのような感じでしたか?』と聞いたりすることもあるのですが、帝王切開で出産したママのなかには、陣痛を経験していない人も多く、『お産の話』と言われただけで暗い気持ちになってしまう人もいます。帝王切開で出産するケースは年々増えているのに、まだ『少数派』と放置されてしまうことが多く、帝王切開への無理解や情報の少なさや、初めての手術への不安や孤独もママたちを追い込んでいる原因のひとつだと思っています」

次回へ続きます

帝王切開をより理解するために

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「ママのための帝王切開の本」(中央法規出版)著 竹内正人 細田恭子 横手直美
医療情報・生活・メンタル・生き方など、帝王切開に関するママたちからの質問にわかりやすく回答した、本格的帝王切開ガイド。帝王切開での出産を予定しているママ、帝王切開で出産したママはもちろん、第二子を考えているママにも読んでほしい一冊です。

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お話/帝王切開カウンセラー・誕生学アドバイザー
細田恭子さん
24・22・19才のお子さんを帝王切開で出産し、その経験をもとに2000年、帝王切開情報と誕生学のサイト「くもといっしょに」を開設。現在は全国各地で帝王切開で出産したママたちのための「帝王切開ママの会(お産の振り返り)」を開催。小・中学校、高等学校では誕生学(公益社団法人 誕生学協会)講座を行うなど、「産むこと・育むこと」の大切さ幅広い世代に伝えている。
公式サイト「くもといっしょに」http://www.withkumo.org/
細田恭子さんのブログ http://ameblo.jp/withkumo/

取材・文/長澤幸代

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