不妊の原因について考える【週末妊活のすすめ】

コラム 公開日:2015/12/31
不妊の原因について考える【週末妊活のすすめ】

妊娠を妨げる原因は大きく3つあります。①卵子が育たない、排卵が起こらないなどの「排卵・卵巣因子」。②卵管が詰まったり腫れたりする「卵管因子」。③精子の数が少ない、運動率が悪いなどの「男性因子」です。この3つの原因のうち、2つが女性原因のため、不妊は女性側に問題がある場合が多いと思われがちですが、じつは五分五分。代表的なものを見ていきましょう。s20151224ishibashi02

男性の場合は精子に問題があるケースがほとんど

男性不妊は決してめずしいことではありません。子どもを望む年代であれば、糖尿病患者より多いと言われています。
勃起不全(ED)、射精障害、性交障害などもありますが、男性不妊の原因のほとんどは精子の問題です。精子の数が少ない、精子の運動率が低い、正常な形態の精子の割合が少ないなどで自然妊娠をさせるのがむずかしい男性は、およそ80人にひとり。射精した精液の中に精子がまったく見当たらない「無精子症」は、100人にひとりです。
これらのことは精液検査をしなればわからないので、潜在的な男性不妊を含めると、その割合はもっと多くなるはずです。

無精子症には2種類あります

【閉塞性無精子症】

精巣内で精子は作られているものの、精子の通路がふさがっていて、精子がまったく出てこない状態です。通路の閉塞をなくす手術や、精巣から直接精子を回収→顕微授精することで、妊娠できる可能性があります。

【非閉塞性無精子症】

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①精巣内でわずかに精子が作られている場合 ②精子が作られる過程で成熟が止まっている場合 ③まったく作られていない場合があります。①②の場合は精子を作るホルモンの注射や、精巣から直接精子を回収→顕微授精することで、妊娠できる可能性があります。

女性は子宮内膜症が不妊の大きな原因のひとつに

子宮の内側を覆う内膜は、エストロゲンという女性ホルモンの働きで作られ、月経時にはがれて血液といっしょに排出されます。この子宮内膜とよく似た組織が、卵巣や腹膜にできてしまうのが子宮内膜症。月経痛を引き起こすだけでなく、卵巣の機能が低下し、卵管が詰まるなどして、不妊の原因にもなっています。

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本来、子宮の内側だけに存在するはずの子宮内膜組織が、卵巣や卵管などで発生して増殖する病気。月経のように血液を排出できず、卵巣機能を低下や、炎症による卵管の詰まりをまねき、不妊の大きな原因に。

そのほかの不妊の主な原因【男性】

勃起障害〈ED〉

SEXのときに勃起できなかったり、勃起が継続しないこと。おもに緊張やストレス、加齢が原因。血管や神経、ホルモンのトラブルで起こることも。妊活がプレッシャーで起こる「妊活ED」のケースも。

射精障害

勃起はするものの射精できないケースで、もっとも多いのが腟内で射精できない「腟内射精障害」。「早漏・遅漏」や、精液が尿道口ではなく、膀胱側に射精される「逆行性射精」のケースもあります。

精子形成障害

男性不妊の原因でもっとも多く、約9割を占めます。精子自体に異常がある「無精子症」「乏精子症」「精子死滅症」「精子無力症」「奇形精子症」などの場合と、精液の量に問題がある場合が。

精路通過障害

精子の通り路に問題があり放出できないこと。精液が膀胱に流れこんでしまう「逆行性射精」や、子どものころの鼠径ヘルニアの手術の後遺症、精管炎で、精管のどこかが詰まっているケースも。

そのほかの不妊の主な原因【女性】

排卵障害

卵子が育たない、排卵しにくい、排卵しないなど。妊娠にかかわるホルモンがうまく分泌されていないのが原因の一つ。卵巣機能不全、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、高プロラクチン血症、黄体機能不全なども排卵障害の一因に。

卵管狭窄・卵管閉塞
卵管は、卵巣から排卵した卵子をとり込み、子宮へと運ぶ細い器管。詰まっていたり、細くなっていると、精子と出会えなかったり、受精卵を子宮に運ぶことができない。

子宮内膜症・子宮筋腫など
子宮内膜の組織が子宮以外の場所で増殖する子宮内膜症は、卵巣機能を低下させたり、炎症によって卵管が詰まることが。子宮筋腫は子宮の筋肉にできる良性のこぶで、発生する場所によっては受精卵の着床をさまたげることが。

子宮頸管の異常
子宮頸管は、子宮の入り口と腟をつなぐ細い管の部分。排卵時期になると、精子が子宮に上昇しやすいように粘液をたくさん分泌するが、量が足りないと精子が子宮に入りにくい。

原因がわからないことも多いです

なかなか妊娠に至らないために不妊治療クリニックを訪れても、すぐに原因がわかるとは限りません。異常がなかったにもかかわらず、それでも妊娠しないことを「機能性不妊」といい、むしろ、そう診断される人の方が多いくらいです。

【機能性不妊の原因としてあげられるもの】

卵管のピックアップ障害
卵巣内の卵胞から排卵された卵子が卵管の中に取り込まれないために、精子と卵子が出会えず、受精がかなわない状態です。

軽度の子宮内膜症

子宮内膜症は不妊症の大きな原因のひとつ。軽度の場合も不妊の原因になりますが、そのしくみはまだ解明されていません。

軽度の腹腔鏡癒着

卵管は完全に詰まっていなくても、軽度の癒着などで働きが悪く、卵子をピックアップできない=受精がかなわない状態です。

受精障害
精子と卵子が出会って受精が起こり、はじめて妊娠が成立しますが、その受精がうまくできなくなる状態です。

卵子の質が悪い
老化や代謝不良、黄体機能不全などで卵子の質が落ちていると、自然妊娠しにくくなります。

内分泌異常
ホルモンの異常によって起こる内分泌疾患の総称です。ホルモンの量が正常でなくなり、不妊につながります。

精子機能障害

精子を作る機能に問題があり、精子をうまく作れない状態です。半分以上は原因不明と言われています。

免疫異常
免疫とは自分の体を異物から守るための防護機能ですが、これが正常に働いていない状態です。不妊の原因のひとつと考えられます。

はっきりした原因がない場合は一度フーナーテストを

女性にも男性にもはっきりとした原因がない場合は、精子と子宮の相性を調べる「フーナーテスト」をおすすめします。これは、検査当日の朝や前日の夜に性交をして婦人科を受診し、膣分泌物の中の精子の状態を調べる検査。このテストを何度か試みても結果が悪く、その間妊娠もしなければ、人工授精へとステップアップする理由になります。

まとめ

不妊クリニックでの検査はハードルが高く感じるかもしれませんが、なかなか妊娠に至らない場合には、その原因を知るための第一歩になります。男性にも女性にも原因は考えられますので、ぜひご夫婦そろって検査をされることをおすすめします。s20151224ishibashi01

お話/北村クリニック
北村健先生
1998年京都大学医学部卒業。泌尿器科医師専攻。洛和会音羽病院、美杉会佐藤病院などでの勤務を経て、2014年に男性不妊・泌尿器科専門クリニック「北村クリニック」開院。大学病院などの臨床第一線にて、あらゆる泌尿器科癌手術、内視鏡手術、男性不妊症手術を行いながら、とくに男性不妊分野に力を入れ、指導・治療などで妊活カップルを応援している。
撮影/内池秀人 文/佐藤真紀 イラスト/蛯原あきら
出典:『週末妊活のすすめ-ムリなく授かる50のヒント-』
※情報は取材時のものです
 『週末妊活のすすめ』では、妊活の基本やムリなく授かるためのヒントをたっぷり紹介。ぜひ手にとってご覧ください!s20151224ishibashi02
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