妊娠中からおなかの赤ちゃんの育脳生活を始めよう

コラム
公開日:2015/10/22
更新日:2016/08/23
妊娠中からおなかの赤ちゃんの育脳生活を始めよう

妊娠中のプレママにとってはこれから生まれてくる赤ちゃん。健やかに生まれてきて欲しい!けど、さらに賢く育ってくれたら…と思いませんか。実は赤ちゃんの脳はおなかにいる頃から育てることができるようです。プレママがすぐに実践できるおなかの赤ちゃんの脳育てについて、脳科学者の成田奈緒子先生にお話を伺いました。

胎児の脳育て~妊娠初期~

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妊娠期間は、おなかの中の赤ちゃんの細胞が爆発的に増えてヒトの姿が形作られる時期です。なかでも妊娠初期は、半日単位で体のさまざまな部分が形成されていく大事な時期。だからこそ先生は、「究極の”胎教”は、可能なかぎりすくすくと脳細胞を増やしてあげること」だと強調します。

人間の脳には約200億ともいわれる神経細胞があり、胎児期に大人と同じ数だけつくられます。でも、タバコやお酒、ストレスなどの外的要因が、その生成を妨げる可能性があるのだそうです。「たとえば、『癒やしのホルモン』と呼ばれるセロトニンは、不安感や恐怖心を抑え、感情を安定させる重要な脳内ホルモンです。この分泌にかかわるセロトニン神経は、妊娠のごく初期につくられます。お酒やタバコがやめられないでいるママ、パパは、今すぐやめましょう。それも大事な”胎教”なのです」。

ママのストレスもセロトニン神経の生成を妨げる可能性が高いそうです。「ストレスをゼロにするのはむずかしいけれど、できるだけ夫婦仲良く、リラックスして妊娠初期を過ごしてください。ママの食事も大切です。つわりも起こると思いますが、少しずつでいいので、バランスよく食べるように心がけてください」

胎児の脳育て~妊娠中期~

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妊娠中期になったら「脳育て」も意識的にスタートしたいもの。成田先生は「胎児期から5才くらいまでは、動物としての脳(古い脳)をちゃんと育ててください」と言います。古い脳は脳の基礎部分なので、ここがしっかり育たないと、知識や学習をいくら詰めようとしても不安定になってしまいます。「動物として正しく育てる第一歩は、生活リズムを整えること。人間は夜行性ではなく昼間活動する生き物。暗くなったら眠り、日が昇れば起きて活動します。赤ちゃんが光を感じ始める妊娠中期から、ママ自身の生活リズムを見直して」

■古い脳ってなに?

動物の脳は二重構造になっています。一層目は「古い脳」。すべての動物が生きるため最低限必要な機能(呼吸や姿勢、体温管理など)を司る脳です。二層目は「新しい脳」。認知や記憶、言語を司り、人間だけ特別に大きくなっています。5才ぐらいまでは「新しい脳」より「古い脳」を育てることが必須。その土台があって初めて知性や学習が積み重なるのです。

■この時期の胎児の聴覚は?

聴覚と脳神経が結びつき、赤ちゃんはさまざまな音を聞いています。羊水の中にいるので、プールの中にいるようなくぐもった音が聞こえるといわれています。話しかけるときには、できるだけ近い位置ではっきりと言ったほうが、赤ちゃんにも伝わりやすいですね。

胎児の脳育て~妊娠後期~

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脳細胞は、ほぼ完成に近づいています。おなかの中でも音を感じ取ったり光を認識したりしているので、夜になると胎動がおさまり、昼夜の区別をしていると考えられます。「この時期までには、家族全体で生活を見直すことが大事ですよ」と成田先生。「ママが不規則な生活をしていると、ホルモンの分泌も不規則になります。それは胎盤を通じて赤ちゃんに届くので、早寝早起をがんばって!」ママが好きな音楽を聴くことも、ホルモンの分泌にはとてもいいそうです。好きな音楽を聴いてリラックスを。

■この時期の胎児の視覚は?

目の形ができるのは妊娠4~5週。18週ごろには視神経につながり、25週ごろにはまばたきもできるようになり、光を感じられるようになっています。34週ぐらいになると網膜の機能も整ってくるので、新生児と同じように「見る」ことができるほどに発達します。

新生児の脳育て

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「赤ちゃんが生まれたら、いよいよ脳育て本番です」と成田先生。生まれたての赤ちゃんの脳は、形は完成していても機能は未発達。さまざまな刺激を繰り返し受けることで脳が育っていきます。「大事なことは、当たり前の生活を当たり前に楽しくすることです」と成田先生。つまり、朝起きて太陽の光を浴び、安心感に包まれながらおっぱいを飲み、おむつがぬれたら替えてもらって気持ちよくなり、暗くなったら眠る……そんな普通の生活を送ること。「脳育てに大事なのは英才教育ではなく、日常をていねいに過ごすことですよ」

■新生児の脳は?

脳の神経細胞は大人と同じ数だけつくられていますが。その神経細胞どうしはまだつながっていません。パソコンはあるけれど、ネットに接続されていない状態。この神経細胞どうしをつなぐのが「シナプス」です。新生児はさまざまな刺激を受けてシナプスを増やします。

監修/脳科学者 成田奈緒子先生
小児科専門医。発達脳科学者としての蓄積と、小児科臨床の豊富な経験をもとに育児相談室「子育て科学アクシス」を主宰。ワークショップなどを通じて子育に迷う親たちの悩みを受け止める。高校生の女の子の母親。
出典:『Pre-mo(プレモ)』2015年秋号「胎教ってどうやら本当にいいらしい」
 イラスト/市川彰子

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