予防接種の気になる「任意接種」「同時接種」「副反応」について

コラム
公開日:2014/07/16
更新日:2018/07/06
予防接種の気になる「任意接種」「同時接種」「副反応」について

予防接種には定期接種と任意接種がありますが、病気の深刻さは同じレベルです。定期接種は、決められた期間内なら原則無料で受けられます。現在、0~1才の赤ちゃんの予防接種は定期接種が5種類、任意接種はインフルエンザを含めて5種類です(平成26年7月15日現在。平成26年10月より、水ぼうそうが任意接種から定期接種になります)。

0~1才が対象の定期接種&任意接種は合わせて10種類

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「予防接種は副反応がこわい」と思い込んでいる人もいるようですね。ワクチンによっては発熱や局所のはれが見られることもありますが、ほとんどはごく軽い一時的なもの。重い副反応が起こることは非常にまれですし、予防接種との因果関係がはっきりしないケースもあります。自然感染した場合のリスクを考えると、やはり積極的に受けて病気を予防してあげてほしいですね。

日本の予防接種はようやく世界標準に追いついた

ところでここ数年、赤ちゃんが受けられる予防接種の種類が急激に増えました。すべてを受けると0~1才で20回以上接種することになります。「こんなに受けるのは大変」というママたちの悲鳴が聞こえてきそうですが、実はこれが世界のスタンダード。数年前までの日本は、先進国としては受けられる予防接種の数が少なすぎたのです。現在任意接種のワクチンも、海外の先進国ではほとんどが定期接種の扱い。ですから厚生労働省は、日本でもいずれはすべて定期接種にしようという方針を打ち出しています。

Q.任意接種は何を優先して受ければいい?

A.どうしても優先順位をつけるなら、ロタウイルスは検討の余地あり

まず大原則。「任意接種は受けなくてもいい」と考えるのをやめましょう。日本で任意接種のワクチンの多くは、ほかの先進国では定期接種。つまり、深刻な後遺症が残ったり死亡することもある病気と位置づけられています。時期は未定ですが、厚生労働省はすべての任意接種を定期接種にする方針を打ち出しています。ですから、何を優先するかではなく、どうしたら効率的に受けられるかを考えてほしいのです。 とはいえ任意接種は有料ですし、さまざまな理由で受けない選択をすることもあるでしょう。どうしても優先順位をというなら、「接種できる期間が短いロタウイルスは、場合によっては見送っても」でしょうか。激しい嘔吐や下痢などで入院することがあっても、後遺症を残す心配が少ない病気だからです。ただしこれはあくまでも、あえて優先順位をつけるなら。個々の事情にもよるので、かかりつけ医とよく相談してスケジュールを組んでください。

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Q.B型肝炎はママがキャリアでなければ受けなくてもいいのでは?

A.ママがキャリアでなくても感染します

妊娠中の血液検査でママがキャリア(B型肝炎抗原陽性)だった場合は保険適用で受けられるため、「ママがキャリアでなければ大丈夫」と誤解されがちですが、感染経路は母子に限りません。肝硬変や肝臓がんにつながることもあるこわい病気なので、ワクチンで予防しておきたいですね。

Q.ロタウイルスにはなぜ2回接種と3回接種のワクチンが?

A.ワクチンにより、有効な接種回数があるから

日本で認可されているロタウイルスワクチンは2種類。「ロタリックス」は1種類のロタウイルスに有効で2回接種。「ロタテック」は5種類のロタウイルスに有効で3回接種。それぞれ、抗体をしっかりつけるために必要な規定回数が決められています。どちらのワクチンでも病気の予防効果はほぼ同じ。ママの判断で選べます。

Q.ロタウイルスを受けられる期間がほかにくらべて短いのはなぜ?

A.月齢が高くなると、腸重積を起こしやすくなる可能性が

ロタウイルスワクチンは、月齢が高くなってから接種すると「腸重積」を起こす可能性が高まるのではないかといわれています。腸重積は、腸の一部が腸の中に折り重なるように入り込み、腸閉塞を起こす病気。腸重積が起こりにくい低月齢のうちに接種を終えたいために、受けられる期間が短くなっているのです。

Q.おたふくかぜや水ぼうそうは2回受けたほうがいいの?

A.確実な予防には2回接種が望ましいとされています

おたふくかぜや水ぼうそうの予防接種は原則1回ですが、十分な抗体ができず、接種したのに感染してしまうことがままあります。十分な抗体をつけるためには、2回接種が望ましいことがわかっています。平成26年10月から定期接種になる水ぼうそうは、2回接種となることが決まっています。

Q.インフルエンザが6カ月からしか受けられないのはなぜ?

A.抗体ができやすいのは、6カ月以降だから

6カ月ごろまでは、ママからもらった免疫のためにインフルエンザには比較的かかりにくく、かかっても重症化することはまれ。予防接種は、抗体が自分でつくれるようになる6カ月以降でいいという考えからです。流行期に6カ月以上になるなら接種をおすすめします。

Q.なぜ医療機関によってワクチンの値段が違うの?

A.自治体の助成金額の差などによります

たとえばおたふくかぜは、医療機関によって1回6000円前後から1万円近くまで値段に差が出ます。これは、自治体の助成金額の差や医療機関が独自に決める「接種技術料」などの差。「安いところは安いワクチンを使っている」わけではありません。

Q.同時接種だと副反応が出やすくなるのでは?

A.同時接種でも単独接種でも、副反応が出る頻度に変わりはない

何種類かのワクチンをいちどに打つ同時接種。「赤ちゃんの体に負担がかかるのでは?」と心配するママは多いようです。先に、受けられる予防接種の種類がようやく世界標準に追いついたといいましたが、同時接種も同様。海外ではごく一般的な方法ですし、多くの回数をこなすには同時接種でないと受け切れません。厚生労働省は「一度に何本打ってもいい」としており、日本小児科学会は「同時接種と単独接種で副反応の起こる頻度に差はない」と認めています。ただし、副反応が疑われる事故があったときのことを考えたり、経験の少なさから不安があったりして、同時接種の本数を制限している医師は少なくありません。

Q.同時接種してくれない病院があるのはなぜ?

A.同時接種に漠然と不安を抱く医師も

数年前、同時接種したあとの死亡事例が報告され、同時接種が一時見合わせになったことがあります。のちに安全性が確認されて接種が再開されました。こうしたことや、日本では同時接種を始めて日が浅いことが重なり、漠然と不安を感じて同時接種をしない医師もいるようです。

同時接種 Q.不活化ワクチンは1週間、生ワクチンは1カ月、つぎの接種まで間をあけるようにいわれるのに、なぜ同時に接種できるの?

A.同時に打つ分にはワクチン同士が影響しないから

ワクチンを打って体内で免疫反応が起こり始めるのは、接種の数時間後。数分以内に打つのなら、ワクチン同士が影響することなく必要な抗体ができます。ワクチンの種類や本数も関係ありません。同日でも午前と午後など、時間をあけての接種はできません。

Q.右に打ったり左に打ったり。接種の場所を変えるのはなぜ?

A.接種部位を確実に離すため。はれが出にくくなる可能性も

同時接種では、接種部位を数センチ以上離すことが決まっています。左右に打ち分ければ確実に離せますね。接種部位のはれが出にくくなるのでは、ともいわれています。ただし、赤ちゃんの腕は注射できるスペースが狭いので、本数が多い場合は同じ腕に打つこともあります。

同時接種はできる本数には制限がありません

厚生労働省も日本小児科学会も、同時接種は一度に何本打っても問題ないとしています。またワクチンの組み合わせにも制限はありません。生ワクチンと不活化ワクチンを同時接種することも可能です。実際には、同時接種は2~3種類までにしている医療機関が多いようですね。

近年、予防接種による重大な副反応の報告はありません

接種後の副反応でこわいのは、アレルギー反応であるアナフィラキシーショック。接種後しばらく病院にとどまるように言われるのはこのためです。きちんと指示を守りましょう。ただし近年、予防接種で重大な副反応が起こったという報告はありません。 心配のない副反応で多いのは、接種部位のはれです。初回より、2回目、3回目と回を重ねるほうがはれやすくなります。はれの範囲が広く、ひじを超えて前腕にまで及ぶようなら接種した病院を受診しましょう。また、ヒブワクチンや肺炎球菌ワクチンの接種後は、約10%の確率で発熱します。予防接種後に38度以上の熱が2日以上続くときは、接種した病院へ。ぐったりしているときも、念のため受診しましょう。

Q.腕より足に打ったほうが副反応が出にくいと聞きましたが

A.日本の予防接種は腕に打つ皮下注射のみ

日本の予防接種は、ワクチンが皮下注射用に作られているため、足やおしりなどへ筋肉注射をすることはありません。以前、乳幼児への筋肉注射が原因で、歩行困難をきたす大腿四頭筋短縮症が多発したことから、筋肉注射が控えられるようになったという背景があります。

Q.接種した日のおふろはぬるめ?はれたら冷やすほうがいいの?

A.特にぬるくする必要はなく、いつもどおりでOK

予防接種した日も、いつもどおりにおふろに入ってかまいません。お湯の温度も特にぬるめにする必要はありません。接種部位をゴシゴシこするのはやめましょう。はれて赤くなったときは、冷やすと気持ちがいいでしょう。ただ、赤ちゃんがいやがるなら無理に冷やさなくても全く問題ありません。

Q.かぜをひいたあと、どんな状態になったら予防接種を受けられる?

A.元気で体温37.4度以下なら接種OK

多少かぜっ気が残っていても、赤ちゃんが元気で熱がなければ接種できます。赤ちゃんの場合は37.5度以上を発熱ととらえるので、体温は37.4度以下が条件。ただし平熱の高い低いには個人差があります。かぜの経緯などをきちんと説明し、医師の判断をあおぎましょう。

途中で接種をやめたらどうなる?

4回受けるべきワクチンを3回でやめてしまったとしても、全然受けないよりは「まし」だと思いたいところですが、予防効果はあまり期待できません。規定回数を受けて初めて、病気が予防できるだけの抗体を体内でつくり出すように設計されているからです。多少期間があいてしまったとしても、決められた回数をきちんと受けるようにしましょう。

お話/東京大学医学部附属病院小児科 土田晋也先生 出典:Baby-mo「おうちホスピタル 予防接種の疑問と不安を解消したい」 ※情報は掲載時のものです。

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